因果
「正直驚いたよ、長命種の黒妖精とはいえ800年も生きてるだなんてな。」
姿勢は変えて座っているがガディは相変わらずミートパイを食べている。
その態度を見てキトリーは苛ついている。
それを見てガディは(青いねぇ。)と思いながらこの場で何を話すか考えていた。
「まぁねぇ、生きすぎて引き際が見えなくなっちまってねぇ、かっかっかっかっかっか・・・・」
「ふ~ん。」
「それで、あんたなんで生きてんだい。」
「ああそれな、戦時にかけられた呪が半端なもんでな800年のときを経て復活ってところだ。」
「は~なるほどねあんたが戦時に最後までいれば変わっていたのかもね。」
いかつい顔の老婆がため息をつく。
「長命種のおまえがいるってことは他のやつはどうなった、グレゴリオやミネルバはどうなった。生きてるのか。」
「どーどー、落ち着きなってそうさね~、グレゴリオとミネルバは死んだよ戦時にね。あんたたちが戦った正体不明の集団、今や救世の覇者なんて言われてるやつらにね。」
男が持っていたミートパイが消滅した。
「そうか。」
「あとは私以外の長命種はのきなみ皆殺しにされたよ。まるで錬金術をなくしたいかのようにね。」
「そうか。」
だんだんと顔色が悪くなっていく。
それを察してか
「あんたもう休みな、キトリーに部屋案内させるから。」
「ああ、すまない。」
おとこの足取りはとても頼りなかった。
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団長や副団長がいれば大丈夫、旦那は必ず帰って来るという気持ちがあった。
だが現実はそう甘くなかった。
帰っ来たのは夫の死体の残骸。
その場に崩れ落ち深い衝動が全身を揺さぶる。
死体は下半身のみで全ての鱗が剥がされていた。
足全体の剥がされた後が赤く、噛まれてなくなっているところ、刃物か何かで切り裂かれた後、なにかで開けられた不規則な穴。原型をとどめていなかった。
「がんばったね、うう、、ううぁぁああああ。」
その後圧倒的な魔術の前になすすべもなく
帝国は崩壊
民は散り散りになった。
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翌日
また同じ部屋に呼ばれた。
「昨日は、その、悪かったな。」
「いや、いいさ、ところで協力してほしいことがあるんだよ。」
「昨日のやつか。」
「そうさ、あんたどうせお金ないだろ。」
「ああ。」
「いい仕事紹介してやるさね。」
「さる貴族令嬢の家庭教師さね。」
あまりいいイメージができなかった。
「まさか錬金術を教えろとかか無理だろ、魔力もってちゃ。」
「いやいや、ただ家庭教師といっても私の補佐さね。」
「そうか。」