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一学生に過ぎない俺が大魔導師の下僕として召喚されたら  作者: 路地裏こそこそ
~四章 グレアス編~
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4-14:真犯人を捕まえよう②

 ペットの飼育は大変である。


 飼った事が無い者からすれば、驚愕の辛さがある。

 すぐギャーギャ五月蠅く鳴く。メシ不味いんじゃーとばかりに喚く。クッションや新聞紙をみると親の仇の如く暴れる。そして咬む、咬み散らかす。


 飼った事が無い者からすれば、想像もできない楽しさがある。

 遊んで~と鳴く。嬉しさのあまりニャーニャー騒ぐ。ご飯がおいしくてその場でくるくる回る。

 構ってよ~と甘噛んで来る。


 視点が変わるだけで可愛い。

 視点が変わるだけでうっとおしい。


 それがペット、ザ愛玩動物。


 さぁ、それでは、ケイゴさん宅のペットを見てみましょう。


 まずご主人さまに朝の御挨拶です。シーツに潜り込み主の暖かさを堪能します。

 クンカクンカと鼻を鳴らし、健康チェック。

 どうやら、元気いっぱいの様子を見て嬉しくなります、悶えまわります。ごろごろり。


 おや、あれは『おやつ』でしょうか? 『玩具』でしょうか?

 そびえ立つ獲物を狙う目は真剣そのもの。 一旦得物から距離を取ったぞ……、それ一気に攻撃だ!



「さぁーせぇーなぁーい、ですぅ~~~!」


 神足のロミィタックルを受け、壁まで吹っ飛ぶベリ子の姿。

 朝の主人のガードは、優秀な先任者によって鉄壁であった……。


 主たる俺は、気持ち良く起床が出来る事を嬉しく思う。

 よく殺ったぞロミィ、褒めてつかわす。さぁ、朝のブラッシングから始めようか。

 たっぷり、褒めてやるぞ。

 


