表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

人面獣 Ⅱ

 掌に握られた質量と、腕の遠心力を目一杯利用した投擲。

 安全装置を解除した手榴弾(DM51)がブサイク面へと吸い込まれるのをギリギリまで見届け、そのまま身体を石畳に投げ出して伏せる。


 Bomb(ボム) !

 極短い爆音と、空気中を伝播しヘルメットまでを震わす衝撃波。

 更には、苦悶するかの如き咆吼が周囲に響き渡った。


 攻撃型手榴弾 ――ベアリング球や金属片をバラまかず殺傷半径は数mと狭いものの、純粋な爆圧によって感覚器や呼吸器を損傷させる―― は、どうやら魔獣にも有効のようだ。


 口元に浮かぶ笑みを抑えて顔を上げれば、のたうち回る《人面獣》の姿。

 象どころか大型恐竜に迫るサイズの四足獣が、至近距離で大暴れする有様は悪夢そのもの。

 しかも、俺と同じく伏せていた筈の《前衛(フォワード)》たちが、伏射体勢のまま制圧射撃を再開している。踏み潰される可能性すらある状況下で、損傷著しい《人面獣》の顔面を執拗に狙う算段らしい。


 ”少々、度胸が過ぎるだろ?!”


 焦燥とも瞠目ともつかない感情が()ぎるのも一瞬のこと。俺も遅れじと《第三の腕(アシストアーム)》で保持された重機関銃(M2HB)をひったくる様にして射撃を開始する。

挿絵(By みてみん)

  Dow(ドツ)! Dow! Dow! Dow! Dow(ドッ)! Dow! Dow! Dow! Dow(ドッ)! Dow! Dow! Dow!


 無駄弾を避けるため短い点射(バースト)を繰り返しながら、故意にトーンを落とした声で指示を飛ばす。

 

 「前衛(0203)は相互に援護射撃を繰り返しつつ後退を開始」「可能ならば銃身交換を」


 前衛にはリロード無しに500発もの連続給弾を可能にするアイアンマン・アモ・バックパックシステムを装備させているが、銃器自体は銃身過熱の問題から逃れることは出来ない。もし仮に、このまま連続射撃を続行するなら銃身変形による命中精度低下はもちろん、暴発の危険性すらあった。

 

 『チッ…02了解』『03了解です!』

 骨伝導スピーカーを通して内耳を叩いたのは、不承不承といった感じの応答。


 《指揮官(アルファ)》としての冷静な部分が未だ統制の効いている現状に安堵する中、俺は機動力を削ぐべく《人面獣》の脚部に12.7mm弾を集弾させて、《後衛(バックアップ)》に向けても声を張り上げる。


 「後衛(0405)! 84mm砲準備!!」

映像資料

《第三の腕》

https://www.youtube.com/watch?v=ueNjFzFpb_Q

重機関銃《M2HB》

https://www.youtube.com/watch?v=PjCEz9y0sVA

《アイアンマン・アモ・バックパックシステム》

https://www.youtube.com/watch?v=OKOt0nSpWEY

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いい・・・・閉鎖環境で使うにはフラググレネードよりも良いチョイスにしか見えない! 84mm!……グスタフかなっ! [気になる点] 続き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