女性占い師の独り言
私は嵯峨龍という高校生の男の子の守護霊をしている。この龍という子の魂はとても純粋で居心地がとてもいい。龍君には私の他にも、あと三人も守護霊が憑いているの。私を含めて全部で四人。二人の守護霊がいる人は結構いるけど四人って珍しいのよ。多分、他の三人も居心地がいいんだろうと思うわ。
私が龍君の元へ来たのは今から三年前、私が死んでから三年経った頃だったわ。別に生きていた頃に戻りたいとか未練は全くなかった。いつ成仏しても良かったんだけど、生きている時に見えなかった物を見たくて、この世に留まっていたのよ。生前の私には友達がいなかったからね。嫌われていたんじゃないの。一人が楽だったのよ。
『ああ、体動かしてえなあ。』
私の思考をさえぎるように呟いたのは『勇次郎』という龍の守護霊のうちの一人よ。
《うるさいわねえ。龍君を巻き込まないでよね。》
私は勇次郎に釘を刺した。
この勇次郎という男は何かにつけて龍君を誘い、格闘技の道場巡りをしているの。そのせいで龍君は度々怪我をする。守護霊って言うのは守ってあげるものでしょ!? だから勇次郎と私はよく喧嘩するわ。私には身近な危険を察知できる能力があるの。だから怪我をするって分かっていて龍君を勇次郎と一緒に行動させたくないの。
でも龍君も格闘技が好きなんだよねえ。私の制止は聞かない事が多いの。普段はよく聞いてくれるけど、格闘技が絡むとねえ。
勇次郎は言うわ。才能を伸ばしてやるのも守護霊の役目の一つだと。
確かにその通りなんだけどね。龍君には確かにスポーツの才能があるわ。それに『教授』というこれまた守護霊の一人の導きによって学問の才能も開花しつつあるって感じね。
私は生前は占い師をしていたの。そこそこ人気だったのよ。そういう人を見る仕事をしていると本当の友達ってできないものなのよねぇ。無意識のうちに友達の行く末を占っていたりしてね。そうして一人が楽になって行ったのよ。
でも龍君の守護霊になってから勇次郎と喧嘩したり楽しいわ。勇次郎も魂が純粋な男だからね。魂になってから充実した毎日を送っているっておかしいと思うかしら?
損得の関係は全くない龍君を守るという立場の私達の関係はとても居心地がいい。
《あ、ちょっと遠回りして! 》
私は龍君に危険を告げる。
「ありがとう、礼子。そうするよ。」
龍君は言う事を聞いてくれて、お礼の言葉も言ってくれる。結構嬉しいわ。たった一人の人を守るってやりがいがある。純粋な龍君の魂を汚したくないし、汚させない事が私の生きがい(?)になった。
私は龍君の守護霊をずっと続けるわ。彼が死ぬまでね。




