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Dropbehind  作者: ziure
第一章 入学編
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第十六話 テンパリ

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

「おーい、哲也」

「……トシか」


 学園を出て闘技場に向かう途中、名前を呼ぶ声が聞こえたので振り向くと、トシが後ろから走りながらやってきた。

 そして、そのまま一緒に闘技場に向かって歩きながらトシと会話、雑談をする。その中の内容の一つとしてやはりというか午前中のことを尋ねられた。


「……ぶっちゃけて言うと担任と模擬戦をしてた」


 正直ぶっちゃけてよかったのか俺には分からないのだが、口止めもされてないことだし別にいいだろうと判断する。


「模擬戦!? しかも担任って岡嶋先生とか?」

「そうなるな……」


 すごい剣幕で迫ってきたトシに少しひきながらも頷く。


「勝ったのか!?」


 その勢いを衰えさせることなく、俺に詰めよって聞いてくる。


「……勝ったよ」

「マジかよ……」


俺が再び頷くと、トシは驚愕の顔をこちらに向けてくる。この反応だとあの担任は結構強いのか? 確かに弱くはなかったけど、本気を出す必要もなかったし……個人的には強いとは言い難かった。自分の力を測る基準が姉さんなのもそうなる一つの大きな理由かもしれないが。


「岡嶋先生って強いのか?」


 だからとりあえずは聞いてみることにした。


「ここにいる教師は生まれが良い人が多いんだよ。生まれが良くなくても元々の才能が高い人しかいないし。だからみんな結構強いはずだ。てか普通に強い。確か岡嶋先生は『六家』の一つ『風切家』の分家の一つの生まれで、教師の中でも高い位置に属しているんだが……それに勝つって、お前ってハンパなく強いんだな」


 岡嶋先生は結構強かったらしい……

 さっきのはあんまり言うべきことではなかったかもしれない。


「俺の強さについては置いとくとして、できるだけ俺と岡嶋先生が模擬戦したことは言わないでおいてくれよ」

「おーけー。確かに言いふらすことでもないしな。元から言うつもりもないし安心していいぜ」

「頼むぜ、目立つのは色々と面倒だからな」


 口止めするよう言うとトシは快く了承してくれた。

 俺のぼやきみたいな言葉にトシは苦笑いを浮かべていた。




 闘技場に入るとすでにほとんどの生徒が集まっていた。

 集まっている生徒は、自分の武器の手入れをしている者、小さな魔法を行使して今日の自分の調子を確認している者、体をほぐすために準備体操をしている者、と様々な様子が見て取れるが、共通して気合が入っていることが分かる。


「みんな気合が入ってるんだな」

「そりゃそうだろ」

「そう言う割にそこまで気合が入ってるようには見えないけど?」

「今からそんなになってたら、やるときにはばてちゃうそうだからな。その時に力がちゃんと発揮できるように上手く調整してるわけだ」

「なるほど」


 トシはこの様子をみると結構冷静みたいだった。


「なーにかっこつけちゃってるの、よ!」


 ズガン!!


「おわ!」


 トシの背中に後ろ飛び蹴りをかます、お転婆娘が一人。それをやるのは俺が知ってる限りで一人しかいない。


「朱里か」

「やぁやぁ、哲也くん。今日も良い日だね」


爽快! とでも言うようにさわやかな笑顔をこちらに向けて親指を立てて言ってきた。


「俺は最悪だ!! 毎回毎回飛び蹴りかますのやめやがれ!!」


 喰らったトシはというと、さっきまでの冷静さが嘘のように吹っ飛んで文句を言い放っている。


「嫌に決まってんじゃん。だって蹴りたくなるんだもん。ねー、哲也くん」

「いやそこで俺に同意を求められても困るんだが……」

「哲也くん、そこは頷いて良い所だよ! だって蹴られやすいトシが悪いんだもん」


 なんていい加減なとか思ってしまうのは当然のことだろう。相変わらずのマイペースぶりだ。少しトシに同情したくなってくる……


「全くもうちょっとそのいい加減さどうにかならないの? 観てるこっちが恥ずかしいわ」


 それを咎めるような口調で言い放つ赤い髪の美少女が一人やってきた。

 その美少女が来たときに、トシが一瞬硬直したのを見て、人の悪い笑みが出そうなのを我慢しながら俺はいじる内容が出来たとか考えていた。


「遅いよ、美佳」

「遅いよって言われてもね……朱里がその人を見つけた瞬間、いきなり走りだして飛び蹴りをしにいったんだから、あなたより遅いのは仕方ないと思うのだけれど?」


 少し呆れたように美佳は朱里に向かって言った。


「確かにそうだね」


 その呆れた様子に全く動じることなく朱里は肯定した。


「てかなんで美佳と朱里が一緒なんだ?」


 俺は率直に思ったことを聞いてみた。なんか見たことのないペアだし。


「なんでって言われても、同じクラスで仲が良くなった、としか答えられないわよ」

「……なるほど」


 少し納得するのに時間がかかったのは、この二人はあんまり馬が合いそうにないと思ったからだ。きっとそう思ったのは俺だけではないだろう。


「あの、火神さんでいらっしゃいますよね? 私は晒科利幸と申し上げます。よろしくお願いしますです」


 さっきまでの怒りはどこへやら、なんだか緊張しているようで今にも声が裏返りそうになりながら、いきなり美佳に自分の自己紹介をするトシ。

 なんでここまで緊張するんだろうか? てか明らかに敬語がおかしくなってるし……


「こちらこそよろしくね。トシくん、でいいかしら?」

「はい! それでよろしいでございます!」


 トシの敬語になっていない敬語に動じることもなく笑みを向けている美佳。

 その笑みに顔を赤面させ、あわてて返事をするトシ(今度は完全に声が裏返ってしまっていた)。

 どちらも俺の印象と違いすぎていて、俺は笑うのを必死に耐えている。

 朱里はというと、トシの様子に腹を押さえながらしゃがみ込み肩を震わせて笑っている。まぁ朱里にしてはよく抑えていると言えるだろう。バカにするような、からかいの言葉を言わない辺り偉いかもしれない。


「全員こちらに注目してください」


 面白おかしくなった雰囲気に(とはいっても俺らの所だけだが)闘技場に舞さんの声が響く。

 言われた通り声が聞こえた方向に目を向けると観客席の方に舞さんと先生方が6人いた。


「これから今日やる模擬戦について、説明をしたいと思います。今日はチーム戦でやりたいと思うのですが……」


 周りを見渡しながら舞さんは話始める。


「とりあえず四人一組のグループを作ってください。メンバーはなんでもいいです。特に縛りはありません。グループができない人はこちらに来てください。私たちが適当に決めたいと思います。残りの説明はグループが出来てからにします。まずはグループを作ってください」


 舞さんがそう言って呼びかけると、生徒たちは動き始めた。

 俺たちは丁度良く四人がそろっていたので、俺はこれで良いだろうと思い、三人に問いかける。


「俺たちはこれで良いよな?」

「私は良いわよ」「もちろんよ」「おう」


俺の問いかけに三人とも気持ちの良い返事を返してくれた。




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