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聖女三姉妹 ~本物は一人、偽物二人は出て行け? じゃあ三人で出て行きますね~  作者: 日之影ソラ
長女アイラ

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35/50

 私は聖女であることに、少なからず誇りを感じていた。

 たくさんの人々を救い、導いて、感謝される。

 それは私にとって喜びだった。

 だけど私には、それよりも大切な物がある。

 何があっても守りたい人たちが、居続けたい場所がある。

 それを守るためなら、私は何だってやれると思う。


 そう。

 私が守りたいのは、家族と家族の帰る場所。

 カリナとサーシャ。

 二人の大切な妹たちが、これからも健やかに笑っていられる未来を作ること。

 生半可な覚悟では守れないと思った。

 そのために私は、自分の夢も捨てて構わないとさえ思っていた。


 でも、私は出会ってしまった。

 偶然なのか、運命か。

 その出会いを果たしてしまったら、私の心はもう止まらない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 東の空に太陽が昇る。

 私の目覚めの合図は、窓から差し込む朝日だ。

 瞳を開いて時計を見ると、午前五時半を指している。

 二人よりも早く起きて準備するのが、私の日課だった。


「よーし! 今日も一日頑張らないとね」


 自分に気合いを入れて起き上がる。

 服を着替えて、寝癖をとかし、一階のキッチンへ向かう。

 二人が起きてくる前に、朝食の準備を済ませる。


「えーっと、確か昨日の残りが……」


 元々料理は得意なほうだった。

 聖女として大聖堂に入る前は、街の小さな教会に住んでいて、シスターの手伝いで料理もしていたから。

 王城近くの屋敷で生活するようになっても、時折自分で適当に作っていたこともある。

 あの頃の経験が、今の生活に活かされていると思うと、ちょっと皮肉だ。


 朝食の準備を終える。

 あとは二人を待つだけとなって、先に降りてくるほうは決まっている。


「おはよう」

「おはよう、カリナ」 


 次女のカリナ。

 私と同じ聖女で、本が大好きで私よりいろんなことを知っている。

 今は図書館の司書として働いていて、毎日忙しそうだ。


「ちょっと待ってて。今からサーシャを起こしに行くから」

「わかった」


 もう一人の妹は、自分で起きてはこない。

 子供でもないんだし、そろそろ一人で起きられるようになってほしいけど。

 そこが可愛い所でもあるから、悩みどころだ。


「サーシャ~ もう朝よ~」

「ぅ……はーい」


 部屋の外から呼びかけると、中から眠たそうな声が返ってくる。

 一先ずこれで起きてはくれるけど、大抵このあと放っておくと二度寝する。


「入るわよ」


 中へ入って、直接起こすのもいつも通り。

 ベッドで布団にくるまっている小動物みたいな女の子が、三女のサーシャ。

 三姉妹の中で一番元気で明るい。

 運動神経も良くて、王国にいる頃から、騎士の人たちに混ざって剣の稽古をしていたりもした。

 今は冒険者になって、いろんな依頼を受けているとか。

 危険な仕事だから私は反対だったけど、頼りになる仲間?を見つけたみたいで、帰宅すると楽しそうだ。


「サーシャ」

「う~ あっ、アイラお姉ちゃん」

「また寝ようとしてたわね? ちゃんと起きなさい」


 身体を揺すって、近くで声をかける。

 これでようやく目が覚めてくれたのか、サーシャは起き上がり着替えを始める。

 私は一足先に下へ降りて、彼女が来るのを待っていた。


「おっはよー!」

「おはよう」


 目が覚めたサーシャは元気いっぱいに挨拶をした。

 寝起きも同じくらいシャキシャキしてくれると嬉しいのにな~

 とか思いつつ、三人がテーブルを囲む。


「揃ったわね。じゃあ――いただきます」

「「いただきます」」


 三人仲良く朝食をとる。

 この街へ来てから三か月余り、仕事中の昼を除いて、一度も誰かが欠けたことはない。

 必ず三人そろってご飯を食べるようにしている。

 別に意識しているわけじゃないけど、そういうものだと思うから。

 たぶん二人も、私と同じ気持ちだと思う。


「ごちそうさま。サーシャは今日もギルドよね?」

「うん! 今日はちょっと遠出する予定なんだ!」

「そうなの? 帰りは遅くなりそう?」

「う~ん、たぶんいつも通りだと思うかな」

「そう、じゃあ夕飯を作って待っているわ」

「はーい!」


 そう言って、サーシャは張り切って立ち上がる。

 一番寝坊助だけど、家を出るのは彼女が一番最初だ。


「いってきまーす!」

「いってらっしゃい」

「気を付けて」


 私とカリナで見送ってから、朝食の片づけをする。

 それから少し後に、私たちも家を出る。


「カリナはいつも通り?」

「だと思う」

「そう。頑張りなさいよ」

「わかってる。じゃあ行ってきます」

「私も行ってくるわ」


 出発の時間は一緒でも、向かう方向がぞれぞれ逆だ。

 カリナはグレンベルへ大図書館という、この街で一番大きな図書館へ。

 私は反対方向へ歩いていく。

 

 次女のカリナは司書。

 三女のサーシャは冒険者。

 じゃあ長女の私は何をしているのか?


 ヒントを言うと、私らしいことだと思う。

 ある意味変化はない。

 二人もやろうと思えば出来るけど、たぶんやりたがらないお仕事だ。


 飲食店のお料理をしている?

 服屋さんの店員?

 それとも、お医者さんの真似事?


 全部外れだ。

 私は一体何なのか。

 その答えが、今の私のお仕事に繋がっている。

 

 到着したのは――


 王城前にある聖堂だった。

 そう。

 何の因果か、私は今でも聖女として働いている。

ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも面白い、面白くなりそうと思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

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