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第四十四話 「首刈と日女君の下山」

(・▲・)「ジュリリィ……ジュリリィ!(記念すべき五十話目ですが、それはそうと昨日のPVの伸びがスゲー……これあれですよね? 三連休の内二日間連続更新したんだから、三日目も連続更新を期待されてますよね? ……本日も八時に二回目の更新じゃぁぁぁ! ブックマーク&評価ポイントよろしくお願いしまーす!!)」(やけくそ、現在午前三時、寝たい)

 アババババッバッバ……!?

 どど、どどうすれっば、いいんだだだっ!?!?!?


 衝撃の事実!

 俺の心肺、停止中なうである!!


 え、心臓止まってるじゃん?

 って言うか呼吸も止まってるじゃん!?

 吸って吐いて出来ないのにどうして喋れるんだっ!?!?!?


 わ、訳が分からねぇ。

 とりあえずなんかヤベェ!


 ど、どうすりゃいいんだこれ?

 は、波柴さん! とりあえず波柴さんに連絡しよう!


『は、波柴さん波柴さん波柴さん!! たた、大変なうです!!』

『む、どうしました蓮上君? とりあえず落ち着いて状況を説明して下さい。『千里眼』スキルで見ていましたが、迦具矢日女に飴をあげたり、抱き着かれたり……何があったのですか?』

『テイムした的なサムシングです! 終わってみたらコノハの時と割と一緒な感じでした! 今日からうちの子なのでよろしくお願いします!!』

『いや、うちの子って……その子ボスモンスターですよね? しかも奥義スキルのコピーを始めとする特殊能力満載の。大丈夫なんですか?』

『迦具矢ちゃんは大丈夫です! って言うか大丈夫じゃないのは寧ろ俺の方です!! ヘルプミー!!!』

『ええ……』


 『念話』越しでも波柴さんの困惑した表情が透けて見えるようだったが、こればっかりは誰に何と言われようと譲るつもりは無い。


 迦具矢ちゃんはうちの子なんだ! 立派に育てるって決めたんだ!!

 あ、そうだ、空冬さんに迦具矢ちゃんの服を作って貰わないと! 迦具矢ちゃん美人さんだからなに来ても似合うだろうなぁ……


 って、それも大事だけど今は俺の心臓ーーーッ!!


『はぁ……それで、一体どうしたんですか?』

『溜息つかないで下さいよ! 我ながら面倒臭いテンションになってる自覚ありますけど!! ……実は、さっき気付いたんですけど、どうも俺今、心臓止まってるみたいなんですよ。ついでに呼吸もしてません』

『え、本当ですか? ……まさか赤松君がゾンビになっていたとは、これは以前作ったまま出番の無かった『超豪快屍人解体機構ちょうごうかいしびとかいたいきこう スプラッターメイカー』の活躍時では?』

『怖いこと言わないで下さい鼓動も呼吸も止まってますけどちゃんと生き生きしてますからぁっ!?』

『はっはっは、冗談ですよ。防御神性持ちの赤松君相手に使う訳無いでしょう?』


 防御神性無かったら使ってたとも取れる返答やめーや!

 ってか、作った現物は実在しているのかよ! 何に備えてるんですか波柴さん!?



 しばらく笑いながら俺の反応を楽しんだ波柴さんは、やがて笑うのを止めると普段の穏やかな口調で俺の心臓についての考えを言って来た。


『ああ、笑った笑った。すみませんね、揶揄ってしまって』

『いやまぁそれは良いですから、俺の心臓について何か思い当たる事があれば教えて欲しいんですけど?』

『ふむ……いくつか考えられますが、一番ありそうなのは『五色教典(ダークフルード)』の機能ではありませんか?』

『『五色教典』の?』

『赤松君が自分で言っていたじゃないですか。『五色教典』には赤松君の体を操作して戦う機能があると。その一環で魔法なりスキルなりを使って赤松君の体を心臓が止まったままの状態で生命維持しているんじゃないですか?』