 とまぁ、あれからロミィと競って朝の襲撃を受けたり、夜這いを撃退するのが面倒だ。

 それはまぁ何とかなるのであるが、問題は餌だ。


「せ、接吻でいいのじゃ! お腹空くのじゃ」とか言う。

 言うのだが、普通の食事でも問題ないのでそうさせている。しかし吸収効率と旨さが違うと言って聞かない。

 仕方ないので今朝は、指先をナイフでちんまりカットして血を与える「白くても良いんじゃよ?」と言ったのでお預けした。

 この世の終わりの様な顔をして本気でメソメソ泣いたので困った。

 大容量の胸部のやわこいモノをぷるんぷるん揺らしながら、頬に伝う涙を必死で手で拭ったりしてる。

 声を殺してしゃくりあげながら泣くのだ。


 少し気の毒になってしまい、本当に仕方ないので改めて指を差し出すと、食らい付かれた。

 ポロポロと涙を流しながら「これ程ものは他にないのじゃぁ~」と嬉しそうに食らい付かれた。

 えぐえぐと泣き笑いで食い付かれた。


 めっちゃ気持ち良かったので、別の意味で非常に困る。

 俺の若さ溢れる朝のアレは、さらに勢いを増しアルプスの屹立を彷彿させる勢いだ。非常に困る。

 ロミィに見られないようにする必要がある。

 マネしたいと言われた時に非常に返答に困る。



 ~~~


 困り続けて、幾星霜。


 翌日、囮として自分を使ったが効果なし。

 夜になれば、街には不審者と思しき人間なんぞごまんと居る。ベリ子とアンの使い魔達を囮である俺の周囲に配置。複数の監視の眼を使っても変化が見られなかった。犯人がこの街に潜伏しているとするならば、俺はどうも目立ちすぎてしまったらしい。非常に困った。


 困っただらけだ。


 別の時間帯にアンも別ルートで出歩いてみたが効果なし。

 命知らずな酔客と思しき、犬の獣族がアン対し命知らずにもにルパン○イブを敢行して、撃退した程度の変化しかなかった。世はなべてことも無し。

 つうか、そいつが本星じゃないだろうなオイ。


 この囮作戦を実施している間、やはり犯行が無い。人族や亜人族等による通常警備の人員を減らしたのにだ。逃げたのか、潜伏しているかの判断材料すらない状態。


 俺達の世界の様に、地域一帯の聞き取り調査や、全員にアリバイ調査的なことは出来ない。不可能だ。

 都市の出入りを封鎖するにしても、特定方法や判別方法が無い。

 探し方が魔女裁判レベルにしかならない、意味も効果も無い。ただの冤罪の温床だ。

 挙句には流通の妨げにもなるので本気で意味が無い。


 街へ出入りする全員にアンが嘘発見器的な魔術をかけるのも現実的ではない。

 むしろ、既に脱出済みの場合、無駄に終わる可能性が非常に高い。

 手詰まりだ。


 さらにその翌日。俺は最終手段に打って出る事にした。

 アンもニックも気が付いていたが、民を囮にするため、控えていた様子だ。


「手が無い。ベリを使う」

「やっぱり?」

「気は進まないネ」

「主が言うならやるが。あまりやる気が出んのう」


 とまあ全員が全員やる気が無い。


 俺自身自分の誓いにも抵触しかける。

 戦争の道具とか、民を戦の盾にしないと誓った訳で、囮捜査に言及した訳でもない。

 魔術契約的には抵触しないっぽい。

 抵触した場合発動するペナルティの強制抑制が働かなかった。


 だからと言って、進んでやる気なんぞ毛頭ない。故に控えてた次第だ。


「意外だな。ベリはやる気があると思ってた。言っちゃなんだが欲求不満だろうに」

「主、過小評価はイカンな。主から供給される甘美さに比べれば烏合じゃよ」

「至高の旨い酒を嗜んだ後に、どこにでもあるエールを飲むみたいなものカ」

「ニックは良い事を言うのう。比喩としては最上じゃな」


 味の問題かよ。


「あの夜。黒くて硬くて熱いものから溢れ出る、あの感触。舌触り。

 はぁん。今でも喉の奥が震えるようじゃ」


 顎を突き出し、喉を擦りながら恍惚の表情で悶えだした。

 ヤメロ! フラグ立てんなボケェ!

 

「おぉ、坊やテクニシャンだな?」


「ざっけんなお前! 違うだろ、誤解招く言い方すんな!」


「死ね、変態」


 あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ


 スティックのフルスイングをもらうに留まりました。


「褒美を出す。……痛い」


「ダメ、ヤダ」


「まだにナニも言ってない。あと腕痛い。超痛いゾ」


 速攻且つ迅速な否定。しかも顔真っ赤。羞恥心がオーバードライブ。

 なんの想像しやがった。失敬な。


「身体魔力全開状態での、血をやる」


「何十人でも童貞を襲うことを誓う。主よ、二言は無いな!」


「無い」


「んーそれくらいなら……まぁいっか」


