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第六十九話 「その時何があったのか(前篇)」

(・▲・)「ジュリリリィィィッッッ!!!(祝! シャングリラ・フロンティア週刊少年マガジンにて連載決定!! 正直今年一番で嬉しいです。ファンの一人として歓喜の感情しか感じないっ!!!)」

「くたばりやがれェェエエエエエエエァァアアアアアアッッッ!!!」



 どうもこんばんは、何だかお久しぶりな気がする蓮上です。

 いいやそんな事はどうでもいい! 死に晒せやァァッッ!!


 裂帛の気合と怒号、全開の魔力と渾身の力を込めて彼方へと『朱雀羽織(すざくばおり)』を巻き付けた『神龍の角槍(デウスホーンランス)』を投擲する。

 楽に死ねると思うなよクソがァッ!!


 放たれた白銀の槍が、白と紅の尾を引いて瞬く間に空の果てへと消える。

 征け、我が槍よ。そして思い知れ! 誰を怒らせたのかを!!



 魔力的にも体力的にも渾身の一撃を放ったことで軽い立ち眩みの様な物を感じたが、関係無い。

 遠く、遠く離れてはいるが、確実に槍が着弾した手応えと『朱雀羽織』が届いた感触を俺は感じていた。

 ふぅ、良い仕事したぜ……。


「れ、蓮上? 急にどうしたの!?」

「ん? ああいや、え? ……いや、どうしたんだろうな?」


 戸惑いの感情が多分に混じった迦具矢ちゃんの声を聴いてハッと我に返る。

 え、いや、うん……え? 俺今何してなんだ??


 いや、何をしていたのかは覚えている。

 『収納』スキルから取り出した『神龍の角槍』に羽織っていた『朱雀羽織』を巻き付け、それを全力で空の彼方へと投擲したのだ。この間一秒も掛かっちゃいない。

 だが、肝心の『何故急に槍を全力投擲したのか』の理由がさっぱり判らない。

 本当に、突発的にそうしたくなり、何の疑問も抱かずに俺はそれを全力で実行したのだ。


 ……よくよく考えたら、あれがどこに着弾するにしろ、着弾地点はズタボロになるのではなかろうか? ザマァだなっ!! ――ハッ! お、俺は一体何を!?


「うーーーん……考えても判らないし、忘れよう」

「それで良いの?」

「良くは無いとは思うんだけどなぁ……」


 あんまり深く考えても原因が判明するどころか、訳の判らん不快感を感じるだけな予感がひしひしする為考えない。

 ただ、判らんなりにさっきの投擲で多少気が晴れたというか、『落とし前』はつけてやった様な気がするからそれで良しとしよう。うん、それが良い。


「ま、悪いようにはならないと思うから大丈夫だよ、迦具矢ちゃん」

「そう? なら良いけど……蓮上が困るのは嫌だよ?」

「うん、判ってる。ありがとう迦具矢ちゃん。 ――それは置いておいて迦具矢ちゃん、向こうでみんなと話して来たらどうだ? そんなに頻繁に会う訳じゃないけど、みんなとはこれからもちょくちょく顔を合わせる機会があるだろうからさ。今の内に仲良くなっておいた方が良いと俺は思うよ?」


