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閑話 「音声記録 1777‐JP」

凡そ二十年ほど前の出来事。

『――先日もお伝えしましたが、私の提案と内部探査の承認をしていただいた事を心より感謝いたします。撮影機器の準備と彼女の遺体の処理は完了しました。これより内部探査を開始します』






『や、奴の出現を確認しましたっ。ぐっ……このまま、進行を続けます』






『――はぁ、はぁ……その、すみません。どうしても、怖くて……ゲッホ、ぐっ……はぁ、すみません、進みます……』






『はぁ、はぁ、あぁ……すみません。一旦、止まります。視界が、モザイクに塞がれていて……ぁぁ、どうして……』






『はぁ、ぁが……す、進みます。もう、大丈夫です……はぁ、はぁ』






『……先程から、特に視界に変化はありません。奴は今の所一度だけ現れて、恐らく私の中に入り込みました。過去の記憶を辿ると、モザイクの数が増えていましたので……』






『やはり、奴は一体だけがキャリアに寄生する訳では無いようです。複数いるのか、それとも増殖しているのかは判りませんが……』






『――現れました、二体目です。目まぐるしく色を変え続けながら、徐々にこちらに近づいて来ます……!』






『ほ、本音を言えば、怖くて怖くて堪らない。足を進めるのもやっとなのですっ……ハハッ、なんで、どうしてこれほど恐ろしいのでしょうか? もう私は生きていないも同然で、恐怖など気にせず探査が出来ると考えていたのに……どうも、そう上手くは行かないみたいです。本当は、本当は今すぐ逃げ出したくて、仕方が無いんです……!』





『……いえ、その、すみません……。余計な事でしたね……そう、ここに来てから、十五分ほど経ったと思います。まだ、道や景観に変化はありません。只々モザイクが襲って来るだけです……すみません、また止まります。視界がモザイクに、なりました……ぅぁ――』






『――あっ、ああ……申し訳ありません。気絶していたようです。このまま、進みます……止まる訳には、行きませんから』






『はぁ、はぁ……』






『うぅ、ぁぁ……』






『ぐっ……ぐす、ぁぁ……いやだぁ……』






『あ……あぁ! ああああああっ!! く、来るな! 入って来るなぁぁぁぁぁっ!!』






『ふぐっ……ぐすっ……ぁぁ、いやだ、いやだぁ……! だ、だれかぁ! たす、たすけ……』






『あああああぁぁあああぁっぁああああっぁっぁあああああぁぁぁぁあああああっぁぁあああぁああああああ――――――っっっ!?!?!?!?!?!!!!!!!!』






『―――』






『――――――』






『―――――だ』






『―――これが、最後の務めなんだ。諦めるな』






『……そう言えば、風の音が徐々に聞こえなくなってきました。些細な変化ですが、明らかにさっきと違います。いえ……音だけでは無いです。風そのものが、吹かなくなっているように感じます』






『……完全に、風が止みました。それから、少しずつ景観も変化して来ました。奴とは違う、動かないモザイクが点々と現れて来ました。気のせいでは、無いと思います……怖いからとか、そう言うのでは無く……いや、幻覚でもそう変わらないか……』






『はぁっ、はぁっ……ま、周りのっ、はぁ、景観が、かなり狂って来ています……! 森のほとんどが、モザイクに覆われていて……はぁっ、音もっ、私の声ばかりで全くっ……はぁっ、あぐっ……はぁはぁっ……す、すみません。休憩しま、したいです……少しで良いので、目を瞑らせて下さい。体の震えが、止まらないんです……』






『はぁ、はぁ……ぁぁ、怖い……怖い、怖い、怖い……ぁぁ、いやだ……怖いよ……』






『……はぁ。少し、楽になりました。先に進みます……』






『はぁっ……あぐぅ……ぐす……ずず……はぁ、はぁ……ぁぁ、ぁぁ……はぁ……』






『――す、既に……森はモザイクに覆い尽くされてしまいました。どこをどう見てもモザイクしかありません。例外は、歩いているこの道だけです。この道だけが、唯一モザイクに覆われていません。これが、これだけが、今の私の希望です……けど、地獄を見ているような気分でもあるんです。過去も未来も現在も、全てモザイクに埋め尽くされていて……そして、訳も分からず怖いんです。いや、只々、この先に何があるのか調べる。その事だけを思って……も、もう気力も何も無いけれど……いえ、進みます。進まなくちゃ……』






