肉薄
短くてすんません。次回は長いので。
「そういうお前は何者なんだ、異様に魔力が高いな。」
(私が召喚した魔犬は、濃密な魔力の塊なのに一瞬で。)
「おい。」
この男に睨んでる自覚はないのだろうがフードの中から窺えるその深紅の目は箱入り娘の妖精を威圧させるには十分なほどだった。
「ひっ。」
(怖い!、この人危ない人だ。逃げなきゃ。)
『我が魔力を糧に馳せよ、陽炎の舞』
陽炎の舞は姿が透明になり身体強化も付与できる魔術。だが詠唱したとはいえ魔力制御が未熟なお姫様に扱えるわけもなく、下半身は半透明と強化が施されただけだった。
そしてお姫様は走り出す。
(大通りにさえ出れば憲兵さんがいる。)
無理に下半身のみ強化しているため上半身が引きちぎれそうな痛みに襲われたが、痛みより怖さが上回ったため必死に走った。
ようやく大通りに出た、さっきとは逆方向だが露店が並んだ市場だった。
最後の力を振り絞って大声で叫んだ。
「けんぺいさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
まわりにいた客や商人たちにも異常に気づき。
すぐに憲兵さんも駆け付けた。
「大丈夫ですか!、姫様!?。」
「ふーどをかぶったひと・・・・・」
そこで姫様の意識が切れていた。
「これは、」
姫様の体は無理な魔術のせいで筋肉の健が切れ腰の筋肉がずたずたになっていた。
(これほどの傷、治癒魔術で治せるかどうか。)
「隊長!。」
「どうした!」
いつの間にか姫様が先ほどでてきた路地の入口にいつの間にかフードを被ったものがいた。
「おまえ何者だっ!」
「どけ!」そう言葉が発せられ周りにいた数人の憲兵がたおれた。
突然倒された憲兵に周りにいた一般人は何もすることができなかった、それほど一瞬だった。
フードの者が姫に近づいていく。
「あ~あ、こんなになって逃げることないのに。」
服の上から手を当て、いつの間にか。傷が消えていた。