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一学生に過ぎない俺が大魔導師の下僕として召喚されたら  作者: 路地裏こそこそ
~四章 グレアス編~
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4-4:辻斬りって?

「男の魔術師が狙われてる。てな話だよな」


 街に辻斬りが出る。漸くその本題に入ったが、今までの会話で得た情報は殆どない。

 まさに今からって所だ。

 

「そうだ。死因は衰弱死。特徴だが、犠牲者の中にほぼ老人は居ない。あと人族が多く狙われる、我々森妖精族も居るが、圧倒的に人族だ。クラスは魔術師がダントツ。既に死者は二十を数え始めた」


 こう言う時、捜査って奴は同一犯であろうが模倣犯であろうが、必ず探すのが共通点だ。

 パターンや、対象、犯行経路などを洗うのが筋。

 それはこちらの世界でも同様の様だ。


 で、その共通点は男、若いそして。


「魔力量の多い方が狙われる……か」


 魔術師なんて俺からしたら物騒なのを襲う理由なんて、これしか思いつかなかった。

 近接なら組みし易いが、離れたらこれほどウザいのも無いと思う。


「そうだ。クアベルトにも程近いこの街は、比較的に冒険者や旅人、中でも魔術師は多い。だから犯人はこの街での犯行を行ってイると考えている。死亡者は男性の魔術師。行方不明者も何名かいる、不明者は何れも少女、大人の女性の犠牲者は居なイ」


 女性でも魔力量は高いのがいるだろうに。

 効率の悪い犯行に思える。狙いが違うってのか。

 行方不明も気にかかる。殺す時と連れ去る時があるとでもいうのか。


「そこが変な点ね。偶にいるって別の被害者って、冒険者以外の処女の女って事?」


「御明察ダ、アンジェ」


「どう言う事だ?」


 幼女、少女限定とか、処女特典とかあんのかよ。

 魔力過多にそんなものが関係あるのか。

 

「つまりね、純粋な魔力を保持した人間を探して手にかけてるって事ね。女性は月の影響で魔力が上下する。それは処女性を失ったら如実に出るのよ。最近の研究では処女と言うより、月経そのものが来ておらず、初潮前まで月の影響が無いのでは。と言われてるわ、そして月の影響が最も魔力に作用するのが人族って訳。獣人族には人族より影響の多い種族もいるけど、存在自体がレア。探すだけ無駄ね」


 明確に、的確、確実に、魔力を欲しがる。月の影響で上下しない魔力。

 だから男の身を狙う。クラスは無論、魔術師の系統。

 そして犯人は森妖精族ではない。魔力感知の的確度が高くないと考えるからだ。

 なぜなら、判断が的確にできるなら、魔力の波が上振れして高い状態の女性も狙えば良いから。

 そしてそれは大人の女性に被害者が居ない事で確定となる。

 女の子の場合はどうなんだ? って疑問が出るが『小さければ問答無用』と言う事かもしれない。

 月経の有無なんて、外から判るもんでもないだろうからな。


 月経……あっ。

 

「ロミィ。ロミィはどうだ?」


「危険ね。竜族は魔力量も豊富、初潮は聞いてない。少なくとも今までは無いわ」


「そうか、良かった。でなくてな、いや、その。そうじゃ無くてだ……なんだ、初めて会った時、その、怪我ぁしてたし。えっと、ぅあぁ、う、産めるのか……とか」


 出来る事なら、ロミィにも人並みの幸せって言うかなんというか……。

 そんな心配が無いと願いたいじゃん?


「へえ?」


 なんて疑い深い目だ。ちょ! 髪の毛ふわふわさせんな!

 なぁーんて偏見だ。心外だ! 侵害だ!

 孕ませる気なんてある訳ないだろうが。


「なに? アリエナイから。違うよ、純粋に心配なのよ。オワカリで?」


「冗談。ご心配なく。それに、竜族はアンタ程じゃないけど再生能力があるの」


「そ、そうか、よかった。いや、でも良くない。

 不味いな、ターゲットになる可能性が出るな」


 ロミィは可愛い! ちがう! いや違わない可愛い。それは良い。

 あんな目立つ子だ、金髪の小さな女の子『美形』だ。

 贔屓目とか言うな! 実際可愛いの。

 心配だ。普通に怖くなってきたぞ。


 さて置いたとして、だ。

 ふー。深呼吸だ。落ち着け俺。


 一つ、腑に落ちん。釈然とせんぞ。

 なんで、領主様自ら頭抱えなきゃならん問題なのか?


「で、疑問がある、これの事件は、何故問題なんだ? 死人が出てるからってのは解るが、この街だから問題になるって点が解せない」


 領主が頭を抱える問題となるなら、単なる通り魔犯行ではない。

 そんなもの部下に捜査させればいいし、冒険者ギルドに懸賞でもかければ済むことだ。警戒令なり出すのも手だろう。


 突然来たアンに相談してまで、早急に解決しなきゃならない理由はなんだ。


「おい、こいつ本当に見た目通りのガキか? なんつーか察しが良すぎやしないカ」


「へへー。自慢のあたしの守護者よ」


 この街ならでは。

 亜人の統べる都市。

 街の特色……こいつが原因か?

 あ、聞けばいいか。どうにも無駄に悩む癖があるな俺は。


「お世辞はいい、無知蒙昧なのは自覚してる。貯めるなよ、教えてくれよ」


「ハイスクールのガキだと? ってあー済まなイ。

 観光都市だからだ。亜人族の多い街の亜人族の領主のな」


「了解だ。俺で良ければ協力する。アンはロミィを見ててくれ。俺は囮をやる。

 策の詳細は後で詰めよう。犯行時刻と照らし合わせて最適解を見つけるんだ。

 御同郷の名誉の為なんで一つ宜しく」


 やはりな。亜人による人族差別につながる訳だ。

 人族が殺されまくっても、捜査が進まない街。

 そんな噂のある観光都市に誰が立ち寄りたい? 

 しかも下手すれば領主が疑われる。

 領主自ら人族を迫害するなんて噂立った日にゃ、致命的だ。

 観光地になんてなり得ない噂。


 この国、ルシアナ帝国の大半は人族だ、そっちが主流派。

 商人は大多数が人族だ、冒険者ですら半々が良い所だろう。

 亜人による人族の迫害。そんな気運が広まるのも避けたいだろうし。

 事実無根でも致命傷。噂とか風評被害なんてのは、そんなものだ。

 早めに蹴りを付けるのが正しい。


「話が早すぎやしないか? おい。冗談だろ。守護者ってのはこういう資質でも必要なのかねぇ。オレがガキの頃はもう少しバカだったゾ」


 最近の日本の若者は大半が耳年増なの。サブカルチャー舐めんなよ。

 いい年こいた大人達が躍起になってストーリーやトリックを考えてるんだぞ。

 多少の想像力位は日々触れていれば身に付くってもんだ。

 誤情報に踊らされるというか感化される厨二病罹患者も多いけどね。俺みたいに。


 ともあれ。策なんて大方決まってる。

 ぼっけり歩いてればいいのだ。魔力を持っている俺が……。

 しかし宣伝は必要かもな。


 ふむ、何か俺が狙われやすくなる様な効果を持った良い宣伝とか無いものか。

 

 


 

次回「きつい手解き」


魔女:囮なら美人局よね~。

下僕:女装してどうするのさ! やらないよ!?

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