第七話「悪魔との契約」by南国
今回も初参加の南国さんです。PNの名付け親は私です。初参加で初小説でもあるので、不安はありましたけど、かなりいいと私は思います!笑
「法律には実体法と手続法があり~」
講義を聞き流しながら、私は昨日の探偵との会話を思い返していた。
「兄を恨んでいた人は三人いるって言ってましたよね?」
探偵は紙をめくりながら
「ええ、三人。一人目は賀楊社課長の堂島武弘です。彼もまた若くして課長となった有望株でもともとは清宮こころさんのお相手として最有力だった方です。あなたのお兄さんを恨んでいてもしかたない」
と私にとって驚愕することをあっさり言ってのけた。
紳士的な対応をしてくれた堂島さんが兄を恨んでいた可能性がある…。私は考えもしなかった。やはり私一人で調べるには限界があるということを痛感した。
「二人目はお兄さんと恋愛関係にあると噂されていた清宮こころさん。私の雇い主です」
違和感を感じた。
「でもさっき兄とは恋愛関係にはなかったと言ってませんでしたか?」
「ええ、ただ本人の証言以外裏づける証拠はありません。そのためまだ犯人でないと断定するわけにはいきません」
思わず私は
「雇い主でさえも疑うんですか?」と聞いてしまっていた。
「私は探偵です。探偵は真実を追求することが仕事だと考えています。だから疑う余地が少しでも残っていれば容疑者からは外しません」
この時、私はこの探偵は信用できるのではないかと思ってしまった。
「そして最後は川井友紀。あなたの親友です」
友紀について聞かれたときから予想はしていたがやはり信じられなかった。
「どうして友紀を疑うんですか?」
聞かずにはいられなかった。
「それについては今あなたに話すわけにはいきません。なぜならこれからあなたに友紀さんについて調べてほしいからです」
「話が違います!全て教えてくれるんじゃなかったんですか!?」
探偵はさも当然のように
「彼女は聡明で警戒心が強い。一応私からもコンタクトをとりますが恐らく無駄に終わるでしょう。ですがあなたなら怪しまれずに彼女を調べることができる」と言ってのけた。
「私にはそんな真似……」
遮るように
「このままでは捜査は進展しないでしょう。ですがそれはあなたも同じです。それにあなた次第では親友の嫌疑を晴らすこともできる。もうすでに私たちは一蓮托生です。次にあなたから有力な情報が得られたとき、私がなぜ彼女を疑ったか話しましょう」
探偵は悪魔かと見紛うような薄い笑みをはりつけながら言った。
うまく術中に嵌められてるとは思った。しかし兄の死の真相を知りたい、友紀の嫌疑を晴らしたい、でも友紀を裏切るようなことしていいのか。この探偵を信用していいのか。さまざまな考えが頭を駆け巡る。
結局……私は……悪魔に魂を売り渡した……。
「……かり……ひかり!」
気づくと授業は終わっていた。
「ごめん。考え事してて」
まともに友紀の目を見れず、足早に去る学生に目を向けながらそう返事をした。
「もしかしてお兄さんのことまだ……」
友紀が心配そうに聞いてくる。罪悪感を感じながら私は
「大丈夫だよ」
と生返事を返す。すると友紀は、
「私のお父さんが検事だってことは知ってるでしょ。今回のお兄さんの事件について相談してみるといいと思う。九時ぐらいには家に帰っていると思うからうちに来ない?」
とこちらを気遣いながら提案してくれた。
兄のことを聞く以外にも友紀について調べるチャンスではあった。心の中では友紀が犯人なはずがないと思いながら
「わかった。じゃあ今夜行くね」
と明るい様子を装いつつ返事をする。しかし最後まで友紀と目を合わせることはできなかった。
今日は小説の構成について語りたいです。私は酷く大まかに分けて、ストーリーは二つに分けられると独自解釈してます。一つは「起承転結型」。これはまさにその名のとおりです。話が始めってなにかの物事が起こって解決する。といったものです。個人的には推理物がこれに分類できると思います。もう一つは「RPG型」。さながらRPGの様になにか事件が起こり、解決し、また災難降ってくる。まさに冒険系に多いと思います。
基本、リレー小説とは文章というボールの投げ合いですから、RPG型になります。過去の作品中でも、某人が事件を小説内で起こして、違う人がそれを解決。また違う人が事件を起こしての繰り返し。しかし、今回はどうやら少し違うように感じます。「起承転結型」のように一個の事件解決に奔走する主人公たち。とはいえ書く人が異なるせいで、彼ら(主人公たち)の行動は全く思ったようにコントロールはできない。
私は長いことリレー小説自体はやらせていただいていますので、本当に新鮮で楽しい限りです。
さて、一周が終わりました。次からは二周目です。三周か四周で終わらせるつもりですが、うまいこと着地できるのでしょうか?笑
次は49号さんです!