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バイク小説 短辺集  作者: 霧笛の火魔人


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11/15

【小説を書いてみる】

こんにちはー


ほとんど自伝(笑)みたいな、内容です。


朝の8時過ぎ、大阪の自宅ガレージで黄色いVストローム250のエンジンをかけた。


ブロロロ……


低く太い排気音がコンクリートの壁に反響する。


ヘルメットを被り、グローブをはめ、シフトを1速に入れる。


今日は週末。目的地は福井県小浜。

往復で300キロ弱。ちょうどいい距離だ。


サラリーマン生活の疲れを、風とエンジン音で洗い流す。


住宅街を抜け、吹田から名神高速の入り口へ。


ETCゲートがピッと鳴る。

料金を引かれ、加速。


風がヘルメットを叩き始める。


体がバイクに馴染む瞬間が好きだ。

25歳の私は、毎日オフィスで数字を追い、会議で頭を下げ、上司の顔色を窺う。


だが今は違う。

アクセルを捻れば、Vストロームは素直に応える。

黄色のボディが陽光を跳ね返し、まるで自分が光の一部になったみたいだ。


交通量は週末らしく控えめ。

制限速度で巡航していると、身体が自動操縦モードに入る。


ハンドルを握り、シフトを操作し、カーブで体を傾ける。

それだけ。頭の中は驚くほど空っぽだ。


思考が止まっている。いや、正確に言うと「考える必要がない」状態。

気持ちいい走り。


でも、脳みそは完全に暇を持て余している。


暇な脳は、すぐに遊びを探し始める。


仕事の段取り? あのプロジェクトの落としどころ? 絶対にダメだ。


ツーリング中まで、そんなことを考えるなんて馬鹿すぎる。


代わりに、ふわふわした妄想が浮かぶ。

たとえば、このバイクを全開で走らせたらどんな世界が広がるだろう?

女性も登場して、モテる主人公。ちょっと悪い奴にしてみて・・・

うん、いいぞー、もっと大きく膨らませてみようか。


妄想はどんどん形を取り始める。

一つのストーリーになる。

小説みたいだ。


そうだ、せっかく頭の中で生まれたんだから、誰かに読んでもらおう。

投稿小説サイトにアップしたら面白いかも。


こうして、私の小説は始まった。


米原ジャンクションで北陸道へ。

風景が少しずつ変わる。

山が近づき、トンネルが増える。


敦賀トンネルを抜けると、海の匂いがする。

福井の海岸線が視界に入る。


小浜ICで降り、信号待ち。

海沿いの道をゆっくり走る。

風が潮の香りを運んでくる。


体が少し疲れてきたけど、心地よい疲労だ。


海辺の駐車場にバイクを停める。ヘルメットを脱ぐと、汗が首筋を伝う。

近くの食堂で海鮮丼を注文。

エビ、イカ、ホタテが新鮮で、醤油が染みたご飯がうまい。


食べながら、頭の中でさっきの妄想を反芻する。


最初はバイクを題材にした小説にしようと思った。

主人公は私みたいなライダー。

黄色いアドベンチャーバイクで日本中を旅する。

風を切り、道を疾走する爽快感を、できるだけリアルに描写したい。


カーブを攻めるときのG、アクセル全開で直線をカッ飛ぶときの加速、エンジンの咆哮。


でも、そこで問題に気づいた。


疾走感を本気で書くと、どうしても「暴走」に見えてしまう。


公道でそんなスピード? 100キロ超え? 120? それ以上? 現実では完全にアウトだ。


小説の中くらい、自由に走らせてくれよと思う。


でも、許さない人がいる。

正義の旗を振る人たち。「危険運転を助長する」「若者が真似したらどうする」「責任持て」って。


世知辛い世の中になったもんだ。


以前、バイクを題材にした小説を書いているプロの作家と話したことがある。

サイン会で並んで、好きな作品の次作について聞いたら、「次はバイクじゃないよ。業界じゃ『バイク小説は売れない』って定説なんだ」って。


あの時は驚いたけど、自分で書いてみると、なるほどと思った。


正しさを振りかざす人たちに真正面から対抗するのは難しい。


ダークヒーローはフィクションだから成り立つ。

仮面ライダーが実際に公道を200キロで疾走するシーンなんて、放送コードで絶対に通らない。


でも、バイク小説を書くなら、やっぱりあの疾走の興奮を描きたい。

風を切り裂く感覚、身体が震えるアドレナリン、吸い込まれるようなスピード感。



そこで、頭の中に閃きが降りてきた。


そうだ、異世界にすればいいんじゃないか?


現実の公道や交通ルール、道交法、正義マンたちの目が及ばない場所。

倫理の壁を完全に無視できる世界。


バイクを……ドラゴンに変えちゃえばいい。

竜に乗って疾走する話なら、誰も「危険運転」とは言えないぞ。


いくら速くても、どれだけ無茶な走行をしても、ファンタジーだ。


タイトルは……


               ドラゴンライダー!



一瞬でワクワクが爆発した。黄色いVストロームが、頭の中で黄金色の瞳を持つ竜に変わる。

風を切る音が、翼の羽ばたきに変わる。


制限速度なんてない。

思いっきり走れる。楽しくてたまらない。


食堂の窓から海を見る。波が穏やかだ。

バイクが駐車場に停まっている。

黄色が陽光に映える。


あのバイクが、私の妄想の起点なんだなと思う。


現実のバイクが、異世界の竜に繋がった。面白い。


食事を終え、帰路につく。


北陸道を南下。

夕陽が右前方に沈み始める。

オレンジの光が海面を染め、トンネルに入るたびに暗闇と光が交互に訪れる。


体は疲れているけど、頭は冴えている。妄想が止まらない。

異世界なら、疾走をどこまでも描ける。爽快感を、思いっきり表現できる。


敦賀トンネルを抜け、名神へ戻る頃には空が薄紫に変わっていた。

米原ジャンクションを過ぎ、大阪方面へ。


交通量が増え始めるけど、流れはまだいい。

80キロで巡航しながら、考える。


せっかくのアイデアだ。

帰ったらすぐに書き始めよう。


主人公は私みたいな、普通の人間。


独別な能力もなく才能もない私が、弱い竜と出会う。

そこから冒険が始まる。


弱点の使い方を変えて、他に出来ないことをやってみよう。

森を疾走し、風を切り、敵を倒す。

現実では味わえない自由を、存分に味わう。



大阪の街灯が見え始めた。

阪神高速を降り、住宅街へ。

ガレージの前にバイクを停める。

エンジンを切り、静寂が訪れる。


ヘルメットを脱ぐと、耳に残る風の音が消える。

体は汗でべたつく。


部屋に戻り、シャワーを浴びる。

水が体を流す。

頭の中では、まだ風が吹いている。


竜が、森を疾走している。


タオルで髪を拭きながら、パソコンを開く。

テキストエディタを起動。


タイトル欄に打ち込む。

本文を書き始める前に、ふと思う。


これ、誰かに読んでもらえたらいいな。

誰かが、ワクワクしながら読んでくれたらいいな。



キーボードに指を置く。

画面には、まだ何も書かれていない。

でも、私の頭の中は、もう走り始めている。


挿絵(By みてみん)

【あとがき】


と、言うわけで、なろう小説に挑戦してみることにしました。


タイトルはもちろん 「ドラゴンライダー」


どこまで書けるか挑戦していますので、よかったら応援してくださいませ。

https://ncode.syosetu.com/n4964ls/


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