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時刻は深夜三時過ぎ。
どういうことだ。四人が集まってまだ一時間ちょっとしか経っていないはずだった。
そして、四人と言ったがその内の一人が……。
脱落者が現れてしまったみたいにソファに座る者が一人減った。
俺達は色々な感情を押し殺して話の続きをすることにした。
阿部が口を開く。
「岩田さんは何かを知っていますね? それも私達には言えないようなことを」
岩田は拗ねたみたいに俺と阿部に向き合おうとしない。
「……その旗上神社が完成してから見張り役を任されていたのがうちの家系だったのです。
見張りと言っても週に一回くらい定期点検みたいに異常はないか様子を見に行くのが主な仕事だったんですけど、うちにはなぜそんなことをしないといけないのか詳しい事情は教えられていませんでした。ただ絶対に盗まれてはいけない大事な物があの祠に眠っているからだと」
そうだったのか。いきなり熱を持って阿部の話を聞き始めたのはそれが理由か。
「なるほど。この地域であの祠についてなんとなくでも知る者が増えた一人だったんですね。それだけですか?」
「……ここ数年、阿部さんのようなオカルトマニアを中心に先程の映像だったりの情報が外部へ流出してしまったからでしょうけど、あの神社を観光どころか調査しに来たみたいに訪れる人が現れ始めたのでこれは本格的に警備をしなければと強化しました。
身なりからして近所の人がふらっと寄ってみたわけではないのは明白だったので」
「うーん、ここは私が代表して謝るべきなんですかねーどう思います、荒木先生?」
「俺に聞かれても……まて。警備を強化したって両親が亡くなってからは岩田がパトロールしていたのか?」
うっ、温厚な性格の岩田が苛ついたように舌打ちしたような……そんなまずいこと聞いたか俺。
「いえ、私は基本的に任されることはありませんでした。父が、そして父が亡くなってからは……正道さんが主にやってくれました」
長島が引き継いだのか。あいつはちゃんとやっていたのだろうか。
それを聞くのも勇気がいるくらい岩田は機嫌が悪そうだ。
「社殿の裏は柵で囲まれていますよね。それも上って中に入れないように針金まで張り巡らせている。
その中を覗こうとしたら中年くらいの男性から怒られたって知り合いが去年、言ってました。それは長島さんだったのかな。もしかして警備を強化したって一日中、張り付いているのですか?」
「陽があるうちは横にある小さな集会所に常駐していたこともあったので、そうでしょうね」
マジか、過剰なくらい警備はやっていたみたいだな。
長島は外部の人間だろうし俺だったらそんな面倒なことあまり率先してやりたくないけど。
「あの、その長島さんのことで確認したいんですけど……長島正道さんってホラー作家としてファンの間では有名な長嶋まさみちさんと同一人物ではありませんか?」
なに? 長島が有名なホラー作家だと!
……岩田は無言だが、違うとは言わない。ということは……。
「長嶋監督はあるホラー映画の脚本、監督を務めて大ヒットしました。低予算ながら上質なモキュメンタリーホラー風の作品でどんどん口コミで広まった効果で上映される映画館も全国に拡大されて興行収入何十億とか達成したんだっけかな。
それだけ長嶋さん自身もホラー大好きで、そして旗上神社の噂を嗅ぎつけた一人でもあるんです……これって今回の事件でとても見過ごせない要素だと思うんですけど、それについて岩田さんが知っていることを話してくれませんかね?」
あれ、なんか思っていた事件と違う方向へ進んでいる気がするぞ。
「瀬谷さん……奏ちゃんは戻って来ますかね? でも、どうなんだろう……どのみち私がした罪を知ってしまったら奏ちゃんは傷つくし……」
ブツブツと岩田は独り言を。
「岩田さんが求めれば戻って来るんじゃないですか? だってもはや長島さんは岩田さんを守るためだけの存在になったんですから。守護霊のように」
「私を守るため……そうですね。さっきも私を助けてくれました」
長島が岩田を助けてくれた? あれはまさか……。
「そういえば正道さんありがとうって言ってたよな。あれはどういう……」
「正道さんは若い女性を襲う鬼畜なんかではありません。血は繋がっていなくても私を第一に想ってくれる優しいお父さんです」




