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聖女三姉妹 ~本物は一人、偽物二人は出て行け? じゃあ三人で出て行きますね~  作者: 日之影ソラ
長女アイラ

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45/50

 王城から見下ろす景色は、まさに圧巻の一言につきる。

 多くの人たちが集まっていた。

 見つめる先は一つ。

 王族たちが並ぶ位置に、そうでない者が立っている。

 それは快挙であり、栄誉であり、私が待ち望んでいたものだった。


「敬愛なる国民諸君! 恐ろしき病は本日をもって根絶された!」


 国王様が民衆に告げる。

 最初の発見から約一か月半。

 新種のウイルスによる感染症拡大は、見事に終結を迎えた。

 流行の期間は例年と変わらない。

 だけど、その規模と被害は例年の倍以上だった。

 当初の予想では、半年以上続くのではないかと言われていたほどだった。

 それを一月半で押さえられたのは、多くの人々の努力があってこそ。


 それから――


「此度で一番の働きを見せた者をここに! 聖女アイラ、彼女こそ救国の乙女である!」


 歓声が沸き起こったのが、遠く離れたここまで届く。

 たくさんの人たちが私の名前を叫んでいた。

 隣には国王様と一緒に、ハミルの姿もある。

 あまり嬉しくない懐かしさを感じる光景だけど、今はそこまで嫌じゃない。


 ハミルに頼まれてから今日まで、私は聖女として人々を癒し続けた。

 毎日毎日、自分の疲れを隠しながら、多くの人たちを助けた。

 それは人々のためでもあり、自分自身のためでもある。 

 この騒動をきっかけに、私の名前は国中に広まるだろう。

 目標に一歩前進した気分だ。


 その後は王城でパーティーが開かれた。

 カリナとサーシャも誘ったけど、自分たちは良いと断られてしまった。

 彼女たちなりに気を遣ってくれたみたいだ。


「随分と落ち着ているな、聖女様」

「ハミル」

「ここではハミル王子、もしくは殿下と呼んでくれ」

「あっ、申し訳ありません。ハミル王子」


 パーティー会場のベランダで、私が黄昏手いるとハミルが声をかけてくれた。

 偉い人との話とか、王様との初対面も終えて、少し疲れている。


「少し場所を移そうか?」

「はい」


 ハミルはそんな私を見て気を利かせて、パーティー会場をこっそり抜け出した。

 主役がいないのは問題だと思うけど、大人同士で難しい話に花を咲かせているし、きっと大丈夫だと思う。

 彼に手を引かれて向かったのは、王城内にある小さな噴水だった。


「ここは普段からあまり人がこない」

「何だかハミルが好きそうな場所だね」

「よくわかったな。落ち着けるからここは好きだ」


 ハミルがちょこんと腰をおろし、私も隣に座る。


「落ち着いてるって?」

「ん? ああ、そう見えたけどな。王族や貴族に囲まれても堂々としているし、素直に驚いたよ」

「それはもちろん、前々から経験は豊富だから」

「前にいた国か」

「うん。でもこの国の方がずっと好きだよ」

「はっはは、嬉しい限りだ」


 ハミルは夜空を見上げる。


「思えば最初から、お前は堂々としていたな」

「あの時は……ハミルが王子だって知らなかったからだよ」

「だとしても、初対面の男に悪態をつけるなんて中々だぞ?」

「わ、忘れてほしいな」

「忘れないさ。あれがきっかけで、お前を気に入ったんだから」


 ハミルの手が私の手に触れる。

 夜空下で思い出すのは、初めて出会ったときの思い出。

 そう、あれはまだ私たち姉妹がクレンベルにきたばかりの頃だった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 私は一人で街を歩いていた。

 目的はお仕事探し。

 この街に来て生活していくためにはお金がいる。

 妹二人がやりたいことを見つけている中、私だけが定まっていない。

 少し焦りを感じていたのは確かだ。


「どうしようかな」


 独り言も出てしまう。

 仕事を探すといっても、何が自分に向いているのかわからない。

 二人みたいにやりたいことがハッキリしていたら、探すのも楽だったかな。


「とりあえず探すしかないわね」


 そう自分に言い聞かせ、目についたお店に声をかける。

 飲食店、アイテムショップ、服の仕立て屋さん。

 色々なお店があって、見た目でよさそうだと思った所に入る。

 姉妹の中でもしっかりしている方だし、きっと大丈夫。

 そう思っていた私を、現実が突き落とす。


「ウチで働きたいかぁ~ ごめんね、人手は足りてるんだよ」

「そ、そうなんですね」


 丁寧に断られたり。


「あまり見かけない子だね? 」

「えっと、つい最近こっちに引っ越してきたばかりで」

「そうなんだ。う~ん、ちなみに経験者?」

「いえ……」

「そっか~ 経験者以外は申し訳ないけど」


 思った通りにいかない。

 簡単に仕事くらい見つかると思っていた。

 甘い考えだっと知るには、少し遅かったのかもしれない。

 その後も何件か回ったけど、どこも丁寧に断られてしまった。

 酷い言葉をかけられない時点で、この街の人たちは優しいのだと思う。

 それでも……


「はぁ~」


 ため息は出るよ。


「でかいため息だな~」

「えっ、誰!?」


 どこからか声がして、私は立ち上がる。

 聞こえた方向には壁があって、そこからひょこっと顔を出したのは、銀色の髪が美しい青年だった。

 思わず見惚れて、足の力が抜けてしまう。


「あっ」

「危ない!」


 後ろへ倒れそうになった私を、彼は咄嗟に飛び出して助けてくれた。

 少し遅くて、彼は膝をついている。


「ったく、いきなりドジは勘弁してくれ」

「ありがとう……」

「どういたしまして。近くで見ても、綺麗な髪だな」


 それはこっちのセリフだと言いたい。

 顔立ちから全て、本物の王子様みたいだと思った。

 後に彼が王子様みたい、じゃないと知る。

 彼は初めから変わらない。

 王子様らしくて、まっすぐで、格好良くて。

 でも――


「瞳も綺麗だな。透き通った空みたいだ」

「えっ、あの……」

「ん?」

「か、顔が近い」

「ぶっ!」


 距離感を掴むことは苦手なのかな?

ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも面白い、面白くなりそうと思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

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