第9話 『残りのパンが少ない問題』対策会議始まる!
『それではこれより、ヒトミの残りのパンが少ない問題について、話し合いを始める!!』
『おお!!』
『もうこの日が来てしまったか』
『しっかりと話し合いに参加しなければ!』
『まずは現状について、ヒトミとシエラ、そしてグルルより話しを聞き、そのあと皆の意見や、解決策について話し合う予定だ。問題はないか? 先に何か言いたいことがある者は?』
『あるじょ! おいらの名前言ってないじょ! おいらはヒトミの1番の友達だから、今のこともちゃんと分かってるじょ! だからちゃんとおいらの話も聞くじょ!』
うん、モルー、今は静かにしてようね。
『……ヒトミとシエラ、グルルとモルーの話を聞いてから、皆の意見と解決策について話そうと思う』
『あ、ああ』
『そ、そうだな』
わざわざ言い直してくれたよ。さすが強面だけど、この洞窟の中で1番子供好きのアースドラゴンのアース。
彼はこの洞窟の中で1番力を持っていて、みんなのまとめ、いつも率いてくれるんだって。だから今回の話し合いでも、アースが指揮をとっているんだよ。
って、まぁ、それは今はいいとして。何もこんな大げさに集まって話し合いをしなくても。この前の『パンと私を守ろう』話し合いじゃないけど、みんなちょっと真剣過ぎやしない?
みんなが私のパンを気に入ってくれているのは、とても嬉しいけど、そこまで気合い入れなくても。まるでこの洞窟と、周りの森の未来がかかってるみたいな顔してるし。パンだよ? ただのパンなんだからね?
私たちは今、洞窟の中で1番広い空間にいて、これから私の残りのパンが少ない問題について、皆で話し合おうとしているところなんだ。
そして、そんな話し合いに集まったのは、それぞれの種族の代表者たち。……だったんだけど、あまりにも数が多すぎたから、一旦住処が近い者同士で集まって話をしてもらい、代表を決めて、その代表に話し合いへ参加してもらったよ。
まぁ、それでもまだ、空間からあふれそうになっているけどね。しかも壁に張り付いたり、天井からぶら下がったりしている魔獣もいて、広いはずの空間が本当に狭く見えるんだ。
と、こんな感じで始まった、『私の持っている残りのパンが少ない問題』の話し合いは、まずは私の残りのパンの報告から始めることに。何故異世界に来てまで、こんな会議じみたことをせねばならんのか。
『もう、そんなに少ないのか!?』
『まさかそこまでとは』
『今まで通りに貰っていると、これまでの日数よりも早くパンが尽きると……』
『これは由々しき事態だぞ』
私の報告に、表情を険しくさせる魔獣や、絶望したような顔を見せる魔獣たち。
『ヒトミ、報告をありがとう』
「う、うん」
『では次にシエラ。皆は決めたルールを守っていて、それでいてこの量になったのか?』
『ええ、みんなきちんとルールは守ってくれているわ。それでもここにいる魔獣の数を考えたらね。それと……』
次はシエラが、全員ちゃんとルールを守っているか、何か問題が出ていないか、そのせいでパンが少なくなっていないか、聞かれたことに答えていく。
本当、みんなしっかりとルールを守ってくれているからね。ただ単にパンを作ることができないだけで、他に問題はない。
ちなみにグルルたちには、パンについてちゃんと話してある。このパンを作ったのは私だってこと、街へ行けばパンを作れるかもしれないってね。
その話を聞いた時のグルルとモルーと言ったら。モルーは、その辺をめちゃくちゃに飛び回って喜び。グルルは走りはしなかったけど、最初にパンを食べた時以上にしっぽを振り、涎を垂らして、シエラに叩かれてね。壁が1箇所、崩壊しそうになったんだ。
ちなみに、崩壊しそうになった壁は、ベトベトの粘液を出す、カエルみたいな魔獣がいて。その魔獣に直してもらったから大丈夫。
ただ、悪い方についても私はしっかり話したよ、私がいたところと、この辺で作られているパンでは、材料が違うかもしれないし、作り方も違うかもしれない。そうなったら、街へ行っても、すぐにパンが作れないかもしれない。
もし作れたとしても、今と同じパンが作れるとは限らなないし、そもそもパン自体を作ることができえないかもしれないってね。
その話を聞いた途端、今度は絶望したグルルとモルー。2人で丸まり、パンが、パンがとぶつぶつ言い始めて、またシエラに叩かれてたよ。食べさせてもらってるのに、そんなグタグタ言うなって。
まぁ、それでも少しすると、とりあえず街に行ければ、パン問題は解決できるかもしれないと復活していたけどね。そしてそのことは、他の魔獣たちの代表にも伝えてあるよ。
『そうか、やはり問題は、ここでヒトミがパンを作れないことか』
『それに、ヒトミは今まで少しずつ、パンを作っきたのよね?』
「うん」
バカ神は一気に2000個にしてくれたけどさ、私は? たとえパンを作れても、2000個は別として、200だろうが100だろうが、大人の私だったとしても、絶対に無理でしょう?
だからグルルたちには、1度に作れるパンの数を少なく伝え、作ったものを少しずつ、マジックバッグに入れて保管してきた、っていうことにしておいたんだ。
『なるほど』
『私たちがいろいろと、手伝うことができれば良いのでしょうけど。人間みたいに動くのは、さすがに難しいものね』
『そうなると、やはり人の手伝いが必要ということだな。まぁ、パンは抜きとして、ヒトミはそろそろ、人のいる場所へ行くべきなのだが……。グルル、その辺どんな感じだった?』
みんながグルルを見たよ。




