表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女三姉妹 ~本物は一人、偽物二人は出て行け? じゃあ三人で出て行きますね~  作者: 日之影ソラ
三女サーシャ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/50

 家に帰ってドラゴン討伐の話をした。

 案の定、お姉ちゃんたちには反対されたけど、ボクの意見は変わらない。

 結局は二人が諦めて、ボクがわがままを通した感じになった。

 そう、ボクのわがまま。

 だから、ちゃんと生きて帰らなくっちゃね。


「よーし! 頑張るぞぉー!」

「……急にどうしたんだ?」

「ううん、何でもない。ただ気合を入れ直してただけだよ」

「そうかい。まぁほどほどに気張れよ」


 そう言うおじさんはやる気が低めだ。

 この間の話の時は、もう少し真剣に聞いていたのに。


「もぉ~ おじさんはもっとシャキッとしなきゃ!」

「別に良いだろ。というか、これだけ人数がいれば、オレがわざわざ出向かなくても良かったんじゃないのか?」


 周囲を見渡すと、人の波が出来ている。

 ボクたちがいる場所は、王都から北へ離れた草原の広がる場所。

 ここをさらに北へ進むと、徐々に緑が減っていって、山岳地帯に差し掛かる頃には温かい格好をしていないと寒くて震える。

 

 ジュードさんの話通り、あの二日後にギルドから緊急依頼が提示された。

 内容はアイスドラゴンと、複数の魔物の討伐。

 報酬は歩合制で、倒した魔物の数だけ多く得られる。

 後は騎士団側からの視点で、アイスドラゴンとの戦闘で大きく貢献すれば、さらに追加報酬も貰えるとか。

 そうでなくても、参加するだけで最低額が保証されている。

 だからなのだろう。

 街にいる冒険者のほとんどが、この依頼に参加しているようだ。


「騎士団と合わせてざっと三千はいるだろ。そんでジュードも参加してるなら、オレなしでも十分勝率は高い」

「そうなの?」

「ああ。これだったら帰っても――」

「ダメだ」


 後ろから声をかけられた。

 振り向く前に誰かはわかっている。


「ジュードさん!」

「やぁサーシャちゃん、君も参加してくれるんだね」

「はい! 足手まといにならないよう頑張ります!」


 ボクはピシッと背筋を伸ばして敬礼をする。

 ジュードさんは優しくニコニコと笑って頷いた。


「良い心がけだ。それに対して……タチカゼ。お前はもっとやる気を出せ」

「そう言われてもなぁ~」

「はぁ、いいか? 前に話した通り、今回のドラゴンは大きい。下手をすればこちらが壊滅するかもしれないんだ」

「何言ってんだよ。お前がいて、下手をするなんてことはありえないだろ」

「信頼はありがたいが、お前もドラゴン戦に参加するんだぞ?」


 ジュードさんもそれが目的で話をしてくれたのだろう。

 だけど、おじさんは手を振って言う。


「オレはいいや。適当に流れてきた魔物と戦うから」

「なっ……ん? あーいや、そういうことか」

 

 途中まで呆れていたジュードさんだったけど、なぜか急に表情を変えた。

 ボクのことをチラッと見て、頷きながらおじさんに言う。


「お前も優しくなったな、タチカゼ」

「は?」

「隠さなくても良い。ドラゴン戦に参加したくないのは、サーシャちゃんのためだろう?」

「ぅ……」

「えっ、そうなの!?」

「なんのことやら」


 おじさんはボクから目を逸らした。

 ジュードさんは笑って言う。


「お前がドラゴン戦に参加すれば、仲間のサーシャちゃんも危険にさらされる。かといって一人にしておくのも心配だから、一緒にいてあげたい。という感じか?」

「いや、別にそういうわけじゃ――」

「あーいやわかっている。そういう理由なら私も無理強いは出来ないからな」

「こいつ……」


 ジュードさんはニヤリと楽しそうに笑っていた。

 からかっているのがボクにもわかる。

 こんな顔をするんだなぁと思いながら、照れてるおじさんが見れて嬉しい。


「仕方がない。では私たちで頑張るとしよう」

「……苦戦しても助けないからな」

「はっはっは。私はそんなヘマはしないと、そう言ったのはどこの誰だったかな?」


 ジュードさんが去った後、おじさんは大きなため息をこぼした。


「ねぇねぇ! さっきの話って本当?」

「は? んなわけないだろ」

「そっかぁ……」


 わざとらしくショボンとする。

 こういう時、おじさんはやさしいから頭を撫でてくれる。


「そんなことより、お前は死なねーように気を張れ」

「うん!」


 そうして時間が経過する。

 集まった冒険者と、騎士団員が列を作り、山岳エリアを目指した。

 話に聞いていた通り、山のふもとは凍える程寒い。

 山道の入り口は、雪の白さで覆われていた。


「いいや、ここは本来雪もつもってない場所だ」

「そうなの?」

「ああ、気を付けろよ」


 おじさんがそう言った直後、バサッと何かが頭上を通り過ぎた。

 全員の視線がうえに行く。

 そこには、翼を大きく広げた純白のドラゴンがいた。


「来やがったな」

「あれが……」


 アイスドラゴン。

 積雪地帯等に生息するドラゴンの一種。

 非常に凶暴で攻撃的。

 敵と判断した相手には、氷のブレスを吐きつける。

 この辺りに雪が降り積もっているのは、アイスドラゴンがよく行き来しているから。

 いち早く気付いたボクたちは、共に武器を取る。


「魔物も来たぞー!」


 誰かの声が響く。

 山頂側から大量の魔物が押し寄せる。


「さぁて、ほどほどに頑張りますか」

「ボクも頑張るよ!」

ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも面白い、面白くなりそうと思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >この間の話の時は、もう少し新権威聞いていたのに 親権威? 保護者ぶっているのか、それとも真剣に聞いていたの間違いか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