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第十二話 「魔導教典書士と神の角」

女子キャラばかり増えてるから、そろそろ男キャラも増やしたい今日この頃。

まぁ実際に増えるかどうかは話の流れ次第なんですけどね。(この小説はプロットと言う概念を断捨離したので、ザ・無計画です)

 藍藤と浜野女子から緑河女子を引っぺがし、首根っこを掴んだ状態のまま三十分ほどお説教をした。

 初対面の相手に失礼だとか、身体的特徴に対する劣等感を理由に猥褻行為に及ぶのは普通に犯罪だとか、女子相手にこんな事を言わされている男子()の身にもなれだとか、やるならせめて男の目の無い所にしろだとか、そう言った内容だ。


 三十分間くどくどと叱られている間に冷静になって来た緑河女子は、流石に先程までの自分の行動を思い返して反省しており、三十分経つ頃にはちゃんと自分から藍藤と浜野女子に謝罪することが出来た。

 よし、偉いぞ。 ……あれ、俺小学校の先生ポジションかなにか?


「……二人共、すまなかったっス! つい羨ましくて……」

「いえ……まぁ、うちは女子高ですから普段から胸の事で色々言われる事もありますし……」

「その、あたしはもう今後しないと約束してくれるのなら……」

「それは約束出来かねるっス」

「「何で!?」」

「御利益が、欲しいんス……」


 そう言って自分の胸に手を当てながら、緑河女子は悲しそうな、切なそうな目で藍藤と浜野女子の胸を見ていた。

 その様子に共感したらしい青ヶ谷女子と綿帽子女子が緑河女子の左右に立ち、肩をに手を置いて味方した。

 いや、そっち側に立つなよ。


「そうですよ会長! 私たちにもその成長性を分けて下さい!」

「うちのハルちゃんが酷いことして申し訳ないと思うけど、これだけは言わせて浜野さん。私たちにも希望を分けて下さい!」

「ふ、二人共……!」

「大丈夫ですよ、緑河さん。貴女の気持ちは私たちにも痛いほど判ります」

「私たち三人、生まれた日は違っても、同じ(巨乳)を追いかける同士だよ!」

「「えぇ……」」


 桃園の誓いでも始めるのだろうか、あの三人は?

 急に始まった似非三国志に、藍藤と浜野女子も困惑した様子だ。

 この場合の長女、次女、三女はそれぞれ誰がやるんだろうな?


 一方で、勝手に喧嘩を始めていた残りの女子二人の方は、決着がついたようだった。


「いえーい! ボクの勝ち~!」

「グフッ……おのれぇ~クソガキャァ~……」


 驚いた事に、地に伏して呻いているのは蛇塚先輩だった。

 蛇塚先輩は藍藤がクランを結成する以前……ダンジョンが世界中に出現して間もない頃から探索者として活動していたベテランだ。

 何気に、この場では黄村以上に昔からの付き合いだったりする。

 その為、俺は蛇塚先輩の実力も良く知っているのだが……ホントにこの後輩(であると思われる)女子が蛇塚先輩に勝ったのか?

 割と信じ難い光景だ。


「馬鹿な……『俺たちの姉御』と呼ばれた蛇塚先輩が……負けた、だと……!?」

「いや、首刈殿。お二人はその……殴り合いで勝負をしていた訳では無く……何と言うか……」


 妙に歯切れの悪い物言いをする黄村。

 いやまぁ、戦闘音が聞こえなかったから暴力で決着をつけた訳では無いのは判るが、一体どんな方法で勝負したというのか?

 その答えは、勝者の口から語られた。


「ふふーん! ボクはこれでも最近Cになったんだから、Aあるのかすら怪しい茜先輩が勝てる訳ないじゃん!」

「ぐぅっ、くそう……くそう……」


 静かに涙を流して悔しがる蛇塚先輩。

 どうやら胸の大きさで勝負をしていたらしい。何て無謀、もとい不毛な。

 そんな話を隣で聞かされている俺、赤松 蓮上十七歳。人生の不条理を感じています。


「なぁ黄村、こんな時どんな顔したら良いのかな?」

「えっと、笑えば良い。で、ござるか?」

「ネタに返してくれるならせめて疑問形は止めてくれよ」


 カオス。余りにもカオスだ。

 とりあえず皆を落ち着かせてから改めて自己紹介でもした方が良いだろう。

 ダンジョン管理局支部の建物には、探索者向けの休憩スペースと言うかカフェが併設されているし、まずはそこへ行くとしよう。




 ◇




 柄でも無いのに、俺が先導する形でぞろぞろと九人でカフェへと移動し、テーブルについてそれぞれが注文した飲み物が届いたところで、改めてお互いに自己紹介をする事となった。


