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一学生に過ぎない俺が大魔導師の下僕として召喚されたら  作者: 路地裏こそこそ
~一章 守護者の召喚~
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1-5:守護者(前編)

2500字程度と少なめです

 鈍痛のする目覚めです。オハヨウゴザイマス。


 モーニングでビルドアップしている下腹部が気になる今日この頃デス。

 

 俺どうした? 何どうなった?

 俺しんだ? つか死なないらしい俺。

 俺生きてる。元気。


 ムスコ、超元気……元気。


 ノォーーーーーーー。


 オーケー。見知らぬベッド、見知らぬ部屋なのはオッケーだ兄弟。

 この際、どうでもよい。

 超どうでもいい。

 察しは付く。

 どうせ、異世界、かつ魔女の塔のどこかだ。

 頭は冴えまくってるぜベイビー。


 超ド派手に砂糖とか砂とかを無限に吐けそうな、くっさいセリフ吐いた記憶も、甘んじて受け入れよう。思い出すだけでも香ってきやがるぜ。


 いや、本心だけどね。


 もぉーなんつーセリフ吐くかな。このおバカ脳。

 傍から見れば、どこのお店のひと? 六本木? 新宿? な文句の数々。

『反吐が出るよね、歯の浮くセリフって。ぷッスー』とか言うほどの、精神的ダメージを甘受しようというのだ。

 

 いや、本心だったけどさ。



 白いシーツ。


 何故か天蓋が付いているお高級なベッド。イッツ・キングサ~イズ。


 広め(明りは魔法)の部屋。


 目覚める俺。

 


 そしてスッパマン=裸。


 ザ・全裸。


 ムリ! 超無理! この状況は受け入れ難し!


 『さくやは おたのしみでしたね』


 んな訳あるか! 自家発電すらやる機会もなくナックアウですよ。

 

 ノックされたのは俺アーンド、マイサン! 


 オーケーそれもいい。

 鈍痛が心地よくない。ちゃんと痛い。死なないくせにしっかり痛い。

 思ったより痛くないのは気のせいだ。

 目覚めてない。だからオーケーだ、いいな兄弟?


 てか、なんで裸やねん! 

 イミワカレヘン(意味が解りません)。

 俺、露出に目覚めた? 寝てる間にパージした?

 無意味に?

 殴られたから? 殴られたらパージとかどんな対爆装甲だよ。


 まくらに無駄な八つ当たりを展開。

 拳が枕に埋まる回数、その総数は七度。

 

 えぇい、言葉に関西弁が混ざる時は落ち着いてない証拠だ。

 転勤族の親について転校した弊害が! 静まれ俺の言語中枢。


 つか、俺の服がない! オートパージ説が消えた。


 初対面なのに告白しちゃったハズカシー! とかなら良いよ! 耐えるよ俺。

 かなり、激痛行動だけど耐えるよ。でもな?

 同じ羞恥ダメージでも、痛んじゃダメな方向性の羞恥ダメージだよドチクショウ。


 ミーラーレーター。

 

 思春期の男子のハート脆いんです。ガラスの十代。グラスハート。

 

「お、起きてる?」


 へいへい、心当たり様からのお声掛けですよ、バイ扉の向こう。

 ノックしてますよ。

 返事する?


  しない。

  寝たふりする。

  家に帰る。

  シーツに潜り込む。

  ガタガタ震えてみる。

  全部夢だと諦める。


 ダムッ! ダムイッツ!

 おかしい。希望的かつ問題解決しそうな選択肢が出てこないよ。このクソゲー。


 意を決して、返事する。

 とか。

 マッパでドア開けて『おう! おはよう』

 とか。天然系装う?


 あかん。全然できる気ぃせーへんのやけど。


 キィ。

 と、軋みを響かせ開く扉。

 取った選択肢は。


  シーツに潜り込む。

  

 よぅし、寝たふりだ。

 俺まだ寝てます。探さないでください。←すでに発見されてます。

 ウッサイ! 黙れ地の文! 


