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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第36話 説明不足と、とりあえずの住民たちへの説明

「確かに、今日はヒトミがパンを焼くと言っていたが、まさか、こんな事になるとは」


 今の短い話の間に、パパは何回溜め息を吐いたことか。それから私のことは、私がずっと謝っているのを見たママが、大丈夫だからと頭を撫でながら抱っこしてくれているよ。洞窟でのことを忘れていたとはいえ、本当に申し訳ない。


 と、思っている私も横で、相変わらず普段通りのグルルとモルー。何で平気でいられるんだ!


『だから、少々悪いとは思っているが、そこまで悲観するようなことでもないだろう。これはいつも通りのことなんだからな』


『そうだじょ。いつも通りだじょ。ヒトミ、パン……』


「だめ!!」


 何、ここでパンを食べようとしてるのよ。まったく、これ以上余計なことをするなら、パン禁止にするぞ?


「その、いつもの事って、どういうことだ」


 パパがグルルに聞いてくる。あ、そういえば、パパには話していなかったっけ? ん? でもグルルが洞窟で、私のことを説明したんだよね? だから、私が洞窟にいた経緯と一緒に、もちろんパンの話もしたはず。あれ? どうだったっけ?


 そう思い、グルルを見れば。グルルも何とも言えない顔をしていて。


『そういえば、俺はお前たちに、そこまで話をしたっけな?』


 なんて言い出して。ちょっと待って! 本当にどこまで話をしたの!?


「俺は、ヒトミのパンがとても美味しくて、魔獣たちはパンを食べるために、争いごとしなくなったから、森が平和になったと聞いたが? それと元気になると」


「ぐるる、ほか、はなちてない? へいわになるまで、なにがあったか、はなちてない? しょのあとのことも? きまりのことも?」


『そういえば、話さなかったような?』


 うん。洞窟と森が、あそこまで平和になるまでの流れを、ほぼ話していなかったみたい。全部話したんじゃなかったの!?


 それからは改めて、グルルがパンについて話す事になったんだ。


 私のパンを、みんなが食べに集まって来て、それで集まりすぎて困った事。そしてその集まりのせいで、争いも起きそうになった事。

 でも、それをグルルたちが力でねじ伏せて、それから争いが起きないように、決まりを作ったこと。その決まりをみんなが守り、森が平和になったこと。


 それから、パンで元気が出るっていうのも、気持ち的に元気になるんじゃなくて、本当に元気になるって言うこと。


 そんな、いろいろなことを、詳しくパパたちに話したんだ。そして話を聞いたパパたちは、というかパパは、ガクッと方を落とし、ママは苦笑いし、ルーシャンさんは大笑いしていたよ。


「まさかパンの匂いで、そんな事になっていたのか……」


「それじゃあ、こうもなるわよね」


「ガハハハハッ!! まさかパンにこんな力があるとはな!!」


「はぁ、ルーシャン、笑い事じゃないんだぞ」


「だってお前、パンだぞ。まさかパンで、ここまでの事が起きるなんて思わんだろう! ガハハハハハハッ!!」


「はあぁぁぁ。そうか、パンの匂いとなると、これからどう対処をしたものか。それに住民たちに、どう説明したものか」


「それなのだけれど、私が一応話しておいたって言ったでしょう? 新しい料理を作っていて、その匂いに、魔獣たちが反応してし待ったみたいなの。だけど……」


 ママの考えたことはこうだよ。私がパンを焼いているとは言わずに、今、自分のところの料理長たちが、新しいパンの焼き方を試している。今回は、その匂いがとてもよくて、魔獣たちがそれに反応し、集まってしまったみたい。


 でも、まだ試しているところだから、食べさせることはできないし、作り方を教えることもできない。


 もし、この新しいパンの作り方が成功して、皆にも作る事ができそうなら。この作り方を考えてくれた人に、商業ギルドにレシピを提供してもらうから、それまで待ってもらえないかしら。


 と、いうもので。商業ギルドには、新しいレシピを考えて、商業ギルドにそれを提供すると、みんなお金を出せば、そのレシピを閲覧する事ができるようになるんだって。そしてその料金の何%かが、レシピ提供者に支払われる仕組みになっているの。


 それで、もしも私のパン作りが成功したら、誰かの名を借りて、商業ギルドにレシピを提供。それで得たお金は、私が好きに使っていいから、登録してもいいかしらって、ママに聞かれたんだ。


 もちろん、私はそれを承諾。というか、みんなが美味しいパンを食べられた方がいいからね。


 ただ、その話に、集まった魔獣たちや、昆虫たち全員が納得して、すぐに帰ってくれるわけもなく。まだお屋敷の周りに、留まっている感じなんだ。


「なるほど、確かにそれならば、住民たちは納得してくれるだろう。が、その元気になるというのは、気持ちの問題ではなかったのか」


『それについては、話していて思い出したが、俺は本当のことを言っていたはずだぞ』


「まさかパンを食べて、実際になるとは思わないだろう。お前が大袈裟に言っているだけだと思っていたんだ」


『ヒトミのパンは、どんな症状にも効くぞ』


「はあぁぁぁ」


「それについては、住民には話していないわ。急いで調べるけれど、ヒトミちゃんが焼いたパンだから、皆が元気になるのか。それともヒトミちゃんのパン作りを真似れば、皆がそういったパンを作れるのか、まだ分からないから。ただ、もしヒトミちゃんだけの場合は、隠しておいた方が良いでしょうね」


「そうだな」


 と、その時、外から魔獣たちの鳴き声が聞こえてきたよ。


『いい加減うるさいな。先に、奴らを帰してくる。少々無理やりになるが、その方が戻ってこないだろう』


 そう言って、窓から外へ出て行こうとするグルル。そんなグルルをパパが急いで止め、やりすぎるといけないから、ルーシャンさんを連れて行けって言ってね。そうして、グルルとルーシャンさんが窓から出て行ったよ。2階の窓からね。2階の……、え?

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