栃木県。
ふとした日常の出来事。
校舎から出ると、ゴロッと音がした。
雷かなぁ。
そう思った。
だけど、雨は降っていない。
それに、空には雲があるけれど暗くはない。
普通の夕方のように見えた。
きっと、雷なんて気のせいだろう。
自転車を取りに行き、自転車に荷物を置く。
さぁ、帰ろう。
近くにいた部活の先輩に挨拶をして、ペダルを漕ぐ。
校門を出て、最初の信号で止まる。
あ。
前方左斜めに、光が走った。
やばい。雷だ。
ふと、気づいた。
あっちは……、自分の家がある方角だった。
家までは真っ直ぐに進み、一回だけ左へ曲がる。
どうしよう。
家に帰りたい。
だけど、雷が鳴り響いている方角に帰りたくない。
とにかく、ゆっくりと自転車を漕ぎながら考える。
雷の時って、どうしたらいいんだっけ。
木の近くは危ないんだっけ。
街路樹は少し避けて通ろう。
どこかで雷止むまで待とうか。
でも家に帰りたい。
考えながらも自転車をゆっくりと漕いでいる。
駅の方へ向かう同じ学校の人たちに、次々と抜かされていく。
また、信号で止まった。
ふと後ろを向くと、後ろには部活の先輩がいた。
「雷鳴ってるね。そういえば、家あっちの方だっけ?」
「はい、ちょうどあの方角です。
帰る途中で、雷に打たれて死ぬかもしれません。」
「うわぁー。ご愁傷様です。」
「雷に打たれないようにするには、どうしたらいいんでしょう?」
「う〜ん。木とか高い建物からは少し離れたほうがいいかもね。斜め45度とかって聞いたことある。」
「……それ、何情報なんですか。」
そんな会話をした。
「雷に打たれないように頑張ってね〜。」
駅へ向かう先輩にエールを送られて、別れる。
まだ真っ直ぐに進む。
少し進むとまた光った。
位置は変わらず、前方左斜めに雷。
はぁー。
家までの距離 3分の2を過ぎたあたり。
そこで、ポツポツと音が聞こえてきた。
え?雨?
困った。
レインコートを着るのは、距離が微妙だし面倒だ。
近くに雨宿りできるようなところはない。
そのまま進もう。
雷なんて気にしないで、ただただ早く帰ろう。
力いっぱいペダルを漕ぐ。
ぐんぐん速度が増して行く。
また信号だ。
信号で止まっていると、雨がより強くなってきた。
制服がすぐに冷たくなる。
鞄の中は、大丈夫だろうか。
ゴロゴロと雷が鳴り、雨が強く降る。
近くにある焼肉屋の匂いが漂ってきて、胃袋を刺激する。
家が近い。
家の近くにある橋だ。
登校時は楽なのだが、こんな時は恨めしく思う。
急な橋。疲れるが、必死で橋を登る。
まだか。
まだ着かないのか。
早く家に着きたいのに着かないもどかしさがある。
家が見えた途端、雨がより一層強くなった。
そして
家に着いてから衝動的に書きました。