「物音が聞こえたから……起きてるよねー……」


 言いつつ、近寄る気配。


 びくっ。


 にゃーーーー。


 思わず体が反応する。なにせ本当に起きているのだから。反射しちゃったよ。

 場数の足りない小僧は、早死にするぜ。


 仕方なく意を決してシーツから頭を出して覗いてみると、俯きソワソワしている、赤毛さんが居た。

 赤毛本体は、くりくりと指に弄ばれながら、ふわりふわりと元に戻るのをループ中。


「さ、さっきはゴメンナサイ。――えっと、治療は――した」


 アカンやん、耳まで真っ赤やん、見られとるやん、確定やん。


「ミ、ミタナ」


 だー違う。絶対セリフ間違えた。抉りこんでどうする、自爆するつもりか。

 言い直すのも変か? ええいままよ!


「じゃなくて、平気、本当に平気。きき、気にしないでほしい」


「うあー、――うん」


 こつこつと遠ざかる赤毛。

 

「ご飯……用意した。もう一つ上の部屋に来て」


 扉を強めに閉じながら「早めにね」と叫びながらバタバタ駆け上がる音。

 閉じられた扉の向こうから聞こえる足音。

 音が遠くなった。

 ……しばし考えてみる。

 うっさい、先送りとか言うな。


 1:俺を認めてくれたのか?

 恐らくではあるが、大丈夫だろう。

 妖精の笑顔が回答であると信じたい。

 そのせいで、砂吐くセリフを使ってしまったのだから。

 前向きに捉えたい。


 2:赤い理由

 考えたくはない。が、ここはあえて『照れている』を推したい!

 勿論『セリフ』にだ。

 じゃなきゃ、次の行動に差し支える! ザ・ポジティブシンキング。


 3:守護者とは

 有体に言えば『ボディガード』だろう。

 俺より確実に強いであろう相手の『ボディガード』だ。

 

 4:願いとは

 こればっかりは聞かねばならない。

 全くのノーヒント。情報なしのお手上げ状態。

 取り敢えず、これが俺の今からの目標になるだろう。


 5:俺に何ができるのか

 『ボディガード』だけど、どうやって守るのか。

 現状、俺は守ると言った行為の為の手段が、自分の身一つってことだ。

 しかも ケンカに負けたことがない。とか、実は武道系の部活で全国クラスです。

 とか、夢物語な設定も事実もない。親父相手の組手ぐらい。

 チート的な力……もない事が判明済み。ザ・補助な能力だ。バフ系。

 手段の確保。出来ることを探す。これが最優先だろう。


 6:今後の課題

 まず間違いなく、戦闘力の確保だな。

 幸い、補助能力は高いのだから、これを生かして、アイテム武装するしかない。

 次に、この世界の話だ。勉強しなくてはならない。

 無知は罪。情報は武器。知るべきこと、覚えるべきことは山ほどある。

 幸い、共通語とやらと話す事と、読むことは出来そうだ。


 いつの間にか、ベッド脇の床に置いてあった籠から着ていた服を見つけた。

 泥で汚れがあったはずの服は洗濯されているみたいだ。


 うん、下着はあれだ。考えちゃダメだ。


 少々冷えるっぽいので、ガウンらしき衣類も一緒にあったので上から羽織る。

 ロングのシャツと黒のデニムの上にガウン。

 不格好この上ないけど仕方ない。


 いくつかの点を整理しながら階段を上ると直ぐに扉の前にたどり着く。

 いくら考えても、前には進まない。

 顔を合わせない訳にもいかない。

 正直腹も減っている。

 こちらに来て何時間が経過したのかも解らない。

 さあ、扉を開けよう。

 潜ったら俺は『アンの仲間』になるんだ。


 ……下僕。かな……。



次回「守護者(後編)」

魔女:ぞーぉおさん、ぞおーさん♪

下僕:もう、やめてぇ! 

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