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第四十八話 「永長ちゃんのターンの始まり」

(・▲・)「ジュリリ(書き直しの方向性が定まったので、既存の分を削除して更新を再開します。次回は明日の朝七時です)」

 ゴールデンウィーク初日の朝、先輩のお屋敷の前に来ている『嶋 永長』です!

 今日は休日という事もあって、学校の制服では無く私服で来ました!


 裾の長い白いワンピースに、同じくつばの広い白い帽子。

 それをメインに、サンダルやアクセサリーでコーディネートしています。

 ふふふ、先輩がこういった清楚な服装が好みなのはリサーチ済みですからね。

 ずっと一緒に居られない分こういった所でしっかりアピールして行きたいと思います!

 まぁそんな事しなくても、もちろん私と先輩は相思相愛ですけどね!!



 と言う訳で早速、チャイムを鳴らします。

 既に採掘から帰って来ている筈の先輩に、私の最高の笑顔を朝一でお届けしましょう。

 ノックしてもしもーし! ……あれ、何か違う様な?



 ピーンポーン!



 チャイムを鳴らしながら内心で小首を傾げていると、少ししてからトテトテと言う足音が玄関に近づいて来るのが聞こえた。

 この軽い足音は、多分イズメちゃんですね。


 玄関の扉が開かれると、そこに居たのは予想通り狐の耳と尻尾を生やした可愛らしい女の子、イズメちゃんでした。

 一番に出迎えてくれたのが先輩で無いのは少し残念ですが、イズメちゃんは一番のお友達ですし嫌なんてことは全くありません。

 というより、お客様が来た時に真っ先に出迎えるのが自分の役目だと前に本人が言っていたので、特に不思議には思いません。

 なんでも、迷惑な押し売りや変な人から妹分のマミナちゃんやコノハちゃんを守るために、イズメちゃんが率先して出ているそうです。


 私はその話を聞いた当時、ちょっとだけ羨ましくなっちゃいました。

 私には兄弟姉妹はおろか、家族と呼べる相手も居ませんから。

 その事を口にしたら、イズメちゃんが「何言ってるの? 永長ちゃんは将来蓮上のお嫁さんになるんだから、もうとっくに私たちの家族だよ!」って言ってくれて……思わず涙が零れちゃいました。


 あの時から、イズメちゃんは私にとって一番大切な友達で、先輩の次に大好きな人なんですよね。

 だからこそ私はイズメちゃんや、これから家族になるマミナちゃんとコノハちゃんにも一緒に幸せになって欲しいんです。

 ……けれど、先輩は―――。



「――長ちゃん、永長ちゃん? どうしたの?」

「……あ、いえいえ! 何でもありませんよ!」


 ああ、いけないいけない。

 つい考えに耽ってぼうっとしてしまった。

 イズメちゃんが心配げな顔でこちらを見ている、ここは元気に挨拶して心配無用と伝えないと。

 今日はこれから楽しい楽しい温泉旅行なんですから、明るくポジティブに行きませんと!


「おはようございます、イズメちゃん! いつも元気に純情可憐な嶋永長ですよ~!!」

「……うん、おはよう! いつも可愛い赤毛一尾のイズメちゃんだよ~!!」


 お決まりの挨拶をして仕切り直します。

 イズメちゃんも察して何も聞かずにノッてくれる辺り、絆を感じますね。



「さてイズメちゃん、この時間ならもう先輩は帰って来てますよね? 初日からずっと一緒に居られない分、出発前に先輩成分を補給させて貰いますよ~!!」

「あ、うん。けど、今蓮上リビングで寝ちゃってて、それに……」

「なら、先輩の寝顔を拝ませて貰おうじゃないですか! 待っててください先輩、貴方の可愛い嶋永長がモーニングコールに今行きますよ~!!」

「あ、ちょっと永長ちゃん!」


 シュピピーっと家の中にお邪魔してリビングを目指します。

 このお家には何度も遊びに来たり招待されてますから、もはや勝手知ったる何とやらです。




 リビングに入ると、ソファーでコノハちゃんに膝枕をされながらすやすや眠る先輩の姿がありました。

 ふふふ、相変わらず可愛い寝顔をしてますねぇ、先輩は。

 このまま写真に撮ってケータイの画面の壁紙にしたいくらい……って、えぇ!?


「誰ですかコノハちゃん! その女の子!?」

「ワゥ 永長、しーっ。二人が起きちゃう」

「あ、すみません」



 最初は単に先輩がコノハちゃんに膝枕されながらソファーで眠っているだけかと思ったら、よくよく見ると黒髪の見知らぬ女の子が先輩に抱き着いて眠っていました。

 それも物凄~く、幸せそうで安心しきった顔をしながら。


 誰ですかその子!? しかもその子も白いワンピースって、私と被ってるじゃないですか!? 説明して下さい先輩!!


