閑話 「STKトレイン」
ネタを思いついたので投稿です。
俺の名前は『成瀬 和也』、私立彩宝学園に通う高校二年生だ。
学園での俺は『学園内でも一、二を争うイケメン』と呼ばれているし、実際昔からよく告白されたり、毎日の様にラブレターを貰ったりしている。
けど、最近はその肩書にも自信が無くなって来ている。
現在進行形で、肩書が役に立っていないからだ!
俺には好きな女の子が居る。
名前は『青ヶ谷 奏美』。
クラスメイトであり、『学園内でも一、二を争う美少女』と呼ばれている。
正直初恋だった。
誰かから好かれることには慣れていたが、自分がその立場になるとは夢にも思っていなかった。
だからだろう、我ながら不器用さ丸出しではあったが、俺は彼女の気を引こうと沢山話しかけた。
だが、何故か彼女と話す度に、彼女との間にある空気はどんどん険悪になって行く。
一体何故か判らない。
どうにかして彼女に機嫌を直して貰おうと思い、臆せず話しかけ続けているが、その度に彼女の態度は硬くなって行っている。
早くどうにかしないと、そんな焦りが募る中、驚きの出来事が起こった。
何と、彼女が他の男子と楽しそうに昼食を取っていたのだ!
相手はクラスメイトの『赤松 蓮上』という根暗な男と、そいつと良くつるんでいる『黄村 英一郎』という忍者オタクの男だった。
彼女は親友である『緑河 遥』と一緒であったが、たとえそうだとしても、彼女が男子と食事を共にしている姿を見るのは初めてだった。
俺が誘っても毎回断られていると言うのに!
俺が見るに、黄村はオマケで諸悪の根源は赤松だ。
奴は卑怯にも、手作りのお弁当で彼女の気を引くと言う、狡猾な手段でもって彼女と緑河さんを篭絡しようとしているのだ!
しかも奴は、放課後彼女たちと共に下校し、彼女のいつもの帰宅コースとは別の道を進んでいた。
おのれ赤松蓮上! 青ヶ谷さんをどこへ連れ込むつもりだ!?
このままでは、青ヶ谷さんの身に危険が及ぶかもしれない。
そう考えた俺は、青ヶ谷さんたちの後を尾行した。
今は大人しくしているみたいだが、何れ奴はその邪悪な本性を現すに違いない!
俺が青ヶ谷さんを……いや、奏美を守らなくては!!
その使命感に突き動かされ、俺は赤松の一挙一頭足も見逃さないつもりで見張っていた。
奏美に指一本でも触れようとしたら、その時には! ……うん? 黄村が何かして……何だあの煙は!?
ぐわぁぁああああああっ!?
◇
私の名前は『寺島 美琴』、私立彩宝学園に通う高校二年生だ。
学園での私は『学園内でも一、二を争う美少女』と呼ばれているし、実際昔からよく告白されたり、毎日の様にラブレターを貰ったりしているわ。
けど、最近はその肩書にも自信が無くなって来ている。
現在進行形で、肩書が役に立っていないからよ!
私には好きな男子が居る。
名前は『成瀬 和也』。
クラスメイトであり、『学園内でも一、二を争うイケメン』と呼ばれている。
正直初恋だったわ。
誰かから好かれることには慣れていたけど、自分がその立場になるとは夢にも思っていなかったのよ。
けど、彼には既に好きな人が居た。
相手の名前は『青ヶ谷 奏美』。
私と同じく『学園内でも一、二を争う美少女』と呼ばれている女の子。
正直彼女が相手では分が悪い、そう思い若干及び腰になるほどの強敵だ。
だが相手に不足無し、そう私は思っていた。
そう、思っていた。過去形だ。
あの女は彼から幾ら話しかけられても、険悪な態度ばかりを取り、彼の純情を弄ぶ悪女だった。
その証拠に、あの女は今度は新たに二人の男子に目を付けて、その毒牙に掛けようとしている。
二人の名前は確か、根暗な方が『赤松』で、忍者オタクの方が『黄村』だったはずだ。
このままでは、彼まであの女の毒牙に掛かって、酷い目に合ってしまうかもしれない。
それを阻止する為に、私はあの女の後をつける彼の尾行を開始した。
待っててね、成瀬君……ううん、和也君! 絶対に私が、目を覚まさせてあげるから!
