6話 女優の噂
チャリ…
金属プレートに医療器具を置く音が部屋に響く
女「はい…終わったわよ…もう…いつも無茶するわね…」
タルクの目の前には綺麗な青い目…
金髪の前髪を少し垂らしたようなポニーテールの
女性…きっと美人という言葉は彼女の為にあると
言えるような白人女性がいた。
タルク「すまない…ライリー」
ライリー「あなたが来る時は身構えちゃうわ…いっつも怪我のレベルを更新するんだもの…」
ライリーは病院の医者、俺がヤクの売人になってから実は6回は来てる、とはいえ…。
医療機関にはバレるわけにはいかないから隠している。
以前はロアがお世話になっていたが…。
ライリー「一回でもいいから風邪を引いたあなたを看てあげたいわ…」
タルク「バカは風邪を引かないんだ…」
ライリー「それ…私から言いたかったわ…」
ライリーは優しく微笑みながら続ける。
ライリー「あの人には感謝しなさいよ?黒人の彼
結構ハンサムだったわね…。」
タルク「マシューか…あぁ…本当に感謝してる…
(嫌だってのにおんぶされたしなっ…)」
ライリー「あ…そうだ…タルク…」
ライリーは少し真面目な表情に変えてこちらを
見つめて
タルク「ん?」
ライリー「ジェンスキンさんの所には行ってるの?」
ジェンスキン、俺のカウンセリングの担当の先生だ。
タルク「いや…最近は…それに…俺はもう大丈夫だし」
ライリー「いいえ…あなたは大丈夫じゃないわ…
現にこうして怪我してるのは…
なにか理由があるのでしょう?
それも…ロアちゃんの事が理由で…そうでしょ?」
タルク「そろそろ行く…」
ライリー「ちょっ…タルクっ…」
タルクは無視して行こうとする。
ライリー「ちょっ…誰かっ…!無銭医療よ!!」
タルク「ちゃんと払うわっ!!!」
~家~
タルク「ただいま…戻ったぞ…」
クロエ「あ…タルクぅー…おかえりぃ」
タルク「あぁ…」
タルクは疲れた様子でソファーにドスッと座る。
クロエ「コーヒー飲む~?」
タルク「淹れれんのか?」
クロエ「ポチポチするんでしょ?」
タルク「うん…そう…」
タルクは疲労で少し適当に答えていた。
クロエ「で…淹れたのがこれでーす」
タルク「クッキング番組かよ…」
タルクはコーヒーに口をつけ
タルク「ぬっる…」
そのままテレビのリモコンを手に取り
電源をつける。
テレビ:今話題の名女優!サマー!
サマー「みんなこんにちわ…!私主演のドラマ
チープドクター見てくれてる?」
タルク「ぶっ!」
タルクはコーヒーを思わず吹き出す。
タルク「っ…びっくりした…ってか…マシューがいってた女優…相変わらずクロエそっくりだな…。」
クロエ「ほんとだー!クロエにそっくりで美人!」
タルク「…(人気女優と同じ顔だと否定できないの
ズルだろ…)」
タルク「にしてもなんでこんなことが…」
クロエ「…あ!もしかして!」
クロエはハッとしたかのように
タルク「なんだ?」
クロエ「クロエの夢遊病!?」
タルク「違う」
タルク「…(だが流石にそのレベルだ…いや…まさか…まさかだとは思うが…血が繋がってる…とか…?)」
タルクはクロエに視線を向ける。
クロエ「ひゅぅ~…」
クロエはヤクを吸っていた。
タルク「…(そ…そんなわけないか…)」
ピッ…タルクはテレビを消してこれ以上の混乱と疲れが来ないように目をつぶる
タルク「…(バスターのやつに翻弄された次はこんなんなんて…はぁ…いい人生だまったく…)」
クロエ「あ!タルク…!」
タルク「ん?」
クロエ「粉散らばっちゃった!」
タルク「…(ほんといい人生だなぁぁぁ…泣)」
…
その日の夜
タルクはクロエを乗せてドライブしていた、やっぱり気分転換はドライブに限る…。
タルク「…」
クロエ「…タルクぅ…曲かけていい?」
タルク「ダメだ」
タルクは相変わらずの警戒を続けていた、この女の流す曲は十中八九メタルだからだ…夜のドライブに
メタルは流石に違う、昼も違うし。
タルクは運転を続けてリラックスをしようとしていたが次の瞬間、警戒に変わった…そう…フラッシュが
起きたからだ、雷ではない、カメラのフラッシュ…。
タルク「っ…なんだ?」
タルクはすぐさまミラーで後方確認、一瞬見えたのはカメラを持つ男と首にぶら下げてる名札。
タルク「…(記者?何故…っ…いや…まさか…)」
タルクは一瞬にして繋がった…
クロエの顔=サマーの顔
記者の思考…「サマー!いた!男といる!シャッターチャンス!」
タルクの思考…「やばくね?」
タルク「…まずい…」
クロエ「まずい?何がぁ?」
タルク「今のフラッシュ…見えたか?」
クロエ「フラッシュ?」
タルク「おそらく記者がいて…写真を撮られた…」
クロエ「えぇ!記者ぁ!?クロエの事変な事書かれたらどうしよ…」
タルク「うんやばいね…」
タルクは真剣に考える…。
タルク「(まずい…サマーに迷惑が
かかるとなれば…いや…それどころじゃない…俺に
調査が入ったとしたら…ヤクが見つかる可能性も
ある…ビジネスの邪魔…あの記者はなんとしても
捕まえなければ…)」
タルクは車をUターンさせ記者の所に戻る、なんとも
ムカつく事に記者は呑気に歩いていた…それが逆に
助かったのだが…。
タルクは近くに路駐させ記者に近づく。
タルク「おい…」
記者「っ!は…はい!」
記者は明らかな動揺を浮かべていた。
タルク「さっき写真を撮ったな?ドライブレコーダーにも映ってる、言い逃れ出来ないぞ」
記者「い…いえ…あれは…」
タルク「いいか…お前は──」
クロエ「クロエの写真撮ったからにはしっかりまともな事を記事にしてもらうからねぇ!!!」
クロエが後ろから割り込んでくる…。
タルク「おい…」
記者「ク…クロエっ?」
タルク「あぁ…そうだ…おそらくあんたは女優の
サマーと間違えたんだろうが…別人だ…」
記者「でもっ…顔同じっ…」
タルク「ドッペルゲンガーとかなんとかあるだろ!」
タルクは一歩前に出て脅すようにする。
クロエ「そうだよぉ!!!書くならちゃんと
Iカップって表記にしてよぉ!?」
タルク「盛るな」
記者「ひ…ひぃ!お許しを!」
タルク「どこでそうなったんだよ…まぁいい…写真を消せ…誤解はとけたろ?」
記者「は…はい…解けました…サマーはFカップです…」
タルク「……。あ…あぁっ!そうだろ!」
皮肉にもクロエのおかげで解けたのだった…。
タルク「はぁ…」
タルクとクロエは車に戻る、タルクは安心からか
疲労からかどちらかわからないため息をつく。
クロエ「結局クロエの写真消しちゃったね…」
タルク「よかったろ…別に…」
クロエ「んぅ…でもクロエも有名になりたかったぁ…」
クロエは少し悲しい顔をしながら
タルク「ヤクが吸えなくなるぞ?」
クロエ「えぇ!!!クロエ無名でいぃ!」
タルク「そうだろうとも…」
タルクは軽く笑いながらハンドルを握りドライブを再開するのだった。
続




