プロローグ「入界」
ジリリリリリリリリリリリ
ああもう...うるさい..起きるから..止まれって..
バンッ、バンッ、バンッ
毎日恒例の目隠しもぐら叩きするがいつも違ってなかなか手応えがない。
あれ..目覚ましどこいった..たしかここらへんに置いてたような..
寝ぼけた頭で考えながら目を開けた瞬間――俺の全身は固まった。
.....ない。
下に敷いているはずの布団がない。
枕も、目覚ましも。
視界に映るのは僅かな明かりに照らされた石畳だった。
ありえない、絶対家で寝てたはず。でもこの石畳の硬くザラザラした感触が夢であるのもありえないだろう。
取り敢えず立ち上がり、ガチガチに緊張した頭で状況把握しようと努力した。
暗い、狭い、なにこれ、あ、壁か、反対も壁、、あ、寒、風か、、じゃあここ外なのね、えーーー
1分間の超低速の考察により、今自分が置かれている状況だけは把握することができた。
どうやら俺は今、夜の屋外にいて、建物っぽいものと建物っぽいももの間の細い通路っぽいところにたった一人でいるらしい。
通路の両端からはさっきよりも明るい光が差し込んで来ている。
1拍、キョトンとした。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
頭の中で連呼した。状況はわかった次はどうしてかを考えないといけない
誘拐?家で寝てたしさすがに無理だろうしこんなところに放っておくわけがない。
...はっ、、こんなところに突然移動させられると言えば、、異世界転生?あの?いやそれもないな。建物は明らか現代のそれだし、もっと言えばビルっぽい。
答えのでない自問自答を終えた時、聞いたことのない爆発音が聞こえると同時に、視覚と思考に全神経を注いでいて気づかなかったあることに気づく、目覚ましだと思っていたあとの正体は激しく鳴る鐘の音だった。音のうるささから非常事態のときになるやつだと理解できた。
なんとなくヤバそうな感じなのは直感した。
余計にわけがわからなくなってきたが、ここにいても仕方なさそうだし通路を出ることにした。
だれかいるかな、まあいれくれなきゃ困るけれども。
あと数歩で出れる距離で、人影らしきものが動くのが見えた。安堵の声が漏れ、、
「よかった人いたぁ......ぁ....ぁ....アアアアアアアア!!!!」
居たのは3m越えの白目をむいた化け物であり、 漏れたのは悲鳴だった。
そう、通路を出た瞬間、人影だったものが自分を覆った。首を45度傾けて見上げるとそいつと目があってしまった。本日2度目の全身硬直。もちろんその一秒後には奇声を発しながらもといた通路を全身全霊を懸けて反対方向へ駆け抜けていた。
その先にもあんなのがいるかもしれないだとか考える余裕などなかった。
反対側の出口を飛び出た瞬間、
真横から'あいつ'の衝突を受けてふっ飛び、骨の逝った音が聞こえた。
その空中をふっ飛ぶ最中に感じたのは、痛みでも驚きでもなく、安堵だった。
突進してきたのは、化け物ではなく、
馬だった。人が乗った馬。安堵した。
「なんだ人居るじゃん...」
そして地面に叩きつけられ安らかに意識を失った。
初投稿です!
勉強の合間に息抜きとして書くので不定期更新になります。
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