#1 しまっていた"卒アル"
ー卒業生のみなさん、この度はご卒業、おめでとうございますー
3月某日、高校を無事に卒業し、私は人生の夏休みとも呼ばれることの多い大学生になろうとしていた。3年間生活したこの学校は楽しくも儚く、長くも短い日々であったが、懐かしいというにはまだ早い気もする。式中、私は高校生活を振り返りながらこれからの大学生活に胸を躍らせていたわけだが、式自体はあっという間に終了し、共に生活してきた同級生や後輩らと写真を撮ったり思い出話を広げていた。しかし、それらの時間も瞬く間に過ぎていき、気づくとみんなと解散した私は家に向かって歩いていた。高校生活では持ち前の明るさでどんな人とも同じように接してきたことで、知人や友人は多かったのではないかと我ながら鼻を高くしていた反面、一人歩きながら帰る通学路はこんなにもしんとしていて、寂しいものだったのだと一人でいることが嫌いな私は閑散とした住宅街や町中をぽつんと一人早歩きで帰ったのだった。
家に着くと、私はすぐに自分の部屋に入り荷物を置いてかばんから先ほどの卒アルを取り出し、本棚に並べると隣に並んでいた小学校の頃の卒アルが目に留まり、久しぶりに開いてみることにした。少しほこりがかぶっていたその卒アルを本棚から取り出した時、なんだか自分の中でずっと出さないように、出したくないとしまっていた昔の自分を、治りかけのキズに貼っていたばんそうこうを剝がすような思いがした。
とりあえず幼いころのなつかしさに浸りたかった私は、何も考えず適当にページを開いた。
ー今日からみんなは、二年生になります!クラスも変わって知らない子もたくさんいると思いますが、みんなで仲良くしていきましょう!!ー
キズとばんそうこう#1を読んでいただき、ありがとうございます。拙い文ではあったと思いますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。あくまでもフィクションを貫こうと思うので、今後の内容で、「ふっ、作者こいつ悲しい人生歩んでんな」などあまり私と重ねないでいただけるとありがたいです。大変はずかしいのd...
もっともっと面白く、読者の皆さんの気を引けるような展開にしていきたいと思っております。温かい目で応援のほどよろしくお願いします。