おとなの文化祭
R15は不可だと思っていた。
去年の『なろラジ大賞』に『R15の体育祭』という作品を投稿したところ、後からそれは不可だということを知ったからだ。
だから『おとなの文化祭』というタイトルを思いついた時も、「でもR15、ダメだしなぁ……」と手を止めかけた。
念のため、ルールを詳しくチェックした。
……書いてない。
書いてないぞ! いくら読み返しても!
R15ダメとはどこにも書いてない!
キャホー!
どんな『おとなの文化祭』を書いてやろうか。
もちろんR18までいっちゃダメだけど、そこはかとなくエロいのは書いていいんだよね?
あと暴力! 人が死にまくるアメリカン・バイオレンス映画ばりのやつでも書いていいんだよね?
どんなんだろう、どんなんだろう、おとなの文化祭!
もちろんおとなの文化祭だから集まるのは18歳以上だけど、おとなって幅広い。
18歳から116歳までいるんだから!
でもR15ギリギリのミニスカート姿でメイド喫茶やったとしても、お客さんの呼び込みはすべて『お兄さん』『お姉さん』! これはもう常識!
男性だったら『社長』、女性だったら『お姫様』もいいかもしれない!
よーし、よーし。呼び込むぞ!
「ちょっとそこのお兄さん、遊んでかない?」
超ミニスカ姿のメイドさんに呼び止められ、47歳のお兄さんが振り返る。
ここは夜の繁華街。街を上げてのおとなの文化祭が開催されている真っ最中だ。
超ミニスカ姿のメイドさんは68歳。なかなかの美魔女だった。
しかしお客さんが驚きの声を上げる。
「母さん! こんなところで何やってんだ?」
「あら。こうじじゃない。ダメよ、こんな時間にこんなところで遊んでちゃ。カナエさんが怒るわよ。早く帰ってあげなさい」
少し離れた土俵では、女大相撲大会が行われていた。
日頃の生活の憂さを晴らすため、凶暴な妻たちがその力を競う。
土俵で勝ち誇ったポーズを決めている女性を見て、こうじがまた驚きの声をあげる。
「カナエ!?」
体格の凄い対戦相手の主婦を持ち上げ、投げ飛ばしたばかりの妻カナエが、夫と姑を見つけて微笑む。まわし一丁の姿だった。
「あなた! 私、なんだか今夜なら子作りできそうよ!」
妻はそれほどまでに興奮していた。
「早く孫の顔を見せとくれ」
母の梅子も微笑んだ。
おとなはなぜ、夜に活動するのだろう。
昼間は従順なロボットのように働き、夜になると生き物の顔を見せる。
そんな文化祭であった。