「良くない、良くないヨ! 一人でイイヨ! 聞いてるぅ君たチィ?」


 むぅ。失敗は許されない。


「ニックさん何十人もやらせるワケ無いだろ」

 

 とか、さも当然であるかのように言う。

 

「あ、主ぃ? 二言は無いのでは……」


「褒美だけな。二言は無いぞ。何十人とかはお前が言い出しただけだろう。そうだ、もう一つ。接吻のみ許可する、童貞を奪うなよ」


 出来るなら俺より筆卸は後になりやがれ、この異世界の早熟主義者どもめ。

 せいぜい童貞ライフを満喫しやがれ。


「当然ね」


 アンまで言う。

 何か思うところがあるのだろうか。


「で、決行は?」


「今からだろう、犯行は鳴りを潜めてるが、どうせやらなきゃならない」


「オレはいつでも構わん。念の為ここで待機するガナ。何かあれば連絡よこセ」


「アンはロミィを頼む。何してるかバレたら暴れるかもしれんし」


「わかったわ。怪我したり変な匂いを付けて来ないでよ? 前みたいに暴れるわよあの娘」


 あれは酷かった。

 大怪我状態で帰ったあの日は深夜にも近い時間だったのに、うつらうつらとロミィは起きていた。

 俺の姿見るや否や、血相を変えて匂いを嗅ぎだし、隣のベリ子に「マスタぁの敵! 排除っ」とか言いつつ猛然とラッシュをかけた。

 抑え込まれながらも、逃げるベリを追って街に飛び出そうとした所を、漸くの思いで無力化した。

 ベリ子には悪い事をしたが、囮になってもらったので比較的止めやすかった。


 どうやら、俺、もしくは、アンに危害を加える相手に反応するらしい。

 どこで、どう鍛えたのかわからんが、キールに襲い掛かった時よりもさらに攻撃は鋭さを増していた。注意をしていないと、一般人に被害者が出そうだ。

 被害を受けるのがベリ子だけなら、一向にかまわんがね。


 色町に囮に出た際、街行くお姉い様方に囲まれた後で帰ったときは、ひたすら匂いを嗅がれた上で


 「無罪」


 といって去って行かれてしまった。

 むぅ、凄く鼻が効くっぽい。恐ろしい子だ。


「いい? 無茶しないのよ?」


「了解。頼りなくて不甲斐ないケド、無茶はしない予定」


 なんだ、三人顔見合わせて。


「「「不甲斐ない?」」」


 全員同時に首傾げんなよ! 

 しかも同じ方向ってどんだけ息合ってんだお前ら。

 俺放置でそーゆー練習でもしてたのかコラ!


「主が何を言っておるのか解るかアンジェよ」


「オレも聞きたいネ」


「いっつもこうなのよ。自信が無いって言うか、自覚が無いって言うか……」


 ベリ子とニックが顔を見合わせた直後、お互いに頷き言った。


「「自覚ぅ?」」


 絶っ対っ、流行らせる気だろクソッタレ!


「ケイゴはね。自分は弱いって思ってるの。何の役にも立たないって。はぁ……」


「溜息をつくなよ、余計に凹むだろ」


 二人が何やらこらえながらプルプルしてる。


「「ないわーーー」」


 くそぅ。三回もハモりやがった畜生!


「ひーっひっひ。腹痛いのぅっ。ひっひっひ~」


「オレもだベリ殿、うひゃひゃひぇ。は~はらいてェ。ヘーゥルプ」


 なぜ転げまわって笑う?


「お、お前さん『ガボン』倒したんだロ? この街には敵なんテ、ぎゃーーっはっは」


「ワシなんて、も、もう少しで一撃で魔界に送還されるところじゃったわい。ぷぷぷ」


「「弱いって、ないわー」」


 そこまで笑うなっ! ゲラゲラとうっせえんだよ。

 

「事実! ガボンだって紙一重だし、それに俺はベリに勝った覚えはないぞ、畜生!」


「ね? 本気なのよこの子」


 ほれ、子ども扱いじゃないか。

 情けねーったらねぇよ。


「それは」

「それデ」

「「ムカつく」のう」


「アレンジかよ!」


 向かい合った後、同時にこっち見ながらハモりやがってこの野郎!

 フォーリンらぶってか、あ? むきぃー!

 練習しただろ。何時間かかけたろコラ。嫌がらせに関しては、手間暇惜しまないタイプですってか。


「ったく、これだもん。これの誤解解くのってさ……」


「メンドクサイな」


「うむ、主は『ゆーもあ』抜群としておこうかの」


 なして三人してそこで終わる!?

 くそ、今に見てろぉ。


「絶っ対っ、一人で辻斬り捕まえてやるから、見てろ!」


「「「あー、あ、はい。ソーデスネ?」」」


きぃ~~~~~~~!



次回「真犯人を捕まえよう③」


魔女:躾……ちゃんとしてる?

下僕:イエスマム!

少女:ちゃんと!

悪魔:されてるのじゃぁ~♪


魔女:(後でちょっとお話があるわよこの野郎?)

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