5.嫌なやつ
馬車が出発して10分が経過した。
目的地まではあと30分ほどかかるらしい。
別にサオトメ先生もなんだかんだ良い人だし
教師という立場から普通6人つめつめに
乗らないといけないところを4人で
座れているためゆったりもできる。
しかし俺は今サオトメ先生と2人で乗るよりも
不快だ。
「ねえサキちゃんはどんな男の人がタイプ?」
「いや、えっとその…」
「サキちゃん照れちゃってかわいい」
出発してからずっとこの調子だ。
あーーームカつく!!
何が照れちゃってかわいいだ、全然照れてねえよ、
サキは困ってる顔してるよ、ひきつってるよ!!
2人目に乗ってきたのがベータとは最悪だ。
見た目はチャラ男かん満載の赤髪の男。
ちょっと顔がいいのと赤色魔法が
学年2位の実力だからって…。
「そうだ弁当一緒に食べない?
俺サキちゃんの弁当食べてみたいなー」
「えっとノア君と食べる約束してるから
遠慮します」
ベータが俺を睨みつける。
俺も負けずと睨み返す。
するとふっと俺を馬鹿にするように笑った。
「こんなやつより俺の方がサキちゃんに
似合っているよ。実力も容姿も!
サキちゃんだって見ただろ?
俺とノアの対決を」
対決というのは実技テストのことだ。
俺は一回戦でベータとあたった。
魔力の少ない俺が勝てるはずもなく
火属性魔法を連発され防ぎきれず敗北。
別に俺はベータに負けたから
嫌いになったのではなく
こうやってサキに絡んでいることだ。
サキも嫌がってはいるが強く言えないし、
俺が変わらに言おうか?と相談したら
あまり争いは起こしたくないから。
わたしが我慢したらいいだけだから、と
言っていたから俺も我慢している。
「ノア君は魔力が強くなくても
それ以外のことなら最強だよ」
「例えば?」
「ずっと前からみんなに優しいし、筆記の方は
学年上位だし、サオトメ先生の稽古毎日頑張ってるし」
サキ…お前そんなこと思ってくれていたのか…。
嬉しいような恥ずかしいような。
少し顔が赤くなっている気がする。
そんな俺を見ながらベータは言い放った。
「努力したってこいつは無駄だろ。
所詮その程度の男なんだよ」
俺も流石にキレそうになったが
サキも我慢してるんだし俺は我慢しないと。
そう思っていたが俺はサキの方を見てひやっとする。
ベータを睨みつけ、明らかに
ビンタをしようとしている。
まずい…俺はともかく優秀なサキが問題を起こすと
色々と面倒くさいことになる。
俺は手を伸ばした。
「ベータ、さっきから口説きがうるさい。
やるならせめてわたしのいないところでしろ。
嫌味か?」
俺がサキのビンタを阻止するより先に
サオトメ先生が口を開いた。
そのおかげでサキのビンタも止まった。
良かった…と安堵したあと俺もベータに何か
言いたかったからこの空気にのる。
「そうだぞベータ、サオトメ先生は婚期逃して
そういうことに敏感になってるんだから
失礼だろ…ぐはっ!?」
先生の強烈な拳が溝にささる。
意識が飛びそうなのをギリギリ耐える。
「ノア、お前はあれか、わたしを怒らせないと
死んでしまう病気でもかかっているのか?
可哀想に…そんな病気で死ぬくらいなら
わたしに撲殺されるほうがいいよな、
今してやる」
「冗談、冗談ですって!?
先生はまだまだぴちぴちの20代後半…ぐへっ!?」
身体中に恐ろしいほどの速さでラッシュで
打ち付けられる。
「先生、ノア君ほんとに死んじゃいます!」
サキがサオトメ先生を止めるもラッシュは止まらず
俺は目的地についてからサオトメ先生に
叩き起こされるまで目が覚めることはなかった。
読んでいただきありがとうございました!
少しでも「おもしろい」、「続きが読みたい」と
思っていただけたなら下の方にある星をお願いします!
ブックマークや感想も励みになるので
よろしくお願いします!