「――さて、何で俺が仕切ってるんだよ? って疑問に激しく襲われているが、構わず進めるぞ。こっちは『青ヶ谷 奏美』女子と『緑河 遥』女子、二人共俺と黄村のクラスメイトだ。探索者志望で俺と黄村に探索者を始めるに当たってのあれやこれやを聞きたいって言って来てな。今日はとりあえず管理局への登録とステータスの獲得を指せるために連れて来た」

「初めまして、青ヶ谷 奏美です。今日はその、うちのハルちゃんがごめんなさい」

「ども、緑河 遥っス。何と言うか、暴走して本当に悪かったっス……ただ、後で拝ませて欲しいっス」

「本当に懲りたのでござるか!? 緑河殿!!」


 どんだけ執着しているんだ、緑河女子は。

 手を合わせようとするな手を!

 青ヶ谷女子や秤間のメンバーたちも手を合わせようとするな!!


 藍藤と浜野女子は他の女子たちの様子に苦笑いしていたが、一応こちらの紹介が終わったからか、律儀に自分たちの自己紹介を始めた。


「ま、まぁその話は置いておきまして……コホン、改めて(わたくし)たちも自己紹介をいたしましょう。既に名乗って居ますが、私はクラン『私立秤間女学院ダンジョン研究会』の会長で、二年生の『藍藤 玲乃蘭』です。さ、皆さんもご挨拶なさい」


 リーダーである藍藤が率先して行動すると、ある程度クランメンバーでの自己紹介はテンプレが存在しているのか、彼女たちはまごつく事無く順々に自己紹介をして行った。


「同じく二年生で、副会長を務めている『綿帽子 雪見』です。よろしくね青ヶ谷さん、緑河さん」

「お、同じく二年の『浜野 宗子』っす。その、あたしは会長みたいに美人でも完璧超人でも無いので、拝むなら会長にして欲しいっす」

「「「ダメです」」」

「何で副会長まで一緒に拒否るんすか!?」

「次はワシの番じゃな」

「流さないで欲しいっす!」

「じゃかぁしい! ん、ワシは三年の『蛇塚 茜』。まぁほどほどによろしく頼むわ」


 ここまでは俺と黄村も知っているメンバーだ。

 残る一人は初対面だから、俺と黄村も挨拶するべきかな。


「最後はボクだね! 一年生の『秤間(はかりま) 瑞希(みずき)』だよ! よろしくね!」


 名前の判らなかった最後の一人は秤間 瑞希と言うらしい。

 一年生という事はやはり新入部員か。というか秤間?


「藍藤、もしかして彼女」

「ええ、理事長の娘さんですわ」

「なんと」


 名前からもしやと思ったが、やはりそうか。

 黄村が目を丸くして驚いているが、俺も結構驚いている。


 探索者と言うのは、大なり小なり危険の伴う職業だ。

 それをお嬢様学校として有名な秤間女学院の生徒がやっているという時点で驚きなのに、更に理事長の娘まで加入しているとは……というか理事長は止めなかったのか?


