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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第33話 特製エプロンと、はじめてのパン作りへいざ!!

 ついにこの日がやってきた。そして……。


「あら、思っていた以上に似合っているじゃない! ねぇ、みんなもそう思うわよね」


「はい、奥様!!」


「お色も完璧かと」


「良かったわ、注文して。絶対に似合うと思っていたけど、想像以上だったなんて。今度、別のも注文しようかしらね」


「奥様、別のデザインはいかがでしょうか!」


「そうね。同じようなデザインばかりじゃなく、他の物も良いわね。この前はお店に行ったけれど、今度は仕立て屋を呼びましょう」


 私は今、自分の部屋で、鏡の前に立っている。ママにパンを作るって話したら、いつの間にか私用のエプロンを用意してくれていたんだ。それを、今日からパンを作るということで、初めて付けてみて、みんなでそれを見ているところだよ。


『ヒトミ、バッチリなんだじょ!!』


『ああ、とても似合っているぞ』


「ありがちょ!! まま、かわいいえぷろん、ありがちょ!!」


「喜んでくれて良かったわ。そうだわ、デザインだけじゃなくて、ちゃんと動けるかも確認しないとね。ヒトミちゃん、少し歩いてみてちょうだい。それと、しゃがんだり、腕を回したり、パンを作っている時の動きでもいいから、やってみて」


「あい!!」


 言われてすぐ、部屋の中を1周する私。うん、侯爵家のお屋敷は本当に広い。ひと部屋ひと部屋がとても大きくて、私の部屋も普通に広いから、ちびっ子の私が一周すると、なかなかの距離になるんだ。


 私は地球で、1人暮らし用のアパートに住んでいたんだけど、その部屋の何倍あるのか。……うん、本当に、私を迎え入れてくれてありがとうございます。


 1周したあと、ジャンプしたり、しゃがんでみたり、腕を回したり、パンをこねる時の動作をしたり、いろいろな動きをしてみる。


 うん。動きが制限される感じもないし、何かが引っ掛か感じもしない。全く問題なし!!


「まま、だいじょぶ!!」


「そう。なら、そろそろ厨房へ行きましょうか。きっとバクスターたちも、今日はそわそわしながら待っているでしょうからね」


 エプロンをちけて、動作確認も終わったから、私たちは厨房へ移動。そう、今日は初めてこの世界でパンを焼く日。


 もうね、昨日の夜から、気合いが入っちゃって、なかなか眠れなくてちょっと寝不足気味だよ。


 ただ、そんな私よりも気合いが入っているのが、グルルとモルー、そしてバクスターさんたとだった。


 まず、グルルとモルーね。2人はまだ、パン作りには参加できないから、今日は見ているだけなんだけど。

 見ているだけじゃダメだって、何故か私の応援をすると言い出してね。昨日はほぼ1日私の応援の練習をしていたんだよ。


 なんで応援なんだか。まぁ、応援してくれるのは嬉しいけど、でもそのせいで、いろいろ材料が飛ぶのも困るから、一応ドアの前で応援してねとは言ってある。


 もしも本当にパンを焼けるようになったら、何か手伝ってもらう予定だから、パン作りに集中したした方がいいと思うんだけどな。


 そして、バクスターさんたち。バクスターさんたちは、もしかしたら私がすぐに、美味しいパンを作れるんじゃないか。そして私の方法で、自分たちも美味しいパンが、すぐに作れるようになるんじゃないかってね。私に直接は言わないけど、廊下ですれ違うたびに、


「何でも言ってください! パンのためなら、どんな無理なことでもやってみせます!!」


「明日、楽しみにしています!」


「明日は美味しいパンを作ってみせます!!」


 って、声をかけてきたんだ。


 それから寝る前にバクスターさんに会った時なんて、


「明日は、ついに美味しいパンだな! いやぁ、こんなに楽しみなパン作りは初めてだ」


 って、ガハハハハハと笑いながら、厨房へ入っていったの。まったく、みんなして。


 今日は初めてのパン作りなんだから、焼くところまで行けるかどうかも分からないのに。なにしろ私のやり方を、みんなに説明しながらだから、それでも時間がかかるからね。


 それに、こんなふうにみんなに期待されているから、私は今ちょっと不安なんだ。材料が違うのは仕方ないとしても、地球での私のパン作りが、この世界で通用しなかったら? もしうまくいかなかったら、最初からパン作りのやり方を考え直さなくちゃいけなくなる。


 そうなったら、楽しみにしてくれているグルルやモルー、洞窟や森の魔獣たちをガッカリさせちゃうことに……。もちろん、パパたちやバクスターさんたちも。


 だからね、なるべくそうならないように頑張るつもりだけど、やっぱり不安だよ。


『ふんふん、ふんふんだじょ♪』


『ついにこの日が来た。ここまで長かったな』


 だから、あんまり期待しないで、プレッシャーをかけないでほしい。どんどん不安になるじゃん。


 そんな不安な中、厨房へ到着。すると厨房にいたのは、バクスターさんとトレントンさんだけで。料理人さんたちが全員集まっていると思っていた私は、さらに戸惑うことになってしまったんだ。


「りょりにんしゃん、しゅくない」


「初めてのことだし、教えてくれるのはおチビだからな。もし、俺たち料理人全員でお前さんに向かったら、かなりの圧……いや、疲れさせてしまうだろう。だから今日は、おチビとよく一緒にいる俺と、トレントンだけで、お前さんを手伝いながら教えてもらうことにしたんだ」


「ヒトミ様、よろしくお願いします!」


 バクスターさん、ナイス!! 一気に気が楽になったよ!! ありがとう!! 思わず、バクスターさんに抱きつく私。


「ありがちょ!!」


「おチビのことを考えたらな。さぁ、パン作りを始めよう」


「うん!!」


 私は、材料が置いてある場所へ歩いていく。


 さぁ、今日使う物はもう決めてある。それを準備したら、いよいよパン作りだ!!

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