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カミュ、村長選の前日演説を聞く。

 村長選の前日、立候補所3名の合同演説があると言うのでカムストックさん夫妻、バッチ、ケルググン殿、ククリコンと聞きに行った。


 演説の順番は

1.アイナ村魔族駐屯軍所属      ゲーリックさん

2.ハッサン医院及び村営医療所責任者 ハッサン先生

3.アイナ村商会組合長        ガルボンさん


という順番で行われる。


 村民も皆興味があるようで、殆どの人が仕事を中断し聞きに来ていた。


 最初にゲーリックさんが広場壇上に上がった。

 監修の中からは

「魔族は引っ込め! 」

等の声が一部上がり、ケルググンさんがちと嫌そうな顔をしていた。


 ゲーリックさんの演説が始まった。

「まず皆さんに言いたいことは、私が立候補したのは私がこの村の施策として考えている事があり、それを皆さんに聞いてほしかったからです。村長になりたいという事ではなく、村長になる人に聞いて頂き、私が主張する事に対し、よいと思う事があった場合、その事項を次期村長に実施してもらいたい、そう思ったからです。人間の村の選挙に出馬しても当選する訳はないと考えています。」

と言い

「まず言いたい事は、魔王領とアイナ村の位置関係です。魔王領は大陸西側の北端、アイナ村は大陸東側の中央部より北側に位置します。」

「この位置関係により、様々な違いが生じます。」

「まずは植物の違いです。皆さんご存じの通り、最近までアイナ村では喉を傷め声を出すと喉が痛い病気が流行っていました。それを治療する専門薬の材料は底を尽きかかっていました。私は魔族の軍人でもあり植物学者でもあります。その材料の草と同等、類似するものであって、魔王領とアイナ村の気候の差から魔族領に沢山生えている草を錬金所、ハッサン先生に提示し、代替薬を作れないか確認しました。私が持ってきた草6草のうち、2草が喉の代替薬になることが解り、魔王領でその2草を採取し錬金術所に渡し代替薬を製造してもらいました。」

「また、過去を見ますと、アイナ村では6年前に飢饉が起きたと聞きました。私も軍人です。飢饉のキツさは身をもって知っているつもりです。で、その6年前は、実は魔王領のゴブリン領では近年稀に見る麦の豊作でありました。逆に、魔王領が不作であった8年前は、アイナ村は豊作であったと聞いています。」


 ゲーリックさんは周りを見渡した。

「現在、魔王領とアイナ村の関係は友好状態にあります。前総長ジェリマウアーさんはアイナ村の開拓に多大な貢献を残されました。今後は、魔王領とアイナ村の地域差を考慮した発展を考えるべきであると思います。例えば前述した薬の件に関しては地域差を利用した材料のやり取りを行えば、患者の治療は充実します。魔王領とアイナ村では、アイナ村の方が医療、特に薬に関しての技術は上です。アイナ村で不足している材料の代替品を魔王領からアイナ村に出荷し、それを元にアイナ村は薬を製造、その製造方法をアイナ村は魔王領に教える、そうすればアイナ村と魔王領の医療技術は共に上がると考えます。」

「また、後述した飢饉に関してもそうです。過去の歴史を調べると、大陸における位置の違いによるものが大であると考えますが、アイナ村と魔王領が共に飢饉となる例は非常に少ない、私が調べた限り1例しかない。それらを考えると、作物の収穫情報を交換し飢饉に対する抑えとする事が出来ます。また、魔王領で食物として以前からある芋をアイナ村に紹介させてもらいました。アイナ村では芋を魔王領の調理法とは違う調理法を考えました。屋台で流行っているフライドポテトやポテトチップスです。これは今魔王領では芋の新しい調理方法として大流行しています。」

「また、発明書庫の仕組みが出来ました。これにより新しい技術を考えた者がその功績に対し正当な対価を得る事が出来る仕組みが出来ました。今後、この仕組みを利用し、アイナ村で考えられた商品が魔王領で売れ、アイナ村に利益を生み出す事も増えると思います。例えば今鍛冶屋の方が乗っていらっしゃる自転車などです。」

「私は、これら、農、医、商の魔王領との交わりを村の利益の為にもっと増やすべきだと考えそれを訴える良い機会と思い立候補しました。」


 ゲーリックさんは、ハッサン先生、ガルボンさんを見て

「ハッサン先生、ガルボンさん。あなたたちが村長になったら、私の主張のうち、取り入れられると考えた事に関しては、積極的に行ってほしい。」

「私の主張は以上です。皆さま、お聞きいただきありがとうございました。」

ゲーリックさんの主張は終了した。

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