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閑話 「首刈の平凡な狩猟」

(・▲・)「ジュリリィ……(そう言えば、タイトルにもなっている主人公の二つ名『首刈レッドジョー』があんまり生かされてないなぁと思いつつ更新です。迦具矢ちゃんが例外なだけで、基本蓮上の戦闘って一方的な首刈で終わるただの作業シーン何で、盛り上がりに欠けるんですよねぇ……)」

 ある日の放課後の事だ、俺は一人で『四季巡礼の山地・常秋の山腹』へと来ていた。


 最近は黄村や青ヶ谷女子、緑河女子の三人と行動を共にしていた為、一人で来るのは久しぶりだ。

 特に何か必要な素材とかがある訳じゃないが、『収納』スキル内のモンスター肉やらが少し減って来ているので、余裕がある内にある程度補充しておこう。

 お腹いっぱい食べられないと悲しくなるからな。

 食が心を豊かにする、(魔導)教典にもそう書いてある。ってか書いた。






 ◇






 見事な紅葉に染まった森の中をぶらぶら歩く。

 モンスターの肉だけが目的なら感知系のスキルで周辺のモンスターを探すのだが、『常秋の山腹』は実りの秋を体現したような場所だ。

 食料になるモンスターだけでなく、果物やら山菜やら茸やらが沢山実っている。

 栄養バランスも考えて、モンスター肉だけでなくそう言ったダンジョン食材も収穫して回るのだ。



「お、『ダンジョンマツタケ』だ。幸先良いな」


 しばらく歩いていると、赤松に似た大木の根元で早速ダンジョン食材の一つである『ダンジョンマツタケ』を発見する。

 ダンジョン松茸は、松茸の名を持つ通りダンジョン食材の茸類の中でも最高級品の一つだ。

 所謂レアドロップの一種で、非常に珍しい物である為見付けられたのは本当に運が良い。

 ちなみに、『ダンジョンマツタケ』というそのまんま過ぎる名前は、誰かが命名したものではなく『鑑定』スキルで判明した名称である。


 余談だが、「匂い松茸味しめじ」ということわざがあるが、このことわざに出て来る「しめじ」とスーパーで普段見かける「しめじ」は別物だ。

 スーパーでよく売られているのは「ブナシメジ」、ことわざに出て来るのは「ホンシメジ」である。


 「ホンシメジ」の方は「ブナシメジ」よりも栽培するのが難しい高級品だったが、最近はダンジョン由来の技術で安定して大量栽培する事も可能になって来ているという話も聞く。

 「ホンシメジのバター醤油焼き」は俺の好物でもあるので、安く大量に購入できるようになる日が今から楽しみだ。


 何て事を思いながら、その場に生えている『ダンジョンマツタケ』を全て取り尽くして『収納』スキルに仕舞い込む。

 片っ端から森の恵みを取り尽くしても、小一時間もあれば元通りになるのがダンジョンの良い所だ。

 まぁ、『ダンジョンマツタケ』はランダムに出現する為、次も同じ場所に出現する確率は限りなく低いのだが。

 そう言った所も含めてのレアドロップである。



 『ダンジョンマツタケ』を取り終えてその場を移動する。

 当てもなくフラフラと歩いている合間にも、『ダンジョン柿』だの『ダンジョンタケノコ』だの『ダンジョン山芋』だの、ダンジョン食材を見付けた端から回収しているため、移動距離はかなり短い。

 いつもならそろそろポップしたモンスターと遭遇してもおかしくないんだけどなー。と考えていると、近くの茂みが揺れて何かが現れた。

 お、何だ何だ?


「ぷぎー」

「『ビッグボア』か、まぁ普通だな」


 現れたのは、牛ほどの大きさのある猪型のモンスター『ビッグボア』だった。

 このモンスターは常秋の山腹に出現するモンスターの中でも実力的に最下層に位置するモンスターであり、最も出現頻度の高いモンスターの一種でもある。

 欲を言えばこいつの上位種である『グレイテスト・ボア』が出てくれると嬉しかったのだが、こいつの肉だって十分旨いし、牛サイズの猪の肉って考えればかなりの量になる。

 まぁこいつ一匹だけを狩る訳じゃないし、最初の相手としてはまずまずだろう。


「そんじゃま、駆けつけ一杯ならぬ駆けつけ一刀、美味しくいただかせて貰おうか……」

「ぷぎー?」


 暢気な鳴き声を上げながら、ビッグボアはその辺の地面の匂いを嗅いでいる。

 目の前に大鎌である『紅鋼』を振り上げた俺が居るのに、だ。

 もはや驚きもしないが、俺が首を刈ろうとすると大体こうなる。

 スキルも魔法も特に使っていないというのに、透明になった訳でも無い俺の姿を相手は見失う。

 というよりも、認識出来なくなるのだ。


 イズメが通っている剣道場の師範である源爺ちゃんによると、狩りの時の俺は一切の殺気が無く穏やかで、その上自然体過ぎて路傍の石ころの様に周囲を向けられなくなるらしい。

 それこそ、今まさに目の前で凶器を振り上げておそいかかろうとしても。


 本来なら剣聖などと呼ばれるような稀代の武術の達人が辿り着く境地に、段階をすっ飛ばして到達してしまったが為にこんなことが出来るのだと源爺ちゃんは言っていたが、そんな大層な物だと俺は感じていない。

 なんにせよ、俺個人の信条としては狩猟する獲物は出来るだけ苦痛や恐怖を与える事無く殺したいので、この特性は大いに役立っている。

 と言う訳で豚さん、君もお肉になるんだ。


 サンッ


「ぷ?」


 下から掬い上げる様に大鎌を振るい、ビッグボアの首を刎ねる。

 首を傾げる様な鳴き声を最後に、ビッグボアの首が宙を舞う。

 血の一滴も無駄にはしたくないので、刎ねたばかりの首から鮮血が吹き上がる前に、そのまま『収納』スキルへとビッグボアを回収した。


 うん、今日も良い調子だな。

 このまま何頭か狩ってから帰るとしよう。



 不調など無く、いつも通りに首刈が行えている事を確認した俺は、そのまま次の獲物を求めて歩き出した。



「ブモッ?」

「『オークロード』か、君もお肉だ」



 大収穫だった。

この後めっちゃ首を刎ねた。(ストレートにやべぇ一文)


ちなみに常秋の山腹で活動出来る上級探索者たちのオーク系モンスターに対する認識は、「そこそこの頻度で出て来る美味しいお肉」です。

女騎士|(玲乃蘭ちゃんとか)からも食材としか見られて無いオーク君可哀想。(でも味が良いからしょうがないね)

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