「寧ろ快くOKを出したそうですよ? 実は理事長も探索者活動しているのだそうです」

「ナチュラルに心を読むな、藍藤。 ……まぁ、保護者公認なら俺がとやかく言う事でも無いか」

「それより首刈殿。秤間殿は初対面でござるし、我々も自己紹介が必要なのでは?」

「おう、そうだな。俺は私立彩宝学園の二年で『赤松 蓮上』だ。探索者間だと、『首刈レッドジョー』の方が通りが良いな」

「拙者は同じく二年の『黄村 英一郎』でござる。拙者の事は単に『忍者』と呼んでくれても構わんでござるよ!」



 そんな感じでお互いの自己紹介も終わり、そのまま飲み物を片手に九人で談笑する事となった。

 女子七対男子二で、姦しい中肩身の狭い思いをするかと身構えていたが、秤間女子が俺に質問して来たのをきっかけに、話題の中心が俺へとシフトしてしまった。


「ねぇねぇ! 蓮上先輩ってあの首刈レッドジョーなんでしょ? 今は冴えない感じで全然そうは見えないけど!」

「中々に失礼な奴だな、秤間後輩。 ……まぁ、常に気を張っているダンジョンと違って、ダンジョンの外では気を抜いているからな」

「本当に、ダンジョンの外でももうちょっとシャキッとしてくれたらいいですのに」

「赤松くんが言ってたけど、藍藤さんって赤松くんによく絡んで来るんだよね?」

「絡んで来る……!? まぁ、やっている事を考えれば否定出来ませんわね」


 青ヶ谷女子に訊ねられた藍藤は、飲んでいた紅茶のカップに視線を落としながらぽつぽつと語り出した。


「私だって、自分が勝手な物言いをしているという自覚はあるんです。ですが、あの日テレビで見た首刈レッドジョーは、ずっとずっと私の憧れでヒーローなのです。ファンクラブ会員第一号としても、首刈レッドジョーには常に格好良く華々しく堂々としていて欲し」

「ちょっと待て! ツッコミ所が多過ぎる!? お前俺のファンだったの!? ってか俺のファンクラブなんてあったのかよ!?」

「知らなかったのですか? 貴方のお母様とお婆様と妹さんも会員、というかシングルナンバーですわよ?」

「全然知らなかった事実がボロボロ出て来る!? ちょ、その辺詳しく――」



「大変だー! 山腹方面で『神龍の角(デウスホーンドラゴン)』が出現したそうだぞー!!」


「「「「「「「「「「何だってッ!?」」」」」」」」」」



 ガタガタガタッ!!

 突然のビッグニュースに、青ヶ谷女子と緑河女子を除いたカフェ内の人間が一斉に立ち上がる。

 その中には、勿論俺たちも含まれていた。



「しかも『奥義個体』だそうだ! もう既に争奪戦状態らしいぞー!!」


「「「「「「「「「「祭りじゃぁぁぁああああああッ!!!」」」」」」」」」」



 ドタタタッ!!

 雄たけびを上げながら、店内の探索者たちは慌ただしく店を出て行った。

 なお、代金に関してはそれぞれテーブルの上に置かれており、店員がそれを慣れた様子で回収して行っている。


 俺は一応、青ヶ谷女子と緑河女子に説明する為に残ったが、秤間のメンバーと黄村は他の客たちと共に行ってしまった。

 出遅れちゃったなぁ……まぁしゃあねぇや。


「え? え? みんないきなりどうしたの!?」

「祭りだぁ! とか叫んでたっスけど、一体何が始まるんスかジョーくん!?」


 『始まる』のではない、『もう始まっている』のだ。緑河女子よ。

 何が、だと? 決まっている。


「始まったんだよ。『大惨事争奪戦争(レイドイベント)』がな」

『神龍シリーズ』


世界各国のダンジョンにランダムに登場する強力なモンスター。(別名『ボーナスレイドボス』)

神龍の角(デウスホーンドラゴン)』以外にも『神龍の翼デウスウィングドラゴン』、『神龍の尾(デウステイルドラゴン)』など、複数種類が存在している。

素材はもちろん、ドロップアイテムの装備品も非常に強力かつ高値で売れる為、出現した瞬間情報が共有されて、そのまま袋叩きに会って狩られてしまう。(情報は独占するのが普通では? と思われるかもしれないが、独占して狩るのが困難な程度には強い為、協力して狩った方が効率的)


『奥義個体』に関しては待て次回。

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― 新着の感想 ―
[一言] お返事ありがとうございます この序章が終わってからの物語に期待してます。 作中散りばめられるダークな部分は、作者様が作中で語るときに得られるカタルシスが好きなので、その時まで深読みせずに待っ…
[良い点] 奥義個体…?首狩り殿みたいなスキルを確定ドロップする? 緑河女史に羽根が生えてバスターライフ………ゲフン 次も楽しみにしてますぜ!
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