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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第4話 緊張はどこへやら、怒られる2匹

『まったく、お前がさっさと起きないからこんな事になったんだ』


『グルルがおいらを、しっぽで叩いたからいけないんだじょ!!』


『お前が俺の食べ物を、煩く狙ったからだろう!』


『ひとりじめ、いけなんだじょ!! おいら世界1、食べたかっただけだじょ!! それなのグルルは叩いたじょ。だからいけないんだじょ!!』


『お前があれくらいで、怪我をしない事は分かっているんだ。大体お前を止めるには、あれくらいせんと止まらんだろう。それに、この子供が転んだ事と、この食べ物の話は別だ。さっきから言っているが、さっさと起きなかったお前のせいだからな』


『おいらだって、いきなり叩かれたら、ビックリするんだじょ!! だから倒れてたんだじょ! それに、すぐに食べさせてくれてたら、走ることなかったじょ! だからやっぱりグルルが悪いんだじょ!!』


『あなたたち、いい加減にしなさい!! そしてまずは、この子に謝りなさい!! 今すぐ謝らないのなら、私の尾であなたたちをはっ倒すわよ!!』


『すまなかった!』


『ごめんなさいなんだじょ!』


 人間だったら土下座でもしてるんじゃない? ってくらいお勢いで、深々と私に謝ってくるグルルとモルフィン。


『まったく。ごめんなさいね、このバカな連中が。確認してくれって呼ばれて調べたけど、どうかしら? 一応私が調べても、全て完璧に治っているとでているけれど』


「だいじょぶでしゅ。も、どこもいたくないでしゅ」


『そう、なら良かったわ。それと、私は確認しただけなのに、これをもらってしまって良かったの? あなたの大事な食べ物なんじゃ?』


「けが、みてくれたおれいでしゅ。しょれにぐるるは、じゅっこたべちゃ」


 私がそう言った途端、バッ! と顔を逸らすグルル。そしてまた騒ぎ出すモルフィン。


『世界1、10個食べたじょ!? ずるいじょ!! おいら1個だじょ!!』


『ちょっと、グルル。あなたにとってはたいした量じゃないでしょうけど、この子にとってはどれだけの食料になるか。しかもこんなに小さな子から!!』


『ずるいじょ、ずるいじょ!! おいらももっと食べたいじょ!!』


『モルフィン、静かにしなさい! 私はこのバカと話しているのよ』


『ハッ! そうだじょ! 静かにするじょ! だからひとみ、もう1つくれるじょ?』


『モルフィン!!』


『ちえら、だいじょぶ。もるふぃん、あげるからこっちでしじゅかにたべる』


『やったじょ! ありがとじょ!!』


 私はすぐに、マジックバッグからホテルブレッドを取り出してモルフィンにあげる。すると、満面の笑顔で食べ始めるモルフィン。そして……、


『ふわわっ、今度のもとっても美味しいじょ!! ふんわりでしっとりで、ちょっと甘い気もして、それからジュワッと何かが広がる気がして、とっても美味しいじょ!!』


 ジュワッとって何かな? バターのことかな? それにしても、そんなに喜んでくれるなんて嬉しいな。モルフィンは初めてパンを見た時も、とっても褒めてくれたし、グルルも喜んでくれてたし。もしかして、素人の私が作ったパンだけど、満更でもない?


 モルフィンの感想を聞いていると、シエラが溜め息を吐きながらまた話し始めたよ。


『まったく、良い歳をして、こんな小さな子から食べ物を奪うなんて』


『奪うなんて、俺は貰っただけだ』


『なら1個でやめるべきでしょう。多くても2個よ。いい? こんな場所に人間の子供がいるなんて、普通はありえないのよ? しかも周りに、この子の両親の姿は見えないし、辺りを探ったけれど気配もしない。あなただって、それにはすぐ気づいたはずでしょう』


『それま、まぁ……』


『なら、何かあったと考えて、すぐに動くべきじゃなかったの!? 小さな子がこんなところに1人だなんて、どれだけ不安だったか。それなのに話も聞かずに、安心させるわけでもなく、何個も食べ物を奪うだなんて。本当に何を考えているのよ!』


『うっ、確かに』


『大体あなたの存在自体が、ヒトミには恐怖だったでしょうに。確かに私たちには、私たちと話をしてくれる人間たちと関わりを持っているわ。だけど普通の人間にとっては、私たちは恐怖の存在なのよ』


『いや、そうだな。うん、本当に悪かった』


『私に謝ってどうするの! ヒトミに謝りなさい!!』


『ヒトミ、何も言わずに近づき、しかも何度も食べ物を貰ってしまって悪かった』


「ん。しゃいしょ、こわかっちゃけど、いまはだいじょぶ。だからきにちなに。しょれに、けがなおちてくれて、ありがちょ」


 あれだけ私を心配してくれて、しかも叱られている姿を見たらね。まぁ、途中でパンを食べて、まったりしている姿を見た時から、あれ? 怖くない? と思い始めていたけどね。


『はぁ、ヒトミ。そんなにすぐ許さなくて良いのよ。それに、ありがとうって、怪我の原因はこのバカたちなんだから、お礼なんて言わなくて良いのよ』


「でも、なおちてくれた。だから、ありがちょ」


 今の私の状況。あの、最初の緊張していた感じは全くなく、それどころか和やかというか、緊張感の「き」の字もなくなったよ。


 私が転んでから何があったのか。それは……。

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