 そう言って俺は職人仲間たちが騒いで居るバーベキュー会場に視線を向けた。

 俺以外の全員が成人済みである為、みんなで酒盛りを始めている。

 俺の場合は酔っぱらった男性陣に絡まれるのが嫌で少し離れたが、女性陣は紫秋さんを筆頭に酒に強い人ばかりで比較的理性的だから、迦具矢ちゃんが行っても問題無いだろう。


 そう思って勧めたのだが、迦具矢ちゃんは首を振って行きたくないと主張した。


「ううん、私は蓮上と一緒に居たいから、いいよ。蓮上の傍に居られるなら、私は他に何もいらないから」


 思った以上に極端な発言に、一瞬言葉が詰まる。

 けれど、それじゃあダメだと思うから、俺は言葉を重ねた。


「――そっかぁ……けど、みんなと交流を持っておくのも必要な事だと俺は思うけどなぁ」



 もう直ぐ迦具矢ちゃんが生まれてから丸一日が経つ。

 それを思えばあまり急ぐ必要は無いのだが、同時に早く迦具矢ちゃんに人間社会に馴染んで欲しいとも感じる。


 どんなに人間に近い姿をしていても、迦具矢ちゃんは本心的には人外の存在であるモンスターだ。

 俺の家族として町で暮らして行く以上、いずれ人間とモンスターの違いによる様々な差異が浮き彫りになって行くだろう。

 それによって迦具矢ちゃんが街の人々から恐れられてしまうかも……いや、七咲町の住人なら問題無いか。そもそもあの街は、父さんの生まれ育った場所な訳だし。


 まぁ恐れられてしまう云々は置いておいて、その事で迦具矢ちゃんが傷ついてしまうかもしれないと考えると心配で堪らない。

 だからこそ、迦具矢ちゃんには俺以外にもいろんな人たちと交友を持って、『人間』と言う存在自体を学んで行って欲しいと思うのだ。


 あの日……と言うかまだ今日だが、迦具矢ちゃんを連れて帰ると決めたのは俺自身なのだ。

 だったら、迦具矢ちゃんにより良い未来をあげられるように、俺がしっかり考えないとな。


 何て事を考えながら迦具矢ちゃんと見つめ合っていたのだが、その気持ちが伝わったのか、迦具矢ちゃんは「やっぱり、清美たちの所に行って来る」と言って来た。


「いいのか? 自分で勧めておいてなんだが、嫌なら嫌って言って良いんだ?」

「ううん、嫌じゃ無いよ。私は蓮上とずっとずぅっといつまでも一緒に居られれば良いって思っているけど、蓮上はそうじゃないんでしょ?」

「それは……」


 どう返そうか迷うが、迦具矢ちゃんはそんな俺を気遣う様に笑顔で続けた。


「大丈夫。蓮上が私の為に色んな事を考えてくれているって、判ってるから。だから心配ないよ」

「そっか……迦具矢ちゃん、これだけは忘れないでくれ。俺はいつだって、迦具矢ちゃんの幸せの為に力を尽くすからな」

「うん……」


 これは迦具矢ちゃんだけでなく、イズメたちやメリーに対しても普段から思っている。いや、誓っている事だ。

 みんなみんな、俺の何より大切な、守るべき家族だ。

 何の憂いなく、心から笑い幸福を享受出来る未来を俺が必ず齎して見せる。


 俺の嘘偽りない気持ちを伝えると、迦具矢ちゃんは俺をぎゅっと抱きしめ、俺のお腹の辺りに顔を埋めて来た。


「……蓮上で良かった。生まれてから最初に出会ったのが、蓮上で本当に良かった……!」

「うん、俺も迦具矢ちゃんと出会えて良かったよ」



 俺が抱き締め返すと、迦具矢ちゃんは更にぎゅっと力強く俺を抱き締めて来た。

 直ぐ近くで騒いで居るはずの皆の声が、妙に遠く感じる。聞こえるのはお互いの息遣いと鼓動の音だけだった。

 夜空の下、まるで『この世界に俺と迦具矢ちゃんの二人っきりしか居ない』かのような静かさを感じていた。


 実際にはそんな事は無い。それはあくまで気のせいでしかない。

 けれど、今この瞬間だけは、それが本当の事だと心から信じられてしまいそうだった。




 それからどれほどお互いに無言で抱き合っていただろうか。

 数分にも思えるし、何時間もそうしていたような気もする。

 しばらくするとどちらからともなく離れ、お互いの顔を見合わせるとを何やら可笑しさや嬉しさが込み上げて声を上げて笑ってしまった。


「ハハハッ、よし! じゃあ行っておいで、迦具矢ちゃん」

「アハハッ、うん。行って来る! ……蓮上はどうするの?」

「俺も覚悟が出来たら合流するよ」

「覚悟……って何の?」


 そりゃぁ、酔っぱらったおっさん共に絡まれる覚悟さ。

 俺は将来『魔導教典書士スクリプチュア・メイカー』として生計を立てる予定な訳だが、サラリーマンにならなくても飲み会からは逃げられないらしい。

体感一億年ぶりぐらいに主人公視点オンリーの話書いた気がする。(盛り盛り)


あ、次かその次くらいで蓮上死にます。(死なない)

主人公なんだからさ、軽率に死んでいこうぜ?(主人公を嬉々として危機に追いやる猫畜生系作者)

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