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Dropbehind  作者: ziure
第四章 学園祭編
108/128

第百八話 接触(2)

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字ありましたら報告お願いします。

――――side 光磨――――



「キミが発端で事件が起こるという見解を六家(わたしたち)が抱いているからよ」


 私がそう言うと、目の前にいる男の子――楠木は頭の中で整理することができないのか、フリーズしたように動かなくなってしまっていた。


「そういうわけで六家はキミの警戒を解くことができないのよ」


 そんな相手の様子とは関係なく、私はそうやって話を締めくくった。

 とりあえずは警戒を解けない理由を簡潔に話させてもらった。

 

「……そんな何か起こすかもしれない警戒対象である俺とこんな風に接触してよかったんですか?」


 相手はうまく理解できない不快感のせいか、イライラが募っているのを感じる。

 まぁいきなりこんなことを言われても困るだろうし仕方ないよね……

 私だっていきなり危険人物扱いされればイラッと来るだろうし。


「別に問題ないわよ。話す前に言ったでしょう? キミ、賢そうだから話がうまく通じると思ったのよ。今こうして話している限り、今は(・・)キミが何かを起こす心配はなさそうなのよね。だからいつなんどきかわからない時に襲撃者との干渉があると考えてる。だからキミ自身にも警戒をしてもらいたいの。そうすればキミが何かを襲撃者と一緒になって何かをやる可能性がなくなる」


 とりあえず何とかわかってもらおうとするために、私は私の意思をなんとか伝えようとする。 


「なんで襲撃者と俺が知り合いみたいな感じになってるんですかっ?」


 だがそれもあんまりうまくいってないみたいで、逆に相手のイライラをさらに募らせているようだった。語尾が荒くなっているのを見てもそれは明らか。

 ここで相手の質問に答えないわけにもいかないわね……さすがに情報を得ようとしているための演技には見えないし……

 私は一つ息をついて、説明を始める。

 

「魔法大会に土御門がきたでしょ? そしてキミを推薦者として選ぼうとしたみたいね」

「っ!……ええ、まぁ」


 突然の話題転換に話をすり替えるつもりなのかと思ったのか、食って掛かろうとしてくるのが解ったが私はそれを視線で抑える。それが効いた様で、不機嫌さは抜け切れてはいないようだが何とか私の話に乗ってきてくれる。

  

「それを阻止した人物がいた。楠木哲也に干渉するなってね。しかも脅迫まがいに」


 どうやら知らないことのようで、楠木は唖然とした様子を見せる。

 私もこの話を聞いたときは驚いた。

 土御門が脅迫された事実にではなく、不意を突かれたとはいえ魔法にかかり、背後をとられ、さらには相手の姿を認識できなかったと聞けば、仕方ないだろう。


「次、夏の休みに六家で会議を開いたのは知っているわよね?」


 疑問的というよりは確認といった感じでそう聞く。美佳ちゃんと一緒にいるところを見てるし、知っていると取って間違いはないだろう。別に会議の内容は秘密になることが多いが、会議をやったということは特段極秘なことでもないし、知っていても変ではない。

 楠木はさらに変わった話題に訝しげな視線を向けてくるが、黙って頷いてくる。


「実はその会議の最中に一つ、とある出来事が起きたの。突然脳に声が聞こえてくるっていうね。『いきなりごめんねー。突然だけど一つ要求。学園祭の警備はあなたたちがしてください。しなくてもいいけど、その時はあなたたちの子供を学園祭とともに潰します』って」


 あの時は本当にいきなりだった。

 脳内に響く女の声。

 内容は挑発するようなもの。

 話し方もまた相手を逆なでするようなものだった。


 思い出しただけでもイライラしているのが解る。無意識に歯を噛みしめていたようでギリッとした音が口内から聞こえてくる。


「それが聞こえてきた瞬間はイラッとしただけだったわ。何のいたずらだと。けど、いつの間にか会議のテーブルに置かれていた手紙を見たときは唖然としてしまったわね」


 私一人が気付けなかったのなら、ただの油断で済んだ。

 でもあそこにいた全員、誰一人として気付かなかったことは油断では済まされない異常事態だ。

 いったいどんなギミックを使えばあんなことができるのか、今考えても思いつかない。


「そんな私の個人的な感情は置いておくとして、その手紙の内容にこう書いてあったのよ。『ただ襲撃するだけじゃつまらないし何かを与えないとあなたたちは動かなそうだから、ヒントを上げるね。そこにいる土御門さんとは一回接触してます。私一人では襲撃しません。一手目は学園内にいる誰かにやらせます。ん~、ヒントあげすぎちゃったかな? 手は早めに打った方がいいかもねー。それじゃあ、学園祭で会おうね』って」

「……つまりその人物は土御門さんと接触し脅迫。そして俺の推薦を取り消すように言った。そこからその人物は俺のことを知っていると判断。さらには学園内にいる誰かがきっかけとして襲撃を仕掛けてくるという情報から俺がきっかけになるということで間違いないと?」

 

 確認するように聞いてくる楠木だが、明らかにイライラが増している。

 だがこちらの見解はその通りでありわざわざ嘘をつくようなことでもないので、私は黙って頷き肯定を示す。


「さっきも言いましたけど、俺はこの学園祭を潰そうなんて思わないし、例え誰かに唆されようともその考えは変わらない。ていうか、俺はこの学園が好きなんですからそんなことするわけないじゃないですか」

「……何が起こるかなんて分からないわ。だからこそ君自身にも警戒を促すようにしているの。例え君の意志がそういう風に定まっていたとしてもね」

「……そこまで言うならとりあえず警戒はしますよ」

「分かってくれて何よりだわ。とりあえず私たちは引き続き君の監視を続けるわ。何かがあった時のためにね」


 私はそんな風に念を押すようにそれだけを言い残してその場を去った。


 そんなことは無い方がいいと思うが、こればかりは警戒を怠ることはできない。

 今のところは本人にその意思がない以上、絶対に誰かが彼に接触をするのは間違いない。

 私たちはそこを逃さないようにしなくては。

 確実に先手を打つ。

 そんな決意を固めた。


 




次コソハ早ク投稿ヲ!(フラグ)

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