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第八話 「魔導教典書士は筋力お化け」

タイトル通り。

フィジカルは全てを解決する。(ワンパンマン並感)

 『四季巡礼の山地』というダンジョンは、ダンジョンの中では珍しいフィールド型のダンジョンだ。


 通常ダンジョンと言う物は地下に広がる傾向が強く、黄村たち『姫樫堂和菓子団』が度々遠征を繰り返している『八重垣冥窟』などはその典型と言える。

 ダンジョンに挑む事を『ダンジョンに潜る』と表現するのも、基本的にダンジョンを進むという事は地下へ潜る事だからだ。


 だが、『四季巡礼の山地』の様な例外も多々ある。

 俺は行った事は無いが、確か海外には文化財や世界遺産に登録されていた城だの神殿だのがダンジョンとなった例もあったはずだ。

 いや、日本にも神社とかがダンジョン化してしまった所もあったんだっけ?

 特に赴く予定も無いから良くは知らないが。


 まぁそれはさておいて、『四季巡礼の山地』について説明しよう。

 俺たちの住む町、『七咲町』から最も近い場所になるこのダンジョンは、地図上での範囲は直径二百メートルにも満たないごく狭い範囲に存在している。


 が、その内部の広さは全く違う。


 外側からは灰色の煙が柱状に地上百メートルほどまで直立しているように見えるこのダンジョンは、内部に入ると太陽の存在しない晴れ渡った空と辺り一面に草花の生い茂る野原が広がっており、その中心には標高九千メートルオーバーという、エベレスト以上の高さを持つ巨大な山が屹立している。

 ダンジョンの名前からとって『四季山(しきさん)』と呼ばれるこの山と、周辺の森や野原全てがダンジョンであり、内部は四つのエリアに分けられている。


 一つ目は『常春の裾野』。

 草花の咲き乱れる野原であり、場所によっては満開の桜が咲き続けるお花見にぴったりな所もある。


 二つ目は『常夏の山麓』。

 虫型モンスターの宝庫であり、以前この場所で捕獲された小型犬サイズのオオクワガタが、高値で取引されたという話を噂で聞いた。


 三つ目は『常秋の山腹』。

 ここはダンジョン産の食料アイテムの宝庫で、俺が普段活動しているのも基本的にこのエリヤだ。


 四つ目は『常冬の山頂』。

 それまでのエリアがお遊びだったと言わんばかりの極限環境のエリアであり、厳しい地形、暴風のようなブリザード、雪に紛れて露骨にこちらを殺しに来る凶悪なモンスターたちが跋扈している。


 各エリアの境には石で出来た大きな鳥居がいくつか存在し、これが転移ポータルとして機能している為、各エリア間への移動にはこれを利用するのが定番である。

 ただし、一度自分の足で訪れた鳥居にしか移動出来ないが。


 後は未確認情報だが、頂上でも鳥居を見かけたという話を何度か聞いた事がある。

 まぁ、頂上には氷雪を操る超強力なボスモンスターが陣取っており、実際にその鳥居まで到達したという話は聞いた事が無いが。



 と言った話を歩きながら青ヶ谷女子と緑河女子に説明する。

 俺がパパっと木材を削って作った木刀を手にした二人は、俺の説明を興味深そうに聞いていた。

 ちなみに黄村は、二人に倒させるためのスライムを先行して探しに行ってもらっている。


「はぁ~なんかすごいんだねぇ~」

「その頂上のボスモンスターって言うの、ジョーくんは見た事無いんスか?」

「無いよ。頂上付近って言ったら、標高九千メートル越えの場所だからな。態々そこまで行きたく無いし」

「行けないとは言わないんスね」

「まぁ行けるっちゃ行けるけど、辿り着くまでに出て来るモンスターが多いせいでどうしても一泊二泊は覚悟しなきゃだし、寝る時もモンスターの襲撃を常に警戒しなきゃでめんどくさいから、今のところ行くつもりは無いかなぁ」

「そっかぁ……赤松くんって、結局どれくらい強いの? 『屍征獣』の話でとっても強いって言うのは判ったけど」

「『屍征獣』か……」



 『屍征獣(しせいじゅう)』。

 それは、一年ほど前に日本各地のダンジョンに計四体出現した強力なモンスターたちで、探索者間では『EX(エクスペディション)モンスター』などと呼ばれているタイプのモンスターだった。


 通常のモンスターはダンジョンの外に出現したり、ダンジョン内から外へ自主的に出る事は無い。

 しかし、ダンジョン出現以降世界各国のダンジョンで幾度も現れる『遠征(エクスペディション)』と呼ばれるモンスターたちは、その常識を破ってダンジョン外に進出するモンスターたちだ。


 『EXモンスター』たちはその特徴として、自身の生息するダンジョンの階層を逆走して進み、ダンジョンの入り口を目指す。

 そうして入り口を超えてダンジョンの外へと飛び出し、好き勝手に行動をし始めるのだ。


 通常こういった行動をする個体は極稀で、そう言った事例が発生しても大した問題となる事は無いが、中には同種を率いて集団でダンジョン外に進出するモンスターも居り、そう言った存在は『EXボスモンスター』と呼ばれている。

