0:テンプレな前置き 所謂プロローグ
さっくり次へどうぞ。
一学生に過ぎない俺が大魔導師の下僕として召喚された結果~プロローグ~
目が覚めて目に入ったのは、音楽室の様な白い天井と点滴のシリンダーと管。
病院か? と呟いたか否か。
真っ白な天井をぼーっと眺めていると、長い、とても長い夢を見た気がした。
妙にリアルな夢。年数は思い出せないけど何年か過ごした様に思う。
我ながら『あほくさ』と思うが、とても楽しい夢だった。
とても悲しい夢だった。
とても辛い夢だった?
でも楽しかった。
安定しない記憶、所詮は夢。
でもなんで、病院だ?
そうだ。学校行事で山へ行ったんだっけか。校外学習。一泊二日でロッジ宿泊。名ばかりの学習な学校行事。仲間と一緒にこそこそと玩具を持ち込んでワクワクキャンプ気分。
あぁそうそう、サバゲしたんだ。
大した装備もなしで自由時間にサバゲ。山でサバゲ。サバゲなのに、教師に見つからない様にする方がミッション難易度として高い、そんな遊び。
服装は『山登りやキャンプの出来る服装』とのラフな指定だったので、まぁそれなり。
ブーツとジャケットはサバゲ用。
持ち込んだものは、ハンドガンが二丁。愛用のグロック18とベレッタM9A1。
分解して、みんなで持ち寄った長物も何本かあったっけ? うん、俺も長物を借してもらった。長物と言ってもどうせ二十メートルの限界射程、所詮は玩具。
名前なんだっけ、レミ○グスみたいな感じ。
重かったなあ、なんせ三キロ近くあった記憶がある。グリップやら各所に鉛が入れてあるから無駄に重い思いをした。あれのせいで足を滑らせたんだ。
そうだ……そうだよ! あれが原因だ。
俺達はあの時、急に降り出した雨にも関わらず、気にしないで遊んでいた。
山の天気とか舐めまくり状態。大人と言うか教師もいるし、大勢いるしで無駄に舐めまくり。
あそこで止めとけばなあ。
◇
小さな沢の近く、水深は無いと言っても良い様な渓流の流れ。
大き目の広葉樹によじ登って枝に腰かけた時に、降り出した雨。
ちょうど登り切って枝に腰を下ろした時に、足音が聞こえた。
踏まれた下草が接敵を知らせてくれる。
太めの枝の上で体を捻り、音の鳴る方を見る。
音が次第に大きくなる。
至近でも無いケド狙えるだろう。距離、約二十メートル、射程限界、天候は雨、風も少々。
けど、俺には問題ならない、そんな距離。
背中のライフルを前に回す。全長は百二十センチ程。
スコープを覗く。ちょい見辛い。
仕方無く幹に寄りかかりながら体制を変える。
まだ狙いにくい、さらに射撃姿勢の調整。
撃てる、獲った! と思った時にバランスを崩して。
おちた。
◇
あれから、今まで見てた夢か。
何日か寝てたのかな。
長い夢だった。
その夢のオチがすごかったけどな。
なんせ、爆発オチ。
夢の中で死んだ、爆死だ。
夢とは言え『リア充状態』で爆発して死亡。
リア充爆発した。
リア充してたのになあ。
そして死んだと思ったら、今現在、病院のベットで管付きの入院患者。
管付きのワルの出来上がり。
「……アン……」
ふと、口をつく名前。
思い出せるかな? と目を閉じる。
閉じれば、美しいでは言葉が足りない夢で見たあの娘の姿が浮かんだ。
笑顔が好きだった。
愛しかった。
夢の中の彼女はあの爆発で無事だったろうか……。