暗黒微笑な美少女のせーとかいちょーは、幼馴染みには逆らえないらしい
SNSで募集したコメントでタイトルを作ろう的な、そんなノリで作った作品です。
『暗黒微笑』の意味を一ミリも知らなかった中の人。
(↑書く上で調べたのはここだけの話である)
それでは、どうぞ。
ここは都内、高級マンションが建ち並ぶ一等地。
……の中に、ある『私立高川高等学校』。
そこに、一風変わった生徒会長が居るとか居ないとか。
▪▪▪
「おはようございまーす」
夏休みが終わった、新学期。
生徒が続々と登校する。
そこに一人の女子生徒がマイクを持って、校門前で仁王立ちする。
彼女の名前は、三河こまね。
この学校の生徒会長である。
『ちんたら、ちんたら歩いている!み・な・さ・ま!急がないと、出席の評価がダウンですわよ!』
「んだよ、またあの生徒会長が変なこと言い出したな」
「行こ、行こ。目付けられたら、おっかな……」
その会話をしていた二人組に、こまねは近づく。
「お二人とも、何か言ったかしら (暗黒微笑)」
その言葉に、二人は慌てる。
「な、なな、なんにも、言ってねえよな?」
「うん!何も言ってません!」
そう、こまねに返す。
「後で生徒会室で……」
そうこまねが言った瞬間だ。
「校長に無断で、何をやってるんだ」
その声は、副生徒会長の瀧口千路だ。
「ふぇ、千路くん」
「『ふぇ』では無いぞ、三河。会長のやっていることが、生徒から不満が出ているって何度も言っているじゃないか」
千路はそう言いつつ、目を付けられた二人組に目線で合図する。
『今すぐここから離れろ』、と。
「あ、逃げんな!」
走る二人を追いかけようとしたこまねを、千路は服の襟を掴んで止める。
「少しは、落ち着け」
「……ふぇっ」
▪▪▪
一時限の授業前。
(……私、なんで千路くんに何も言えないんだろう)
と、こまねは考えながら授業の準備をする。
彼は、小学校からの同級生だ。
どういう縁なのか分からないが、ずっと同じクラスなのだ。
それは中学や高校も同じ事。
……そのせいか、私たちを知る友達は「腐れ縁では?」と言われる始末だ。
「いけね、宿題のブリントに記入すんの忘れたわー」
その時、クラスの同級生である縞音が言う。
「……あらぁ?この事、先生に知られたら分かっているわよねぇ? (暗黒微笑) 」
「わ、分かってるが、ち、近寄るな」
縞音は後退りをする。
「縞音、俺の貸すから写せ」
その時、千路がプリントを渡す。
「あっ……駄目よ、駄目!それ!ちゃんと、言わなきゃ駄目……」
こまねがそう言い返すと、千路はこちらに向かってくる。
そして、頬っぺたをちょっとつねる。
「少しは見逃してくれ。縞音でも、たまに俺の手伝いをしてくれるから……な?」
「いたい、いたい!分かった!ゆるちてあげるからっ」
そうこまねが返すと、千路はつねっていた手を離し、つねった所を撫でる。
「……すまないな、千路」
小声で縞音が言う。
「まあ、いいさ。アイツは俺が矯正しなきゃいけねぇし」
そう千路は返し、笑った。
▪▪▪
午前中の授業が終わった。
(とりあえず、何とか終わったわ……お腹ぺこぺこ)
こまねは学食へと向かう。
……と、その道中で誰かにぶつかった。
目の前に、下級生の子が居る。
多分、この子とぶつかったのだろう。
「すいません、ぶつかったみたいで……その……」
その子が言う。
「あらあら?気を付けないと駄目じゃない、かしらぁ? (暗黒微笑) 」
「……あ、あのぉ……」
その子が、私の後ろの方を指差す。
誰かが居るような……?
「……ふにゅっ、千路くん!?」
「『ふにゅっ』、じゃないぞ?謝っているのに、その言い方は無いと思うぞ」
千路が言う。
なんか、目付きがいつもと違うような……
「……お、怒っている、よねぇ?」
そうこまねが言うと、彼は笑顔を見せた。
(これが本当の、暗黒微笑……)
▪▪▪
まあ、それからというもの。
こまねの『圧 (?) 』と言うものは、無くなったらしい。
その代わり、千路にはもっと逆らえなくなったそうな。
ラブコメであっているか、少々(どころでは無いが)不安な中の人でした。
読んで頂き、ありがとうございました。