『はぁ、はぁ……ぐっ……はぁ、ぁぁ……行かなくちゃ……す、進まなくちゃ……はぁっ、はぁっ……………ぁっ』






『み、道が、道が途切れました……! 完全に、これ以上先がありません……』






『……そうか、そうですか。結局、どれだけ諦めずに進んだって、先はもうない。あぁ、終わり。終わりだ。終わりなんだ! ああああああっ!! もうっ、ここから一歩先に進むだけでっ、全てが終わるっ!! あああぁぁぁああぁぁあぁぁぁっぁぁぁっぁああぁあぁあっぁぁあああぁぁ―――――っっ!!!???!?!!?!?!?!!!』






『―――――それでも、私は頑張った。頑張ったんだ―――』






『―――ありがとう、ございました――』






『――進みま『ドゥエっ!』――え?』






 ~音声記録終了~





















 ~(インタビュー記録 #6)~






『――それでは、インタビューを開始します。●●博士、よろしいですか?』



『ああ、はい。大丈夫です、いつでもどうぞ』



『では……その前に一つ。●●博士、よくぞ御無事で。こうして帰って来てくれたことを、一人の友人として心から嬉しく思います』



『ああ、ありがとう。私もまた君の仏頂面が見られて嬉しいよ』



『ふふ、それだけ減らず口が叩けるなら大丈夫そうですね。では、改めて……博士、貴方が助かった時の状況を話していただけますか?』



『ああ、勿論だ。あれは……何と言うか、あのモザイク以上に理解のし難い光景だったよ』



『と、言いますと?』



『君もあの音声記録は既に聞いて居るのだろう? あの記録の最後、私が途切れた道の先に踏み出そうとした瞬間、ドゥエ! と言う奇声と共に、私を助けてくれた()現れたのだよ。本当に、何も無い所から突然に』



『ええ、存じています。まぁおかしな話ですが、転移自体はそれほど珍しくも無い物ですのでこの際置いておくとして……問題はどうやってその彼が貴方を救ったのかです。あの場所で博士が発見されたのち何度も調査が行われましたが、あのモザイク状非実体が出現する空間も含めてあの森の異常性の何もかもが、きれいさっぱり消え去っていました。それをどのようにして成し得たのかを我々は知らねばならない。判る範囲で説明して頂けますか?』



『―――あれ、何というか、『()』を使ったのだよ』



『無、ですか?』



『ああ、無だ。私の目の前に現れた彼は視覚的には何も手に持っていなかったが、私には不思議とその手に無が、『何も無い状態としか形容出来ないナニカ』があるように感じられたんだ。その彼が、手に持った無を掲げて言葉を発した。その次の瞬間、気付けば私は異常空間から脱出していて、私の中に入り込んだ数えきれないほどのモザイクたちも、きれいさっぱり消えていたんだ』



『何と、言っていたんですか?』



『―――『エンディングだぞ、泣けよ』と、言っていたなぁ……』



『???』




 ~(以下後略)~

救ってくれた彼、一体『何TASお父さん』なんだ?(バレバレ)



蓮上の住む地球世界にSCPや財団の要素は后娥ちゃんに回収された現実改変能力者ちゃんくらいしか無いですけど、蓮上の中の緋色の鳥も含めて類似のものは存在しています。(邪神とかダンジョンとか存在している世界観だしおかしくないよね。そもそもカインとアベルとかモロ元ネタが旧約聖書だし)


まぁ、大体の異常存在が蓮上が生まれるよりも前に睡蓮(ローTAS)お父さんの世代人たちに狩られまくったんですけどね。

アンダーソン大統領もその一員だったりします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ワクワクする展開ばかりでとてもいい作品だと思います……。 認識の鳥の解釈もとても中2臭くて僕好みです。赤時化夜薙げ緋色の鳥よの一説がここまでカッコイイとは……。 [一言] つい最近こちらの…
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