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閑話 「赤い原野にて」

まさか第十一期でアームド・ドラゴンがパックの表紙になるとは……

この喜びをGX世代と分かち合いつつ、それでは皆様ご唱和ください彼の名を!



一、十、百、千、万城目サンダー!!



 ―――赤く、紅く、朱く、全てが赫に染まった空と大地がどこまでも広がっていた。


 いや、全てが(・・・)と言うのは語弊がある。

 本来であれば赤一色であるはずの世界であったそこには現在、赤以外の色を持つものが存在していた。



『―――――』



 そんな中、大地と空の狭間と呼べる位置にこの世界の主が浮かんでいた。

 赤く、紅く、朱く……どこまでも深く濃い赫色を持つ『緋色の鳥』が羽搏く事も無く、翼を畳んだ状態で宙に留まり眼下に広がる大地を見つめていた。


 そこに在ったのは、暗く、昏く、夜闇よりもなお見通せぬほどに黒く染まった湖の様な物だった。


 緋色の鳥は、決してそれに近づこうとはしない。

 その黒い湖の正体が何であるのかを理解しているからだ。


 湖を満たす黒い泥の様な、粘つく影の様な液体の正体は意識を失っている蓮上の精神そのものだった。

 精神世界たる緋色の鳥の世界において、本来人型を保っている筈の精神が原形を留めず液状と化している。

 明らかな異常事態だが緋色の鳥に疑問は無い。

 何故なら、蓮上の精神が現在このような状態になっているのは緋色の鳥が意図して起こしている出来事だからだ。



『―――――』



 緋色の鳥は考えていた。

 何故、蓮上がこうも立て続けに醜態を晒しているのかと。

 何故、自分を好精神世界で毎晩のように殺し続けている人間の姿をした化け物が、自分よりも遥かに劣る女神の幼体風情に後れを取り続けているのかと。


 ……屈辱だった。


 万物の捕食者である自分を容易く打倒し得る、認識界の王たる自分が埒外の化け物と認めた男が、自分にとっては取るに足らぬ木っ端程度の存在に敗北したのだ。

 緋色の鳥のプライドは大きく傷つけられていた。



 何故お前が負けている? 殺そうと思えばいつでも殺せただろう!? お前の敗北はお前に勝てないオレの貶める事なんだぞ!!



 そう言って感情のままに蓮上を怒鳴りつけてやりたいと、緋色の鳥は心底から思っていた。



 だが、だがしかしだ。

 この状況は実に都合が良い(・・・・・)


 緋色の鳥は考えていた。

 どうしたらこの男があんな塵芥風情の小娘共に二度と敗北しない様にすることが出来るのかと。

 どうやったら、この男にそれだけの強さを身に付けさせられるのかと。



 大真面目に蓮上の強化プランについて考えている緋色の鳥だが、自身を幾度も殺した蓮上を更に強くすることについての疑問は無い。

 そもそも精神世界の存在である緋色の鳥にとって、現実の蓮上の肉体がいくら強化されようと脅威にはならないのだ。

 寧ろ(いず)れ蓮上との決着をつけた暁には、自身にとって初めての天敵と呼べる蓮上の肉体を記念として自身の永遠の依代として残して置こうなどと思っており、何れ自分のものとなる肉体を今の内に理想の物に作り変えておこうと考えていた。



 緋色の鳥は考える。

 精神や技量はともかく、根本的に蓮上の肉体に足りないものは何か、と。

 答えは耐久力だった。


 元から蓮上は高いレベルや各種スキルによってそれなりに高い耐久力を持ってはいたが、それはあくまでそれなり(・・・・)程度に過ぎない。

 所持している奥義スキルも耐久面に貢献しているのは衝撃波の鎧を纏える『天破激震の頂』と、全能力値強化で他の能力値と共に耐久を上げ『防御神性』や被ダメージ軽減の障壁を纏える『寵愛されし者』の二つしかない。

 そもそも今回蓮上が敗北したのは、スキルや魔法を抜きにした素の肉体の脆弱さが原因とも言える。

 人間の肉体の現界と言ってしまえばそれまでだが、何れは自分の依代とする以上器となる肉体には人間の枠組みなどを超越した性能が必要だと緋色の鳥は考えていた。



『―――――』



 ではその為に何が必要となるのか?

 蓮上の肉体をより自分好みの優れた者に作り変えるには、どのような材料が必要なのか?

 緋色の鳥は既に、その答えを得ていた。



『―――――』



 必要となるもの、最も適した材料は以前に蓮上が倒した事のある()の存在だ。

 それもただ一匹だけでは無い。

 七種類存在する龍の全てと、その原典たる真なる龍を喰らう必要があると緋色の鳥は判断した。



『―――――』



 それらを探し出す手段は既にある。

 角の龍との邂逅で臭いは覚えた。

 それを辿るのは、非常に簡単な事だった。



『―――――ハハッ』



 緋色の鳥が哄笑を上げる。

 軽く意識を向ければ、既に狩った角の龍を除く七体全ての居場所を把握出来た。



『―――ハハハハッ!』



 緋色の鳥が翼を広げて旋回を始める。

 それに呼応するように眼下の黒い湖が蠢動を始める。



『ハハハハハハハハッ!!』



 精神世界より蓮上の肉体を操りながら、緋色の鳥がほくそ笑む。

 例えどれほど不愉快な思いを感じようと、屈辱を受けようと、最後に全てを喰らい尽くすのは自らだと。

 緋色の鳥は、そう信じて疑わなかった。

そこで調子に乗っても碌な目に合わないと何故学習しないかなぁ、緋色の鳥くん。

君が化け物と呼んでるその男は、例えるなら「ゴールデンレトリーバーからシンゴジラに進化する意味不明生物」なんだよ?

まぁ、その父親の方が更に輪をかけて意味不明だけど。

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