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「そうか、手を添えただけで瀕死になった娘の体があっという間に治ったというのかね。」


王都テンテッシの中央にある王城のとある会議室にて




国王ユーディアは衛士より報告を受けていた。


「さがってよい。」

「はっ。」


扉が閉まる。

「ふ~。」


(にわかには信じがたいが現実に娘は今までの魔術の失敗による傷がきれいさっぱり消えていた。)


「不思議というほかありませんな。」

右隣から掠れた声が聞こえた。

イツリ・ハイウェルド公爵、齢70を超える現国王の叔父だ。


「魔術発生時に見られる、魔光が確認できなかったというではありませんか。」


魔術は発生時、魔光という体内に保有している魔力が魔孔と呼ばれる視認できないところから必要分出す現象が必ず見られる。



「叔父上、私は魔術以外の術、抗魔の禁術と考えております。」

見えもしない光をつかむようにつぶやいた。


「ふっ何をばかな。」

一笑に付す叔父。

いつからこの叔父は腐ってしまったんだろう。


「娘の命がのこり少ないというのに藁に縋らない親がどこにいるというのですか!。」


そう問いかけたら、さらに「ははっ!」と笑った。


「あと一か月でしたかな、まぁあらぬ期待は持たないことですな。これで私は失礼しますぞ。」


そう安堵したかのように部屋を出ていった。



最後にこちらに見せた不気味な金色の瞳が、どんな明確な言葉より質問に答えていた。




「あきらめることなんてできないんだ。」




――――――――――――――――――――――――



王都テンテッシの端にあるロウハ地区の暗い路地にて

座り込み、

フードの者はこの地区名物のミートパイを食いながら考えていた。


「はぁ、俺は何をやっているんだろうか。」


今何をしているのかガディ・オルクマンは考える。



陸上錬金兵団の副団長だった。


戦争をして、戦って、負けて、死んだと思ってたら魔呪が半端なもので自然に溶けるのに800年もかかった。

なんて不貞腐れてはいるが、その中身は大した人間ではない。


少なくともいわゆる英雄だのといったご立派な生き物ではない。


顔も知らないやつの命を糧に雑魚を殺しまくっていただけのクズだった。


顔も知らないだれかのために戦場に立てるわけじゃないんだ。


ああ、もちろんわかってるさもう俺にはだれかを大切に思う資格なんてもうない。






「おい、そこのフード。」

人が感傷に浸っているところに不愛想な声が聞こえた。

振り向けば見知らぬ黒妖精(スプリガン)の女がいた。


黒く光沢がある髪、妖精には見られない鱗の腕と尾。

妖精種と竜種のハーフ、妖精は多種族と交わるのは嫌われているためハーフは少ない、実物は初めてだ。


「・・・・・・・・何の用だ。」


青を基調とした軍服その右胸に張り付いた三佐の階級章しかも大いなる雷雲の紋章、特務科。

「私はキトリー・ネム三佐見ての通り、特務科だ、お前に協力してほしい事案がある。」

「俺は捕まるようなことなんてしてないぞ。」

「違う、協力してほしい力を貸せ。」

「嫌だね、それ人にものを頼む態度じゃないだろう。」


「同行してもらう。」

「い・や・だ!。」

なんかこの女むかつく。



「柔壊の錬金使い、リナ・カーバン、私の母だ。」



「・・・・・・・何だと。」

男の深紅の目は揺れていた。



「同行してくれるな。」


「・・・ああ、わかった。」


男は重く陰りのある重い腰をあげた。





――――――――――――――――――――――――






「連れてきたあいつが母様と同じ禁術使いですか。!?」

私は驚愕していた。


自分の名前を使ってまで連れてこさせた者が

今まで最強と思っていた母と同列なものがいたなど考えてもいなかった。


「そうだよ、化け物の中の化け物。」


「化け物、ですか。」


「ああ、私もね自分が最強だと思っていた時期があったんだよ、でもねある時化け物が集められ、チームを作ったんだ、で私よりよほど優れたものはいた、当時、チームの半数以上がそうさね。」


「そんなにですか。」


「そんなに、その中で二人頭一つ抜きんでた強さを持ったのがいてね、800年たった今でも勝てる気がしないよ。」





「この部屋だね。」



ソファに寝ながらミートパイに噛り付いている男がいた。


「ふ~相変わらずだね、空間の錬金使い。」


「久しぶりだ、柔懐。」


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