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多分、一話

「あぁ!兄貴俺の歯ブラシ使うなよぉ!」

「あれ?これ一樹のだっけ…」

「ちょっと兄貴邪魔!ドライヤー取れない!」


「う〜ん…うるさい…」


私の朝は兄妹喧嘩の騒音で目覚める

雄大くんが一樹くんの歯ブラシを間違って使ったらしい

そして多分双葉ちゃんはただ突っかかっているだけだ

こういう時は明里ちゃんが止めに入るんだけど、優くんがまだ寝ていてそれを起こしに行ってるから不在だ

…仕方ない。ここは私が!


「一樹くん、雄大くんもわざとじゃないんだからそんなに怒らないであげて?」

「へぇ、愛は兄貴の味方すんだな」

「え?」

「ダメよ愛。こんな馬鹿の味方しちゃ」

「やるか双葉」

「そうね一樹」


二人は顔を見合わせて悪い顔をしている

これは何かを企んだ時の顔だ

じりじりとにじり寄られる


「ちょっ…ちょっとまって…」


双葉ちゃんに背後から捕まれる


「覚悟しろよ愛!」

「やってやりなさい一樹」

「こちょこちょこちょー!」

「くっ…」


私はなんとか必死に声を抑えるけど、くすぐりはどんどんヒートアップして、体からは変な汗が噴き出る

そしてついに決壊する


「あはっ…あははは!やめっ…やめて一樹くんっ…あははははは!あひゃっ…」

「一樹のくすぐりに耐えれるかしら?」

「しっかり押さえてろよぉ双葉」


朝から容赦のない猛襲を見ながら長男の雄大は呑気にインスタントコーヒーを啜る

「…容赦ねぇなぁ」


その後お馬鹿3人組がまとめて叱られたのは言うまでもない




「まったく…あの二人はいつも私ばかりいじめるんだから…優くん、酷いと思わない?」

「あはは…災難だったね」


この隣にいるのは二個上の優くん

私たちは中高一貫校だからこうして揃って登校している


「あのね?他人事みたいに言ってるけど、元はと言えば優くんのせいみたいなもんだからね?」

「ご、ごめん…」

「はぁ…なんで私ばっかり…」

「愛は多分可愛がられているんだよ。多分二人もそれでやりすぎちゃうんじゃない?」

「そんなの勝手だよう…」


そう。私は小さい頃からこう

多分、兄妹間でのパワーバランスは

明里>>>>一樹>双葉>優>雄大>>>愛

みたいな感じで、昔から泣き虫な私は基本的にターゲットにされて泣かされる。優くんは基本明里ちゃんにべったりだから隙がないし、雄大くんは何故かあまり狙われない…


「そうだ!」

「…なに?」

「いいことを思いついたんだ!ごにょごにょ…」

「うんうん…ほんとに!?天才だね優くん!」


よし…帰ったら早速試そう




「ただいまー!!」

「おっ、おかえり愛」


家にいるのは雄大くんだけか…

あの二人が帰ってきたら仕掛けよう

ていうかそれよりも…!


「なに作ってるの?」

「ん?そろそろ皆んな帰ってくるかなぁと思ってパンケーキ焼いてたんだよ」

「うわぁ…!美味しそう…」

「味見するか?」

「いいの!?」

「うん。まだまだ焼くしいいよ」

「やったぁ!お兄ちゃん大好き!」


ぱくぱく


「…そう言えば愛ってなんでたまに俺のことお兄ちゃんって呼ぶんだ?いつもは名前呼びなのに…」

「ええと…それは」


そう。実は私がみんなのことを名前で呼ぶのにはちょっとした理由があるのだ。だけど…内緒


「う〜ん、気まぐれ?」

「気まぐれが割と多いよな…」

「それより雄大くん、それ終わったら一緒にゲームしよ?」

「お前…宿題はやったのか?」

「後でやるからいいもん!」

「はぁ…そんなだと俺みたいな駄目人間になっちゃうぞ?」

「…お兄ちゃんは駄目人間なんかじゃないもん」

「ん?なんか言ったか?」

「ん〜ん、なにも!」

「そうか…じゃあちょっとだけだぞ?明里にバレたら俺まで怒られる…」

「やったー!」



---------------------------


「なぁ双葉」

「なに一樹」

双子の弟の一樹が浮かない顔をしている

「やっぱり今朝のはやりすぎたよなぁ…」

「………」

「なんであんなにやっちゃったんだろうな…愛も泣きかけてたし…」

「仕方ないよ。馬鹿兄のこと庇うんだから」

「う〜ん。兄貴が馬鹿なのは事実だけどさ、俺ら別に兄貴のこと嫌いではないじゃん?」

「…私は嫌い」

「なんか言葉にしずらいけど、喧嘩したかったわけじゃないんだよなぁ」

「一樹は優しいね」

「いや、そうか?」

「気になるなら帰って愛と兄貴に謝ろ」

「そうだな!」



この時の二人はまだ知らなかった…

この後起こる悲劇を



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