プロローグ
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.....目が、覚めた。
...ここはどこだ...?
朦朧とする意識。ぼやけた視界。
手を付いた。
ジャラリ という音と冷たい感触。
...石かコンクリートだろうか?
そして音の主の方に目をやる。
鎖だ。
...案の定、私に繋がっているようだ。
.......
...しばらくすると視界が徐々にはっきりとしてきた。
灰色の壁。鈍く光る格子。足枷。鎖.....
...手首の烙印。
夢でも見ているのか...?
自分は捕まっているようだ。それは容易く理解できる。
...なぜ?
身を刺すような冷たい風が、格子を伝って吹き抜けて行った。
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「はーい!そろそろご飯にしますよー!」
「先生」と呼ばれている女性が弾むような声で集合をかける。
遊んでいた子が手を止め、絵本を読んでいた子が本を置き、一斉にそちらへ走り出す。
「おすなよー!ぼくがさきだー!」
「えー?ひとりじめはよくないってせんせいもいってたよー?」
食事の時間になると、決まって小さい子...私たちの中だと5歳ぐらいになる子たちが走り出す。
それをしばらく物陰から見てる無口な子、そういった子を促すように声の方へ向かう少し大きい子。
やれやれと言った様子で椅子から立ち上がる子。
友達とダマになって歩いていく子。
最年長の部類に入るのにソワソワした様子を隠せない子.....
みんな血の繋がりもない、言ってしまえば赤の他人同士だが、毎日この時間は活気で溢れている。
「ニーサ?また考え事?早くしないと無くなっちゃうよ!」
「カリンの言う通りだぜニーサ。さっさと選ばねーとガキどもがみんな食っちまうぞ。」
呼ばれた。
「あ..ごめんごめん、すぐ行くよ。」
面倒見の良さそうな少女と、ぶっきらぼうな態度の少年が私に呼びかけている。
私はニーサという名前らしい。「先生」が教えてくれた。
両親もおらず、血縁を持つ者もおそらくいないそうだ。
無論、私に限らずこの部屋の全員.......100人ほどだろうか......は同じ境遇にある。
名前の代わりに、ここでは番号が与えられた。
手首に視線を落とすと、確かにそこにある。「23」の文字。
孤児院 と言うらしいこの施設では、今日もほぼ変わらぬ毎日が繰り返される。
完読ありがとうございます。
今回初めて小説を投稿させて頂きました。
初心者ですので至らぬ点が多々あると思いますが、感想等で送って頂けると嬉しいです。
更新頻度はかなり遅めになってしまいそうなので、気長に待って貰えると有難いです。