表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/50

 冒険者ギルドに入ると、ボクはいろんな視線を集めた。

 受付にいるお姉さんも微妙な表情で見ている。

 ボクの容姿は目立つし、何より一人だから皆も不思議がっているのかもしれない。

 そんな視線を気にしながら、ボクは受付に近づく。


「すみません! 冒険者登録ってここで出来るんですか?」

「え、はい。可能ですよ」

「じゃあお願いします」

「かしこまりました。ではこちらの必要事項の記入と、登録手数料をお支払いください」

「はーい」


 カキカキと書類に名前を書く。

 希望理由という欄には、昔からの憧れだったと記入した。

 それから空欄を埋めていって、書き終わった書類を受付のお姉さんに提出する。


「お願いします」

「はい。確認いたしますので、しばらくお待ちください」


 しばらく待つ。

 その間も、周囲からの視線が気になって仕方がない。

 明日からは目立たないように、フードでも被ってきたほうがいいのかな。

 

 二分くらい経ってから、受付のお姉さんが戻って来た。

 手にはカードを持っている。


「お待たせいたしました。こちらが冒険者カードになります。冒険者としての身分を証明する物ですので、依頼中は持ち歩くことをお勧めします」

「はい!」

「続いて、これは任意なのですが、冒険者についての説明をご希望されますか?」

「あっ、ぜひお願いします!」


 受付のお姉さんはニコリと笑う。

 最初にギルドについての説明があって、その後から依頼受注に関する話をされた。


「依頼はあちらのクエストボードから選んでください。難易度な内容によって受注可能人数、報酬などの条件が異なります。最初は簡単な依頼から受けて、慣れてきてから難しい依頼に挑戦することをお勧めしています」

「なるほどぉ~」

「それとこれが一番重要ですが、冒険者になったばかりの方は、基本的に一人では依頼を受けられません」

「えっ、そうなんですか?」

「はい。一か月間は、必ず二人以上のパーティーで依頼を受けて頂きます」


 受付のお姉さんの話によると、これは最近になって決まったことらしい。

 何でも新人の冒険者が無茶をして、これまでに何人も命を落としているからだという。


「で、でもボクこの街に来たばかりで、知り合いとかもいないし」

「でしたらクエストボードを確認すると良いです。あそこには依頼以外にも、パーティーメンバー募集の張り紙もありますから」

「わ、わかりました」


 とにかくパーティーに入らないと、冒険者として働けないのか。

 少なくとも一か月はお世話になれる人たちを見つけないと。


「説明は以上になります。何か質問等はございますか?」

「いいえ、大丈夫です! ありがとうございました」

「はい。では最後に一つだけ――」


 そう言って、お姉さんは窓口からボクに顔を近づける。

 耳元でこっそりと言う。


「パーティー選びは気を付けてくださいね? 貴女みたいに可愛い女の子は、変なトラブルに巻き込まれやすいですから。くれぐれも、危ない人たちには関わらないように」

「はい!」


 お姉さんは心配してくれていたようだ。

 初めて会ったばかりのボクに、親切にしてくれて嬉しい。

 ボクはニコリと笑ってお礼を言う。


「ありがとうございます」

「いえいえ。何かございましたら気兼ねなくおっしゃってください」


 冒険者ギルドはもっと怖い場所だと思っていたけど、何だかホッとする。


 さて、さっそくパーティーを探さないと。

 クエストボードに行けば募集の張り紙があるんだっけ?

 後は変な人たちに関わらないように……


 ふと、ホールの端っこに座る一人の男性に目が行った。

 どことなく危ない雰囲気の中年男性だ。

 左腕がない所為もあって、目に留まったのかもしれない。


 あの人……一人かな?

 でもでも、おじさんだしちょっと怖そう。

 お姉さんにも言われたばかりだから、ああいう人には関わらないようにしないと。

 でも、何でだろう?

 悪い人じゃなさそうって感じがする。

 それに……寂しそう。


「あの、もしかしてパーティーを探してるのかな?」


 不意に後ろから話しかけられた。

 バッと勢いよく振り向くと、三人の若い男性三人が立っていた。

 ボクに声をかけたのは、真ん中にいる人だろう。


「ボクですか?」

「そう。良かったらウチに入らない? ちょうど一人募集しようと思ってたんだよ」

「え、いいんですか?」

「うん。そんなに強くないけど、俺たちのパーティーで良ければ」


 見た目は普通のやさしそうなお兄さんたち。

 快く声をかけてくれたし、たぶん悪い人たちじゃなさそう。


「ぜひお願いします!」


 だからボクは、彼らのパーティーに加わることにした。


「ありがたいよ。この間に一人抜けちゃって、全然新しい人が見つからなかったんだ」

「そうだったんですか?」

「うん。中々ソロで活動している人って少ないからね」


 ボクはチラッとおじさんに目を向ける。

 ソロというなら、あの人も当てはまりそうだけど……


「あぁ~ あの人には関わらないほうが良いよ」

「えっ、どうしてですか?」

「ベテランらしいんだけど、簡単な依頼しか受けないし、基本的に一人でいる変わり者だからね。変に話しかけると、襲われるかもしれないよ」

「……そんなことはないと思うけどなぁ」


 と、ボクは小さく呟いた。


ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも面白い、面白くなりそうと思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