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バイク小説 短辺集  作者: 霧笛の火魔人


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【リアル仮面ライダー】

挿絵(By みてみん)


「こんにちはー」

「Vストさん、いらっしゃーい」


今日は現地集合ツーリングで、湖畔のバーガーショップに来た。

既に来ていた仲間が3名、私と相方が到着して合計5名だ。


ゆっくりと雑談できるように、テラス席に陣取っている。


「こちらが、初参加のレブルさん」


「初めまして、レブルに乗っている鈴木です」


ひとりずつ自己紹介が始まるが、基本的に本名ではなく、あだ名で会話が進む。


一番多いのは、自分の乗っているバイク名があだ名になっているパターンだ。

ツーリング仲間というのは、あまり私生活の中まで入らない。

すると、次回に会った時に分かりやすいのは、人相ではなくバイクの車種だからだ。


ただ、バイクを乗り換えると、あだ名とバイクの名前が食い違う時がある。

その場合は、笑ってごまかすか、改名となる。


目的のバーガーセットを注文すると、雑談が始まる。


初対面の人との会話は、「天気の話」か「気温の話」が定番だ。

誰が相手でも、間違いなく会話ができる共通話題だからだ。

しかし、バイク乗りの場合は「バイク」という共通話題があるから気楽だ。


共通ではあるけど、避けなければならない話題もある。

それは「政治の話」「宗教の話」「エロ話」だ。

政治と宗教の話は、思想が食い違うと悲惨なことになる。

エロ話も要注意で、調子に乗って自分の性癖を語りだす奴がいると、聞いている側は話の間中、そいつの裸体を想像することになり、実に気持ち悪いことになるからだ。


さて、今日はどんな会話を楽しもうかと思っていると、レブルさんが話題を提供した。


「仮面ライダーって、なんでバイクに乗っているんでしょうね?」


「仮面ライダー響鬼はバイクに乗らないよね」


「電車に乗っていた電王とか」


「その辺りは、除外してwww」


「事件が起きた時に駆け付けるために、バイクが良かったんでしょ?」


「でも、被害者が悲鳴を上げてからヒーローが到着するまでの時間って、せいぜい3分が限度で、それ以上かかったら、被害者が死んじゃうか、犯人が逃げちゃいますよね」


「仮面ライダーのリアル設定ですね」


「3分で到着できる距離って、町内くらいじゃない?」


「夜中に痴漢が出て、女性が悲鳴を上げる……町内だったら、バイクに乗るよりも走っていった方が速くない?」


「リアルな距離だと、悲鳴の聞こえる範囲かな?」


「スピード重視なら、マニュアルミッションのバイクより、スクーターの方が行動が早いよね」


「え゛~ PCXに乗って駆け付ける仮面ライダーって、なんかいやだなぁ」


「バイクで駆け付ける限り、守備範囲はものすごく狭いよね」


「そういえば、スーパーマンとかウルトラマンとか、飛んだり超能力で駆け付けるけど、ライダーはなんでバイクなんでしょ? そもそも、バイクに乗って登場するヒーローの元は何だっけ?」


「たぶん、月光仮面じゃない?」


「知ってる、白いターバンを巻いた変な人でしょ」


私は、インド系の人物を想像してみる。

7人いたのは、なんだっけ?


「でも、痴漢とか喧嘩を解決しても、ヘルメットをかぶったまま正体も明かさず去っていく正義のヒーローってカッコよくない?」


「正体を隠す意味なら、フルフェイスのヘルメットをかぶっていれば十分だから、リアル仮面ライダーは変身する必要がないよね」


正体を明かさずに、事件を解決して去っていくヒーロー。

無くはないが、その姿がスクーターに乗った、ヘルメットを脱がない人物だとすると、実に怪しい。


しかも、そのヒーローが現れるのは、悲鳴が聞こえる範囲で、特定の町内とくれば、それはもう正義感の強めなオッサンではなかろうか?

正体は町内会長とか?


「じゃ、町内ヒーローだとすると、事件が頻発する町内ってどうなの?」


「夜間に一人で歩いている女性なら、いたずらをしてもいいって常識の国の人が、たくさん居る地域」


「それ、どこか特定の国のことを言ってない?」


「強〇があると女性のほうが罰せられることがあるとか」


「そんな国は、ないない」


「じゃ、こうだ! そんな常識の国の男性たちが、技能訓練生としてたくさん居る宿舎が、その地域にある。そこで痴漢が頻発していて、それを止めようとしている仮面ライダー」


「あぁ、それなら、報復防止の意味で正体を隠しているのもありですよね」


「痴漢を働く戦闘員たちは、ある会社が安い賃金でこき使われている」


「すると、悪の組織の首領は、その会社の社長ですね」


「怪人は、その会社の部長とか課長とかで決定」


「いいですねー 仮面ライダーはその会社の怪人たちと戦いながら、最後は社長さんと一騎打ち」


「ちゃんと、ヒーローじゃないですかwwwww」


私は、縦よりも横に広い、ぶよぶよした怪人を想像した。


「じゃあ、特定の国の……戦闘員は、悪の組織に安い給料でこき使われていて、宿舎も狭く、個人スペースが無い状況。労働とストレスで疲弊していても、言葉も通じないので、風俗に遊びに行くこともできない」


「あーーーー、それだと、痴漢したくなるのもあるかも」


「うわーーー、リアルだわ」


「それで、思わず触っちゃったら、仮面ライダーがスクーターで飛んでくる」


「ダメなことはダメだけど、戦闘員がちょっとかわいそー」


リアル仮面ライダーの設定が、だいぶ出来てきたようだ。


・仮面ライダーは町内会長で、自宅の窓を全開にして、悲鳴が聞こえたらスクーターで現場に駆け付ける。

・悪の組織は、町内にある外国人労働者をこき使う工場

・悪の組織のメンバーは、工場の社長が首領、部長・課長が怪人、こき使われている外国人労働者が戦闘員


もしかすると、その工場は外国人労働者をたくさん雇うことで国からの補助金を貰い、賃金を不当に安くしているのかもしれない。

リアル仮面ライダーは、痴漢対策をするうちに、公金不正や法律の不備などに気付き、最終的には思わぬ巨悪と戦うことになるかもしれない。


「わはははははははははははは、おもしれぇ~」


今日のツーリングの帰り道は、この設定を膨らませて、なろう小説のプロットでも考えてみようかしら。


私たちのツーリングの雑談は、こんなバカ話で楽しむのが恒例だ。

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