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ファウスト〜作家殺人鬼の幻視〜

この作品はコナン・ドイルの書き上げた「緋色の研究」の前日譚である。

ファウストの壊れた魂は、天に召された後も次の宿主へ受け継がれていく。語り部となったヨハン・ゲオルク・ファウストは、19世紀後半の霧のロンドン、ベーカー街221Bを訪れる。そこで出会うのは、シャーロック・ホームズの相棒ジョン・F・ワトソン。Fとはファウストの秘密の名だ。彼はホームズの事件を記録する作家として日々を過ごすが、想像の中で何度も「殺人」を繰り返す幻視に苛まれる。タイプライターの書き直しと紙の山に埋もれ、金欠の日常を嘆きつつ、ファンレターの天使と悪魔に囲まれる中、一枚の不気味な手紙「へたくそ。使いのモノを向かわせる M」が届く。それは脅迫か、招待か。蜘蛛の糸が首に巻きつくように、ファウストの魂は作家の狂気を呼び覚ます。クラシック文学の闇に潜む、魂の継承者たちの血塗れの創作譚が、今、幕を開ける。
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