カミュ、Bブロック本選本選1回戦を観戦する。 1
ククリコンと闘技場に入った。
観客からカミューという声援が聞こえる。
今日はBブロックの試合である。試合が行われる舞台サイドにて、出場選手は観戦が可能だ。
Bブロック出場の選手はもちろん、昨日戦ったAブロックの選手たちも全員観戦に来ていた。
俺はククリコンと2人離れたところで座っていると、トリッパーの奴がやってきた。
「隊長、ちわっす。」
相変わらず軽い挨拶をかわし、ククリコンに向かって
「初戦だな。気負わずにいけよ。」
と言い肩をぶっ叩いた。
ケルググン殿とナーサスさんがやってきたのでお互い挨拶をした。
トリッパーはケルググン殿に
「次は全力で行かせてもらいます。胸をかりますよ。」
と言うとケルググン殿は
「胸を借りるなど心にも思っていない事を言うな。私も卿と戦うのは楽しみだ。よろしく頼む。」
と言い、ナーサスさんは二人に向かい
「2人には悪いが、俺がカミュをつぶすさ。事実上の決勝戦だしな。」
といい、ばしばし俺の背中をたたく、痛い。
俺は
「明日は自分の剣の向上の為、全力で潰しに行きます。」
と言った。
5.シンパさん(ゴブリン隊隊長)とブレックス(魔族軍第3隊隊長)さんの試合。
シンバさんが舞台にあがると、ゴブリンの緑の軍団がシンバコールを叫ぶ。
実況解説者はゴブリン族初の本選出場シンバ選手、人気は抜群!といい、ブレックスさんは前回ベスト4で実力実績は上、ブレックスさんの斧をどうシンバさんが避けるのか、そして攻撃するのかが勝負の分かれ目と言っていた。
舞台サイドの現役魔王軍出場戦士が集まっているところからは、皆同僚のブレックスさんにゲキを飛ばしている。気にすることはないと思うのだが、新聞等でAブロックの結果が『衝撃! 現役魔王軍全敗!』などと書かれているので気にしているのだろう。
ナーサスさんがケルググン殿に
「ケルググン、解説頼む。」
といった。
審判の試合開始という合図があった。
ブレックスさんから行くと思ったが様子を見ているようだ。シンバさんは剣で様子見の打撃をし、それをブレックスさんは躱している。
ケルググン殿は
「ブレックスはいつも以上に警戒している。奴から仕掛けると思ったが、シンバのここ最近の成長を見てシンバの腕の確認をしているな。シンバの方もブレックスの斧の威力を見てみたいところで、打ち込むことによってブレックスに撃たせようとしている。」
シンバさんが様子見の打撃、ブレックスさんが斧でそれを受けるという攻防が続いた。
ククリコンが
「あっ。シンバさんが撃ち損ねた。」
と言った。その機に生じてブレックスさんがようやく攻撃を仕掛けてきた。重い打撃で受けているシンバさんが下がる。
「シンバさん、やばいね。」
ククリコンが言う。同じ若手同士シンバさんを応援している様だ。
「いや、シンバの誘いだ。」
ナーサスさんが言い、ケルググン殿が頷いている。
シンバさんを舞台端に追い込み、ブレックスさんは決めの打撃を撃った。
決まったか、と思ったがそれをシンバさんは体ごと横に移動し避け、中央に戻る。
両者中央で再度向き合った。
ゴブリン応援団は、シンバさんが攻め込まれている時は悲鳴を上げていたが、再度歓声が沸く。
ケルググン殿は
「シンバは種族的な事もあって力がブレックスより弱い。しかしこのブレックスの連続攻撃を避け切った事により、ブレックスの攻撃パターン、力をある程度インプットしたな。こうなるとシンバは強い。」
と言った。
再度打ち合う。ブレックスさんは斧で強打するが、シンバさんは今度は下がらず剣できっちり受けている。ブレックスさんがフェイントをかけた。引っ掛かるかと思われたが見事回避、そのスキを見て今度はシンバさんが攻め込む。ブレックスさんは防戦一方、どんどん下がっていく。
シンバさんが打撃中心で攻め込む。そしてブレックスさんが下がりながら受ける。そして、シンバさんが強打!その強打に対し斧で受け押し返すブレックスさん。そして押し合いになり2人が離れた瞬間、シンバさんが踏みとどまり剣で突く。
突いた剣はブレックスさんの喉の前で寸止め。勝負あった。
観客席のゴブリン応援団の応援が一瞬止まり、そして大歓声。シンバコールが沸き起こる。
ブレックスさんは何かシンバさんに呟き、シンバさんの腕を高々と上げた。
勝負タイムは20分15秒だった。
試合後のインタビューでシンバさんは
「いつも稽古をつけてもらっているブレックスさんに勝てて嬉しい。ゴブリンでも本選で1勝出来たことで、ゴブリン隊の強さは証明できたと思う。全力で次も勝つ!」
ブレックスさんは
「シンバは本当に強くなった。完敗だ。奴と戦って、奴の言う通りゴブリン隊も部隊としてかなり強くなっている事が判った。」
ゴブリン隊がら大歓声が沸き、ブレックスコールが湧く。
6.ククリコン(アイナ)とシーサーさん(魔族軍第4隊隊長)との試合
次はいよいよククリコンの試合だ。相手は槍使いのシーサーさんだ。
ククリコンに
「まあ、気楽にやれ、下手に何か考えたら実力出ないぞ。楽しめ。」
と言った。
「わかったね。」
といいしっかりした足取りで部隊に上がった。
トリッパーは俺に
「隊長、あのモグラ君は弟子なんだって。強いのか。」
と聞くので
「才能はあるな。俺以上だ。ただしお前にはまだ敵わないだろう。」
と言った。
ケルググン殿は
「トリッパーよ。カミュ殿がククリコンに剣を教えて1年。今ではラオン以外でククリコンと立ち合いをして勝てる現役魔王軍隊長はおらんそうだ。」
と言い、ナーサスさんは
「一度素振りを見たがな、今ならラオンの小僧よりも強いと俺は思う。」
と言った。
「ところでカミュよ。さっきからトリッパー殿がカミュの事を隊長と言っているが2人は知り合いなのか。」
と聞いてきたので、かつておれの率いる隊の副長をしていた事を告げた。
ケルググン殿は
「どうりで強いと思った。カミュ殿とナーサスの話を聞くと、トリッパーよ、貴様は今の魔王軍の現役隊長よりも個人の武勇で上、そしてセト戦での話を聞くと部隊を率いる能力も高い。隊長をやれとは言わん。私の今の仕事のうち、軍に関する事について手伝ってくれんか。」
と真面目な顔でトリッパーに向かい言った。
俺は
「こいつは魔法も使えますよ。かなり」
と笑いながら言ったら、トリッパーは
「隊長、余計な事を言わないでくださいよ。宰相閣下、俺は今旧セト領の開発に従事しています。今、この仕事以上にやりがいのある仕事は俺にとってないのですよ。たとえ権限、地位が今よりだいぶ上の仕事でも。それに俺よりもカミュさんの方が悔しいけど軍の指揮、実力は上ですよ。軍の手伝いが欲しければナーサスさんや隊長にやってもらった方がいいと思いますよ。」
と言った。
ケルググン殿は
「カミュ殿とククリコンは今竜の領域の支配下だ。アイナ村は竜の領域の租借地だからな。ナーサスは何度も既に頼んだが断られている。そうだ、トリッパーよ。準々決勝は私と卿が戦う。私が勝ったら補佐職に就け。」
と言った。
トリッパーは
「そんな賭けは嫌です。」
と言い切った。