『あ』


 盲点だった。


 確かに基本は寝込みを襲われた時対策だったが、『五色教典』には俺が意識を失うほどの甚大なダメージを受けた際、スキルや魔法を使って生命維持をする機能がついている。

 どうやってかは知らないが、どうにかして今も俺の生命を維持しているのは、恐らく『五色教典』であろう。

 となれば、確認せねば。


『『五色教典』! 応答しろ!』

『――了解。如何しましたか? 所有者様』


 俺が心の中で呼びかけると、感情の感じられない男とも女とも区別のつかない声が脳内に響く。


 『五色教典』には、独自の判断で俺自身が取得しているスキルや魔法、奥義スキルを代行使用させるために、魔法的な人工知能というか、『人工精霊(デミエレメンタル)』が組み込まれている。

 普段は一切喋らないが、俺から呼びかければこうして答えを返して来るのだ。


『聞くが、心肺の止まった俺の体を維持しているのはお前か?』

『肯定。奥義スキル『天破激震の頂インパルス・オブ・ザ・ワン』の応用により、血流を操作する事で生命維持を行っています』


 俺が聞くと、『五色教典』は淡々とそう返して来た。

 良かった、波柴さんの予想が当たってた。けど、何で心臓が止まったままなんだ?


『重ねて聞くが、何故心肺停止のままとなっている? お前なら回復して再稼働させる事も出来るだろうに』

『回答。『死線の凶化デッドゾーン・バーサーク』、『栄華の終焉ライクヘル・チャンピオン』、『ブーステッド・デスパレード』の条件を満たす為に肉体の破損状態と心肺停止状態を維持しています』

『え、肉体の破損状態の維持って事は、胸の傷と喰い千切られた右腕の傷はそのままなの?』

『肯定。現在は毛細血管レベルまで細くした『黒百足』で傷を埋める事で、重傷状態を維持しています』

『今直ぐ直せ! もう戦闘は終わっているだろうが!!』

『了解』


 こいつ、瀕死状態の時に超強化バフを付与するスキルや魔法の発動・維持条件を満たす為に、俺の体をズタボロのまま酷使しやがった!

 まぁ俺も前に自前で発動する為に、首の動脈を自分で掻っ切って発動させたことあるから文句を言うのも筋違いかもだが。

 そもそも肉体性能では全面的に迦具矢ちゃんに負けてるからな、それを覆すが手段があるなら積極的に使うべきだろう。

 俺だってそうする。

 迦具矢ちゃんと戦ってた時は、これらのスキルや魔法の事を咄嗟に思い出せずにいたけど。



 疑問が氷解したところで、再び心臓が鼓動を始め、呼吸も出来るようになった。

 スーハースーハー。ああ、空気美味しい。


『波柴さん、解決しました。波柴さんの言う通り、『五色教典』が原因だったみたいです。今はもう普通に心臓動いてますし、呼吸も出来てます』

『そうですか、それは何よりです。 ……ところで、この後はどうするつもりですか? テイムしたとは言いますが、ボスモンスターをテイムしたなんて前例の無い事ですよ? 色々と問題が発生するのは目に見えていますが』

『………』


 波柴さんに指摘されて、改めて迦具矢ちゃんを見る。

 迦具矢ちゃんは俺に抱き着いたまま俺の顔を見上げ、小首を傾げている。


 ……うむ。


『波柴さん』

『何ですか?』

『ご迷惑をおかけしますが、何とかして下さい』

『……はぁ、決意は固そうですね』

『ええ、図々しいのは承知ですが、お願いします』

『………ちなみに、私が断ったらどうするつもりなんです?』

『転移魔法で脱出して、そのままうちで匿います』

『でしょうね。けど、それは避けたいんですよね?』

『はい、この子には、大手を振って外を出歩けるようにしてあげたいですから』


 バレない様に、こっそり外に連れ出す事なら出来る。

 だが、それでは迦具矢ちゃんに窮屈な思いをさせてしまう。

 迦具矢ちゃんの自由を守るためには、公的に俺のテイムモンスターとして認められる必要があった。


『――良いでしょう。前例の無い事ですが、そもそも前例なんて作ってなんぼですからね』

『ありがとうございます! ご迷惑ばかりおかげして、本当に申し訳ない』

『なに、これもビジネスと考えればそう悪い事ではありませんよ。国内最高の職人の一人である赤松君に大きな借りが作れますし、ここで前例を作っておけば今後似た様な事が起きた際、私が介入する口実にもなりますからね』


