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序章
沈みゆく世界の中で私だけが中心にいる。どうやっても止める事の出来ない感情が溢れてしまう。それはまるで私の心のようだった。くらいトンネルを超えると、スッと白い光が見えた気がした。何もいないはずなのに、何かの存在を感じてしまう私は可笑しくなってしまったのだろうか。ふとした疑問は闇夜に溶け、儚く散っていく。
グッと堪えると、心の黒い感情が唇の奥底で苦みになり弾ける。爆発寸前の思いを抱える事しか出来なかった。こんな日には、早く家に帰ってゆっくりしたい。そう考えると、どういう訳かほんのりと温かくなっていく。
「……早く、帰らなくちゃ」
自分を急かすようにつぶやくと、ふうと暗闇に息を零していった。世界は儚くも脆い、その中で沢山の人々がいるはずなのに、ぽっかり穴が空いたように、軋んでいった。
十五年前も同じ夜だった。全ての事柄が混ざり合いながら、記憶の中へと溶けていく。
何が正しくて、何が不正解かはっきりしない、それが現実だ。不透明な檻の中で飾られている私達は、きっと孤独なのだろう。