そして憶えていろ、青ヶ谷奏美。お前の下劣な正体を白日の下に晒し、絶対に和也君を私が守……うん? あの女と一緒に居る男子の一人、黄村が何かをして……何!? あの煙は!?
きゃぁぁああああああっ!?
◇
僕の名前は『四十院 恭弥』、私立彩宝学園に通う高校三年生であり、学園の生徒会長を務めている。
学園での僕は『学園内でも一、二を争うイケメン』と呼ばれているし、実際昔からよく告白されたり、毎日の様にラブレターを貰ったりしている。
けど、最近はその肩書にも自信が無くなって来ている。
現在進行形で、肩書が役に立っていないからだ!
僕には好きな女の子が居る。
名前は『寺島 美琴』。
同じ学園に通う後輩であり、『学園内でも一、二を争う美少女』と呼ばれている。
正直初恋だった。
誰かから好かれることには慣れていたけど、自分がその立場になるとは夢にも思っていなかった。
けど、彼女には既に好きな人が居た。
相手の名前は『成瀬 和也』。
僕と同じく『学園内でも一、二を争うイケメン』と呼ばれている男子だ。
正直彼が相手では分が悪い、そう思い若干及び腰になるほどの強敵だ。
だが相手に不足無し、そう僕は思っていた。
そう、思っていた。過去形だ。
あの屑野郎は彼女に好意を持たれていながら、他の女にかまけるろくでなしだった。
あんな奴の事を好きで居たら、何れ彼女が駄目になってしまう。
そう思い、奴の事を追いかける彼女の後をここまで尾行して来た。
待って居てくれ、寺島くん……いや、美琴ちゃん! 僕が絶対、君の目を覚まさせてあげるから!
そして覚悟しろ、成瀬和也。必ずや、貴様のドブの様な本性を暴き出して……って、何だあの煙は!?
うわぁぁあああああああっ!?
◇
私の名前は『桑原 篠』、私立彩宝学園に通う高校三年生であり、生徒会書記を務めている。
私には好きな人が居る。
名前は『四十院 恭弥』。
生徒会長であり、『学園内でも一、二を争うイケメン』と呼ばれている。
正直初恋だ……って、何なのあの煙!?
いやぁぁあああああああああっ!?
◇
俺の名前は『多田野 清太郎』、私立彩宝学園に通う高校二年生であり、生徒会副会長を務めている。
俺には好きな人が……って、何だあの煙!?
ぬわぁぁああああああああっ!?
◇
俺の名は『高畑 五郎』、私立彩宝学園の体育教師であり、生徒指導も担当している。
今日は、学園の近所の住人から、我が校の生徒たちが可笑しな行動をしているとの連絡を受け、その様子を見に来た。
一体誰がそんな事をしているのかと思えば、その場に居たのは我が校の生徒会メンバーを始めとする有名な生徒ばかりであった。
やれやれ、彼ら彼女らは他の先生方からの評判も良く、我が校の顔の様な生徒たちだと思っていたのだが、これは認識を改めなければいけないかもしれないな。
だが、それは失望したという意味では無い。
どんな前評判があろうと彼ら彼女らはまだ子供であり、あの子たちが間違った事をすれば、それを正し導くのが教師である俺の使命だ。
とりあえず全員の話を聞いて……まずは、自分の行動が周りにどう見えるのか、客観的に考える事を教えなければな。
人の振り見て我が振り直せというが、客観的に自分の間違った部分を認識する事こそが、一番の成長に繋が……何だあの煙は!?
むわぁぁあああああああああっ!?
◇
私立彩宝学園。
そこは、所属する全生徒、全教師の90%以上が奇人変人の類であると周辺住民から認識されている魔境である。
私の名前は『朝沼 詩織』、私立彩宝学園の数学教師だ。
私には好きな人が……
もういいって!
STKトレイン。
まともなのが高畑先生しか居ないじゃないか!
彩宝学園、どうしようもねぇなぁ……