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聖女三姉妹 ~本物は一人、偽物二人は出て行け? じゃあ三人で出て行きますね~  作者: 日之影ソラ
次女カリナ

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27/50

 仕事初日を終えた帰り道は、驚くほど足が重たかった。

 家に帰ってご飯を食べている間も、疲れの所為で眠気が酷い。

 うとうとしていると、アイラが心配そうな顔をして尋ねてくる。


「カリナ大丈夫?」

「大丈夫」

「すっごく眠そうだね~」

「うん」


 わたしは適当に答えていた。

 アイラが続けて言う。


「司書のお仕事ってそんなに大変なの?」

「大変だけど……これは別の疲れで」

「別?」


 ここでハッと気づいて目がさえる。

 研究室やナベリス博士のことは、国が管理している秘密。

 家族と言えど、無暗に教えるのは違反となり罰せられる危険性がある。

 わたしは慌てて誤魔化す。


「ううん、覚えることが多くて大変なの」

「そう? あんまり無理はしちゃ駄目よ?」

「うん。ありがとう」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 二日目の出勤。

 わたしは図書館に到着すると、教えられた通りに服を着替えた。

 すでにミーア館長が待っていて、わたしに話しかけてくる。


「おはよう。昨日の疲れはとれたかしら?」

「えっと、はい」

「そう。じゃあ昨日の復習から始めましょうか」


 午前中は変わらず館長に仕事を教えてもらう。

 昨日教えてもらった所は、何とか覚えていて実践できた。

 ほっとしつつも次の仕事がある。

 初日に続いて二日目もハードだ。

 

「じゃあ午後はお願いするわね」

「はい」


 午後は研究室でナベリス博士の助手として働く。

 たくさん質問された翌日だから、少し行くのが億劫だ。

 それでも足を進め、研究室に入って驚かされる。


「えっ……」

「来たか」

「あの、何でもう散らかっているんですか?」


 足の踏み場のない部屋。

 昨日と全く同じ状況が、二日目にも起こっていた。

 さすがのわたしも呆れてしまって、彼に視線を送る。


「あぁ……すまない。昨日の話をまとめていたんだが、中々上手くいかなくてな」


 そう言っている彼の目元には、真黒な隈が出来ている。

 もしかして昨日は寝ていないのかも。


「今日も新しくわいた疑問を処理したい」

「その前に片付けます」

「そうだな、頼む」


 二日目も変わらず質問攻め。

 昨日も散々質問したのに、よく新しい質問が出てくるものだ。

 呆れを通り越して感心してしまう。


 三日目。

 同じように午前中は司書として働き、午後は助手として研究室へ。

 またしても散らかった部屋を見て、さすがのわたしもため息を漏らす。


「またですか……」

「すまないな。色々と手が回らんのだ」


 博士の目元に視線がいく。

 昨日よりも真っ黒だ。

 間違いなく徹夜しているのだろう。

 顔色も良くないからわかる。


「寝たほうが良いと思います」

「そうだな。今取り掛かっている研究がひと段落つけば休むつもりだ」


 そんなことを言っていた四日目。

 またしても散らかった部屋になっている。

 それ以上に驚きなのは、博士の隈がさらに濃くなっていることだった。


「また寝ていないんですか?」

「ああ」

「身体に悪いです」

「わかっている。だがこれを終わらせてから……」


 と言いながら、博士はふらついている。

 今にも倒れてしまいそうだった。

 そんな様子を見せられ、わたしの中の聖女だった自分が騒ぎ出す。


「寝てください」

「いや、これを――」

「いいから寝てください。でないと答えません」

「ぅ……わ、わかった」


 博士はしぶしぶ研究室のソファーで横になる。

 その数秒後には、穏やかな寝息を立てていた。

 やはり眠気を我慢していたようだ。

 わたしは純粋に、どうしてそこまで頑張れるんだろうと思った。

 それと同じくらい思うことがある。


「何で……わたしを助手にしたのかな?」


 ぼそりと呟いて、毛布をかけた。

 

 その後は部屋の片づけを済ませて、研究室を後にする。


「あら? どうしたの?」


ちょうどそこをミーア館長に見られて声をかけられた。

 わたしは事情を説明した。


「へぇ~ 彼が言うことを聞いたのね」

「はい、一応……」

「そう」

「あの……どうして博士は、無理をしてまで研究をしているんですか?」


 ミーア館長なら知っていると思った。

 わたしが質問すると、彼女は優しく微笑んで言う。


「それは自分で聞きなさい。彼が起きてからね」

 

 ポンと肩をたたかれる。

 何か意味がありそうだったけど、それ以上は教えてくれなかった。

 結局、その日から博士は二日間眠り続け、起きたのは三日後の昼。

 わたしが研究室を尋ねると――


「うぅ……うーん!」

「あっ、お目覚めですか?」

「あぁ、君か。今は何時だ?」

「十二時十分です」


 博士が時計をぼーっと見つめる。

 まだ寝ぼけているのかもしれない。


「何日たっている?」

「えっと、三日です」

「そうか。思いのほか早かったんだな」


 どうやらもっと長く眠っていることもあるらしい。

 博士の徹夜癖は、ずっと前から続いているのか。

 病気の研究や薬を作っている人が、一番健康から遠い生活をしているなんて皮肉なことだと思った。


「では続きを始めようか」

「あの、その前に一つだけ……」

「何だ? 質問か?」

「はい」

「そうか。まぁ良いだろう。何が知りたい?」


 わたしはモジモジしながらも、博士に尋ねる。


「どうして……そんなに頑張れるんですか?」


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― 新着の感想 ―
[一言] いい人だな。博士。変態だけど。
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