「ジャックと豆の樹」
1話完結の話です。
正直思いつきの勢いで書いたのであちこちツッコミどころ満載です。
むかしむかし、とあるところにジャックという男の子が住んでおりました。
ジャックはとてもすばしっこく、食べることが大好きで、とても好奇心旺盛な男の子でした。
ある日のこと。
ジャックは自分のお昼ご飯と交換で、豆の樹のタネを手に入れました。
さっそくタネを植えますと、数日後には芽を出し、いつしか立派に大きくなりました。
自分の背丈よりもずっと大きなその豆の樹に、ジャックは登ってみたくてうずうずしました。
「ようし、この樹のてっぺんを調べてやる!」
ジャックはシャカシャカと樹を登りはじめました。
樹はジャックの10倍ほどの高さでしたが、ジャックはすぐに樹を登り終えました。
「わあ、なんだここは!」
樹のてっぺんのすぐ横に、ジャックの何倍も何倍も大きなお家の窓があったのです。
好奇心旺盛なジャックは、その窓に飛んで移り、中へと入りました。
「それにしても大きなお家だなぁ。
窓だけでも途方もない大きさだぁ。
ようし、この家を探検してやる!」
ジャックは壁をつたって床に降り、素早い動きで家のあちこちを見て回りました。
そのお家は外観だけでなく中身も立派で、大きな家具や高級そうな絵画や壺などがたくさんあり、とてもきらびやかでした。
すごいお家だなぁ、とジャックが感心していると、どこからともなく美味しそうないい香りがただよってきました。
「いい匂い…
台所の方かな?」
そう呟いて台所へ向かうと、なんとそこでは大きな大きな女の人が料理をしているではありませんか。
巨大なお家にふさわしい、巨人の女の人にジャックはビクビクしながらも、美味しそうな匂いにつられて台所に入っていきました。
巨大な女性はお皿に出来た料理を上機嫌で盛り付けているところで、ジャックにはまったく気付いていません。
「お腹がすいたなぁ
あの美味しそうなものをひとくちでいいから食べたいなぁ…」
そう呟きながらジャックが女性を見ていますと、巨大な女性は何かを思い出したように台所から出て行きました。
「しめたぞ、今がチャンスだっ」
ジャックはテーブルによじ登り、ジャックの何倍も大きなお皿に盛り付けられた料理にかぶり付きました。
「うわあ、とっても美味しいなぁ」
ジャックは大喜びで食べ続けました。
しかし、食べることに夢中になりすぎたジャックは、大きな足音が台所に近付いてくることに気づかなかったのです。
「キャーーー!」というとても大きな叫び声で我にかえったジャックは、先ほどの巨人の女性が戻ってきていたことにやっと気付きました。
巨人の女性は、ジャックを恐怖の表情で見つめ、ひたすら大声をあげています。
びっくりしたジャックは全速力で逃げ出しました。
「あなたー!あなたー!
早く来てーー!」
ヒステリックな女性の叫びを背に、ジャックはひたすら走ります。
台所を出て、廊下を走るジャックの前に、先ほどの女の人よりも大きな男がぬっとあらわれました。
驚いて立ち止まったジャックに大男は履いていたスリッパを手に取り、ぐわっと振り上げました。
その瞬間、ジャックの脳裏に様々なことが浮かび上がってきました。
楽しかったこと。
悲しかったこと。
友達のこと。
兄弟のこと。
そして、優しい両親のこと。
「ああ…これが走馬灯ってやつなのかなぁ…」
ジャックは安らかな顔でそう呟きました…
バッッチーーーーン!
「あらあなた。
やっつけてくれたの?」
「おう。
スリッパで潰してやったぞ。」
「嫌だわぁ
床にこびりつくじゃない…」
「家の中をうろつかれるよりはマシだろう。
だいたいお前はこんな奴1匹でビビりすぎなんだ」
「だって怖いじゃない。
ほんと嫌ねぇ…
ゴキブリなんてどこから入ってきたのかしら…」
黒光りするジャックの体はティッシュに包まれ捨てられた。
感想お待ちしております。
では、次のお話で。