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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第32話 パンの楽しみ方と、初めてパン作りの日決定

『……ダメダメなんだじょ。でも、作ってくれたパンなんだじょ。だからちゃんと食べるんだじょ』


『そうだ。美味しくはなくても、俺たちのために作ってくれたんだから、ちゃんとお礼を言って食べなくては』


『作ってくれてありがとうなんだじょ。でも、もう少し頑張って作ってほしいんだじょ』


『ああ。いつも俺たちのおやつを作ってくれて、すまないな。まぁ、パンは後でヒトミに、しっかり習ってくれ』

「ハハハッ。お礼と文句が一緒か。まぁ、確かにおチビのパンを食べていたお前たちにしたら、俺たちのパンは美味しくないだろうな」


「ヒトミ様のパンは、俺たちも衝撃でしたからね」


 もう、グルルもモルーも、お礼をする時は、お礼だけでいいんだよ。


 私に作り方を見せるついでに、おやつパンを焼いてくれたバクスターさん。食堂へ移動せずに、そのまま厨房で食べているんだけど。

 みんなはとりあえず食べられても、小さな私には固くて。ついでにパサパサ、ポソポソで喉に詰まるから、甘い紅茶みたいな飲み物にパンをつけながら食べてるんだ。


「ところでおチビ、これはなんだ?」


 食べている時だった。バクスターさんが、私が持ってきたカゴを指して聞いていたよ。


「きょ、どこまでやるかわからなくて、もってきちゃ。しちゅもんいいでしゅか?」


「ああ、何でも聞いてくれ」


「この前ヒトミと、お店通りへ行って来てね。ヒトミが、パンに合いそうな食材を買ってきたんだ。食材というか、そのまま食べられる物ばかりだよ。ヒトミがパンを焼けるようになったら、パンに使えるか聞きたいって」


 私の代わりに、エリオットお兄ちゃんが、さっと説明してくれる。


 そう。パンを作る時に、チーズやジャムを入れたりすることもあるでしょう? パンが焼けるようになったら、ただのパンだけじゃなくて、そういうパンも作りたくて。

 お兄ちゃんたちが、私の食べたいおやつを買ってくれるって言ってくれたから、それならついでにと思って、パンに使えそうな物をいくつか買ってもらったんだ。


 チョコっぽい物や、レーズンっぽい物。それから果物を煮たものを数種類に、練乳みたいな物とか、買ってもらったんだ。


 練乳みたいな物は、お祭りのソースせんべいみたいに、薄いおせんべいに練乳みたいな物が塗ってあって、その上に、もう一枚薄いおせんべいが重ねてある感じ。食べたら、とっても美味しかったよ。味も、ちゃんと練乳だったし。


 お兄ちゃんたちに聞いたら、ソースだけでも売っているみたいで。もし、これをパンに使えたら美味しいだろうなって思って、とりあえず聞くために、おせんべいだけ買ってきたんだ。


 ほら、焼く時にベトベトになりすぎるとか、火を通すとダメになる食材だったりとか、調理には向かない物もあるかもしれないでしょう? だから、そういうのをバクスターさんに聞こうと思ったの。もし焼く時に使えなかったら、焼けたパンに後から乗せてもいいしね。


「なるほど……、これで全部か?」


「いや、今回はこれだけで、また今度探しに行く予定だよ。一気に全ての店で買うのは無理だからね」


「そうか。おチビ、この果物を煮たものは、焼く前にパンに入れたいのか?」


「うんとねぇ、やくまえでもいいち、やくのだめなら、ぱんをやいたあと、ぱんにのっける」


「パンに乗せる?」


「うん。ぱんにのっけると、おいちい」


『そういえば、ヒトミのパンは、時々、何か乗っているパンがあるな』


『中に入ってる時もあるじょ』


「俺たちも、時々パンに挟んだりはするが……。おチビのパンは、もっと乗ってるってことか」


「いろんなあじで、おいちいよ」


 街へ来て、普通の人の生活をして分かったこと。それは、パンにいろいろしないってこと。もちろん、ハムを挟んだり、野菜を挟んだり、ジャムを塗ったりはするけれど、あまり大袈裟に、思いきって、という感じではやらないの。


 それは、食材が貴重だからとか、食べ方に作法があるからじゃなくて。そもそも、パンと何かを一緒に食べる、という発想があまりないみたいなんだ。パパ曰く、


「確かに一緒に食べると美味いが、食べにくいしな。それに、パンはパンを楽しむものだろう」


 だって。それを聞いて、まぁ、ボソボソ、パサパサの固いパンじゃ、確かに何か食材を挟んでも、食べにくいよなと。


 だからね、美味しいパンが焼けるようになったら、パパたちにはパンそのものの風味だけじゃなくて、いろんな食材と合わせた時の美味しさも、いっぱい味わってほしいんだ。パンの美味しさが、より引き立つはずだし。


「そうだな……。これは熱を通すと、ああ、温めるとってことだぞ。温めるとドロドロの液体になるからな。焼く前に入れるのは無理だと思うぞ。こっちはまぁ、量によるか?」


 今、バクスターさんが言ったのは、チョコレートみたいな物と、練乳みたいな物ね。バクスターさんは、それぞれをお皿に乗せ、火魔法で温める。するとチョコレートみたいな物は、固形からトロトロの液体に。練乳みたいな方は、さらにトロッとした感じになったよ。


 それを、ふぅふぅと冷ましてから、味見させてもらうと。チョコレートの方は、まさにチョコレートソースで、練乳の方は、より甘味が増したんだ。


「どうだ。これだと、焼く前にどうこうするのは無理だろう? 焼いたら溶けて、大変なことになる」


 いや、これをパン生地に混ぜれば……。


「でも、いっちょにたべるのは、だいじょぶ?」


「ああ、食べること自体は問題ないぞ。大体もともと食べるもにだからな。焼くと問題だってだけだ」


 その後も、いろいろ質問もさせてもらって、この日の厨房での作業は終了。


 次にゆっくり厨房を使えるのは明後日と聞いて、その日に、ついに初めてのパンを焼いてみることに決めたよ。それを聞いた時の、グルルとモルーの喜びようと言ったら。


 さぁ、どんなパンができるか。私もドキドキだけど、少しはふかふかパンに近いパンを焼けると良いな。

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