 波柴さんは、そう言って俺の我儘な願いを聞き入れてくれた。


 それにしても借り、借りかぁ。

 波柴さんには、今回のこと以外でも沢山の借りがあるし、普段から色々と助けて貰っている。

 今後も沢山お世話になる事だろうし、本当に頭が上がらないなぁ。


『では赤松君。私は先にダンジョンの外に出て色々と根回しをしておきますから、その間はゆっくりと下山して来て下さい。なに、十分もあれば全て終わらせますよ』

『十分ですか……本当に頼もしい限りで。何か直ぐに出来るお礼とか無いですか? 借りを返すのとは別に、何かさせて欲しいんです』

『でしたら、転移魔法の技能書でどうでしょう? タダでとは言いませんが、最優先で私の分を作って頂けると嬉しいですね』

『はい、必ず』


 なら、それでお願いしますね。

 そう言って波柴さんは『念話』を終了した。


 ホント、周りに頼ってばかりというか、一人じゃできない事ばっかりだよな、俺。

 いつか俺も、笑って誰かを助けられるような大人になれるのだろうか?


 自信無いなぁ、と少し落ち込んでいると、迦具矢ちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。


「蓮上、大丈夫? 元気無い?」

「うん、まぁ大丈夫だよ」


 迦具矢ちゃんの頭を撫でながら大丈夫と返し、まだ手に持ったままだったキャンディーを差し出す。

 すると、迦具矢ちゃんはぱくりと食いついて嬉しそうに笑った。


「おいしー」

「ああ、そうだな」


 無邪気にキャンディーを味わう迦具矢ちゃんに釣られ、俺も再び自分の分のキャンディーを口にした。

 お互いにしばらく無言で舐め続けたところで、俺は迦具矢ちゃんに話を切り出した。


「なぁ迦具矢ちゃん、一つ提案なんだが」

「? なぁに?」

「俺と一緒に、この山を下りないか?」

「?」


 俺の言葉に迦具矢ちゃんが首を傾げる。

 俺としては連れて行く気満々だったが、そもそも迦具矢ちゃんがここを離れたがらないかもしれないからな。

 その場合少し困るが……まぁ、迦具矢ちゃんの意思が最優先だ。


「山を、下りるの?」

「そうだ。山を下りて外に出て、俺の家で一緒に暮らさないか?」

「蓮上の、家? 家って、何?」

「あーうん、そこからかぁ……」


 どうやら輝夜ちゃんは、そもそも『家』という概念を知らないらしい。

 そのくせ『山』は判ったみたいだが……まぁ、このダンジョンはそもそも山しかないダンジョンだからなぁ。

 うーむ、なんて言ったら判り易いか?


「うーん……つまりさ、」


 そこで一度言葉を止めて、俺は迦具矢ちゃんの顔を包む様に両頬に手を添えてから、真っ直ぐに眼を見て続きを話した。


「俺と、ずっと一緒に居ようって事。 ……駄目かな?」

「ダメじゃない!!」


 最後にちょっと自信が無くなってそう付け加えると、迦具矢ちゃんは間髪入れずに否定して来た。

 そして、俺に抱き着く腕にぎゅっと力を込めながら、絶対に離さないという意思を込めた眼で俺を見つめて来る。


「ダメじゃ、無いよ。私も、蓮上とずっと一緒が良い!」

「……そっか、」


 なら、決まりだな。

 俺は抱き着いた迦具矢ちゃんをその場に立たせると、迦具矢ちゃんの手を取った。


「一緒に行こう、迦具矢ちゃん」

「うん! 行こう、蓮上!」



 ごめんイズメ、もうちょっとだけ帰るのが遅れそうだ。


 そう心の中で謝りながら、俺たちは手をつないで歩きだした。

連休の連続更新は義務では無いけど、一気に増えたブックマークとか評価ポイントとかに、無言の期待と圧力を感じざる負えない。

次の連休は……ゴールデンウィーク? マジか……

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