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グリムリーパー  作者: 湖灯
*****Death fight! Zariban Plateau(死闘!ザリバン高原)*****
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【Attack on the back②(裏側への攻撃)】

 左右に展開している敵が目的ではない。

 誰かひとり迂回させて敵の側面を突かせようかとも考えたが、側面に回ったとき後ろから新たな敵が出てきた場合、対応しきれなくなり留まってしまう。

 1人の時に敵に囲まれて負傷するということは、死に近づくことを意味する。

 助けに行くことが出来たとしても、それでは目的が達成できなくなる。

 だから俺たちは、かたまって真っ直ぐ中央を突破することにした。

 敵に気付かれるまでは発砲しない。

 ゆっくりでも構わないから、なるべく中央の敵に近付きたい。

 夜なら容易いだろうが、今は昼。

 ゴロゴロと並んでいる岩は、格好の遮蔽物となってくれるが、それを乗り越えなければならない時が一番危険な時となる。

 今までは左右の敵より後ろだったから、なんとかここまで来る事が出来た。

 しかしこれからは左右の敵より前の位置になるから、正面と左右の三方向から身を隠しながら進まなければならない。

 そして、目の前に現れた大きな岩。

 岩を右に避けて通ると右の敵から、左側だと左の敵から丸見えになる。

 3人で、どうするか目を見合わせる。

 戻って別のルートを探すか、それともこのまま進むか。

 問題なのは、そればかりではない。

 この岩が邪魔をして、その先の状況が全く見えない。

 もしも無事に、この岩を通り抜けられたとしても、その先に隠れられる場所があるかも分からない。

 先ず俺が這って、岩の前の様子をみることにした。

 目立たないように体を小さくするために、ヘルメットとボディーアーマーを外す。

 ヘルメットは音を立てやすいのでそのままにしておくが、ボディーアーマーは後で取れるように腰にロープを巻いて、その先に着けておいた。

 前の状態が良いようで有れば、続いてくるようにという合図として、そのロープを引く。

 駄目な場合は、俺がそのまま引き返す。

 地面にあるのは土じゃなくてゴツゴツとした石。

 蛇のように地面に、へばり付きながら進む俺の体を岩がゴリゴリと撫でる。

 顔を右に向けても敵の姿は見えない。

 俺くらいの体だと丁度隠れてしまうみたいだ。

 あとの2人は俺よりでかいが、まあ大丈夫そうだ。

 岩の前に出ると下が空洞になっていて、その前にも中くらいの岩があり、ちょうど隠れるのには都合が良かった。

 ロープを引き、装備を取る。

 着用する前に窪みのどこからか、もっと前に行けないか潜ってみる。

 すると、前が良く見える小さな穴があった。

 抜群の狙撃位置だ。

 確認して戻ると、もう2人とも来ていた。

 これからの流れを説明しようと思い、ジムとゴンザレスの顔を見ると何故か目が合わなくて2人とも視線が少し低い所にあった。

 視線の先をたどると、そこは俺の胸元。

 どうしたのかと自分の胸を見てみると、上着のボタンが千切れて開け、胸がTシャツを前に突き出していた。

「ぐ・ん・そ・う・は、じょせい……」

「いけなかったか……」

「外人部隊で一世紀ぶりの女性隊員って隊長のことだったんですね」

「いけないどころか、闘志百倍ですよ。こんな光栄なことはない」

 そう言って、2人は俺に希望をくれた。

 いや、俺の胸が2人に勇気を与えたのかも知れない。

挿絵(By みてみん)

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