 そう言いたかったけど、コノハちゃんに注意されてしまうのでぐっと堪えます。

 ああ、でも気になる、聞きたい。けど、最年少のコノハちゃんに注意されるのはお姉さんとして情けないから聞けない。


 もどかしさからおろおろしていると、追い付いて来たイズメちゃんがひそひそと小声で説明して来ました。


「(永長ちゃん。あの子は迦具矢ちゃんって言って、今朝蓮上が連れ帰って来たばっかりなの。『蓬莱鉱山』に出現したボスモンスターなんだって)」

「(ボスモンスター!? あの子が!? ぱっと見人間にしか見えないですよ!!)」

「(うん、私も『人化』スキルも無しにこんなに人間に近い姿のモンスターなんて初めて見るよ)」

「(はぁー流石先輩、こんなに珍しいモンスターと遭遇するなんて……って言うか、そもそもボスモンスターをダンジョンから連れ出せてるって事はテイムしてますよね? 人間同然の姿とか以前に、ボスモンスターをテイムした事自体が、割と前代未聞なんじゃ……)」

「(しかも『奥義スキル』の更に進化系の『神話スキル』を持った、史上初の『神話個体モンスター』って言うべき存在なんだって)」

「(えぇ……もう何が何だか)」


 情報が多くて私自身少し混乱気味だが、要するに先輩がまたとんでもない事をやらかした感じらしい。

 流石先輩! というべきか、やっぱり先輩はそう言う星の下に生まれているんですね。というべきか。


 まぁとにかく、テイムしたという事は先輩の新しい家族が増えたという事だ。

 未来の家族として、ここはきちんと挨拶せねばなりません!

 具体的にこう、正妻パワーを見せつける! みたいな……?


「(イズメちゃん、出発前に先輩や迦具矢ちゃんに挨拶をしておきたいんですけど! こう、先輩の未来の妻として、アピールしておきたいみたいな……)」

「(何かふわふわしてるね? うん、けどそうだね。挨拶は大事ってお母さんも行ってたし……) ――コノハ、永長ちゃんと迦具矢ちゃんの顔合わせをしておきたいから、二人を起こしてあげて」

「ワゥ、了解~。蓮上~、迦具矢~、起きて~」

「「う~ん……」」


 コノハちゃんが二人の肩を揺すると、二人が同時に目を擦りながら起きました。

 今日出現したばかりの『蓬莱鉱山』で出会ったのなら、出会ってからまだ半日も経過していないはずなのに、二人共息ピッタリですね。


「んん……ああ、メリーか。おはよう、今日はみんなをよろしくな」

「はい、おはようございます先輩! みなさんの事は任されましたけど……そのぉ、その子は?」

「うん? ああ、メリーは初対面だもんな。ほら、迦具矢ちゃん起きて」

「むぅ~……むぇっ」

「ぐぇ」


 そう言って先輩は、自分の体に乗ったまま眠そうにフラフラしている迦具矢ちゃんの肩を叩きながら声を掛けました。

 迦具矢ちゃんの方はと言うと、先輩に声を掛けられて段々意識がはっきりして来たのか、ソファーに手をついて起き上がろうとしましたが、途中でバランスを崩して再び先輩の上に倒れ込んでしまいました。

 ズベンっと迦具矢ちゃんに圧し掛かられた先輩は、潰れたカエルみたいな声で呻いています。

 うぅ、ちょっと羨ましいです。


 迦具矢ちゃんが倒れ込んできた衝撃で完全に眼を覚ました先輩は、迦具矢ちゃんを支えながら起き上がると今度こそ迦具矢ちゃんの紹介と、迦具矢ちゃんへの私の紹介をしてくれました。 


「――メリー、この子は迦具矢ちゃん。今日から俺の新しい家族になった……まぁテイムモンスターみたいな子だな。今日『蓬莱鉱山』の出現と同時に生まれたばかりで、見た目よりもずっと幼いからそのつもりでいてくれ。迦具矢ちゃん、彼女はメリー。これからよく顔を合わせる事になるだろうから、仲良くな」

「初めまして迦具矢ちゃん。雪白が似合う純情可憐の乙女、嶋永長です! 永長って呼んでください」

「う、うん……メリー? 永長?……えっと、どっち?」

「……先輩、名前と愛称を交互に言い合ったせいで混乱させちゃったみたいです」

「みたいだなぁ~」


 みたいだなぁ~、じゃないですよ! さてはまだ半分お眠ですね!?

 まぁけど、半分ぽわぽわして役に立たない先輩も可愛いなぁ。



 なんて事をと思いつつ、私はイズメちゃんとコノハちゃんにサポートして貰いながら、眠気から覚めて人見知りっぽさを発揮し出した迦具矢ちゃんとなんとかコミュニケーションを取るのでした。

 正妻っぽさを伝えられたかどうかは……ま、まぁ、初心者にしては上手く出来たんじゃないでしょうか? (明後日の方を見ながら)


 ちなみに、ずっと姿の見えなかったマミナちゃんは皆さんの荷物の準備を一人でしてくれていました。

 流石マミナちゃん。縁の下の力持ちというか、気配り上手で頼りになりますねぇ。

四十七話で蓮上はイズメに、迦具矢ちゃんはコノハに膝枕されていたのが変わっているのはミスではありません。


永長ちゃんがインターホンを鳴らした音でいったん蓮上と迦具矢ちゃんが起き上がり、その後イズメが永長ちゃんを迎えに、迦具矢ちゃんが蓮上に抱き着きに行きました。

起き上がっても半分以上寝ていた迦具矢ちゃんは蓮上に抱き着いたまま眠り、抱き着かれた蓮上もまだ眠そうだったので、コノハが蓮上のソファーに移動して膝枕をしたのです。


そう言った事が永長ちゃんの見ていないところであったのですが、永長ちゃんの一人称である為描写を入れるタイミングが無いのでここに書いておきます。

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