 実際に起こった事例としては、確かアフリカの未発見ダンジョンから外に出たゴブリンたちが、地上で大規模な集落を形成し、近隣の村や町を襲ったという事件があったはずだ。

 その後、周辺国の上級探索者たちを招集して殲滅したらしいが。


 他にも、そのダンジョンでは通常出現しない強力な特異個体が現れてダンジョン外を目指す事があり、そう言ったモンスターは『EXレイドモンスター』などと呼ばれている。

 俺の戦った『屍征獣』たちがこれに当たった。



「まぁそれなりに強いって自覚はあるけど、『屍征獣』たちの話を判断基準にするのは微妙かな? あれは単に相性が良かったからだし」

「確か、エーくんはジョーくんの『奥義スキル』がぶっ刺さってたって言ってたっスよね?」

「うん、そう。俺の『空中両断殺法(キリング・エアレイド)』が完全にメタってたんだよなぁ」


 『奥義スキル』。

 これは通常のスキルとは違い、探索者個人個人のそれまでの行動によってオンリーワンのスキルを獲得すると言う物で、一年以上探索者を続けている者なら、大概持っているものでもある。

 奥義とは言うが、戦闘向きのスキルだけでなく生産や補助など、探索者の日頃の行動によって、様々な種類のスキルが獲得出来るのも特徴だ。

 まぁ俺の『空中両断殺法』は、完全に戦闘向きと言うか、戦力的にはあまり意味の無いものだが。


「それにしてもすごいよね、『相手を即死させる』スキルなんて」

「異能力バトルモノなら最強最悪のチート能力っスよ!」

「いや、別にそんな便利なもんじゃねぇよ? 空中じゃないと発動しないし、それ以前に大抵の生き物は真っ二つにしたら死ぬわけだし」


 俺の奥義スキルである『空中両断殺法』は、『自分と相手が空中に居る状態で相手の体を両断した場合、相手を即死させる』と言うスキルだ。


 ……ぶっちゃけ要る? って感じのスキルである。

 自分と相手が空中に居る必要があるって言うのが地味に面倒臭いし、それ以前に首を刎ねられて死なない生き物の方が少ないから即死効果が大概腐っている。

 まぁ、『屍征獣』は首を刎ねても死なない様な連中だったから、この奥義が役に立ったわけだが。


「……そう言えば、私気になった事があるんだけど?」

「? 何がだ、青ヶ谷女子?」

「『屍征獣』って普通に倒しても死なないモンスターたちだったんだよね?」

「『(しかばね)』って名前に付くだけあって、アンデッド系でジョーくんの奥義スキルじゃないと倒せなかったんスよね?」

「そうだよ。まぁアンデッド特攻の魔法とか武器とかで攻撃し続けていたらその内倒せただろうけど」

「で、空中の相手を空中で即死させる『空中両断殺法』で倒したんだよね?」

「ああ、それで合ってるが」

「かなみん、何が気になるんスか?」

「四体の『屍征獣』、『朱雀』と『青龍』は飛んでいるイメージがあるし、『白虎』はジャンプした時に倒したんだと思うけど……『玄武』はどうやって空中で倒したの?」

「あっ!」

「あ~、それか」


 青ヶ谷女子がイメージした通り、『朱雀』と『青龍』は飛んでいたからそのまま首を刎ねて倒したし、『白虎』は飛び掛かって来たところをカウンターで首を刎ねて仕留めた。

 けど、蛇の尾を持つ大亀って外見の『玄武』が空中に居るイメージは無いよなぁ。


「そうっス! 『屍征獣』ってみんなビルみたいに大きくって、『玄武』はその中でも一番大きくて重かったんスよね!? どうやって空中で倒したんスか!?」

「いや、どうやってって……」


 これ言っちゃうと結構引かれるからあんまり言いたくないんだが……まぁ、ネットで調べれば直ぐ判る程度の情報だしいいか。


「うん、まぁ……端的に言ってぶん投げたんだよ。腕力で」

「ぶん投げたんスか!?」

「腕力でって……赤松くんの筋力ってどうなってるの?」

「いやまぁ、こんな感じで……」


 目を丸くして驚いている二人に、ステータスメニューを開いて基本能力値の項目を見せる。

 そんな簡単に見せても良いのかって? まぁスキルならともかく、基本能力値なら別に。

 スキル効果で結構変動するもんだしな。



~~~~~~~


『名前』 赤松 蓮上

『レベル』 1078


『HP』 19648

『MP』 162494


『筋力』 5789628

『耐久』 9337

『生命』 9824

『魔力』 81247

『器用』 74227

『敏捷』 42691


~~~~~~~



「「うわ、筋力お化け!?」」

「おい、本当の事でもお化けとか言うなよ。傷付くだろ?」

「――おーい、皆の衆! スライムを見付けてきたでござるよー!」


 案の定、俺の基本能力値――主に『筋力』の部分を見て青ヶ谷女子と緑河女子がドン引きしたところで、黄村が偵察から戻って来た。

 はぁ、改めて見ても我ながら、この『筋力』は人間辞めてるなぁ。

『筋力』1で五キロ、10で五十キロを持ち上げられる。

ぐらいのイメージなので、素で『筋力』5789628の主人公は二千八百九十四万八千百四十キロ、約三万トン弱を持ち上げられる設定です。

かなりの数字に見えますけど、現実的に考えると小型客船(乗客数五百人以下、総重量三万トン以下)を持ち上げるので精一杯なんですよねぇ。


まぁ、スキルや魔法を使えば、ここから更に筋力値が跳ね上がるんですけど。

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