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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第28話 大切な登録と変な人?(前半ヒトミ視点、後半ジェイコブ視点

 この世界では、一般市民が戸籍登録をする必要はない。ただ、街から街へ移動する時には、外壁の門で、危険人物ではないかの確認をされるでしょう? その時に、自分がどんな人物なのかを証明する必要があるの。


 そこで役に立つのが、登録証なんだけど。この世界には、ライトノベルや漫画みたいに、依頼された仕事をこなしたり、魔獣の討伐をしたり、その実績を登録できる冒険者ギルドや。物の売買や取引を仲介して、安全にやり取りができるようにする商業ギルドがあってね。


 この2つの施設を利用するには登録が必要で、その登録をした時にもらえる登録証が、門での確認にも使えの。だから、実際にギルドを利用しなくても、登録だけはしている人が多いみたい。


 だけど貴族の場合は、いろいろと決まりがあるらしくて。戸籍に変更がある時は、きちんと国に届け出をしないといけないらしいんだ。


 それで、その確認と登録のために、マックスウェルさんという人と、アードルフさんという人が私を訪ねてきて、登録をしてくれたの。


 ただ、登録そのものは、アードルフさんが全部やってくれて。マックスウェルさんは、なんというか、私に会いに来ただけって感じでね。正直、なんで来たんだろう? って、思ったよね。本当に何もしないんだよ?


 しかも、その立ち振る舞いが、他の人と少し違うっていうか。服装はパパたちの普段着と変わらないのに、なんだろう、こう。同じ服なのにピシッとしているというか、洗練されているというか。そんな感じがしてね。


 思わずグルルに、この人は大丈夫な人かなって確認してもらった私。


 そうしてグルルが調べてくれた結果は、今のところは問題なしだった。だけど私とモルーは一応、要注意人物として認識しておくことにしたの。

 

 あっ、登録自体は問題なくできたから、こっちは何もなし。パパたちが、しっかりと家族になれて、これで誰にも文句を言われることはないから安心だって。


 それで、その問題のマックスウェルさんだけど、明日まで家に滞在する予定で、明日の朝に帰るって、今もパパと何か話しているよ。





「じゃあ、行こうか」


『おっかし、おっかしだじょ』


『あの渋い飲み物も飲みたいな』


「よくあれを飲めるよな。俺は無理だわ」


 渋い飲み物はお茶のことね。


『甘いものに。とても良くあうだろう』


「そうか?」


「ヒトミ、パンに合いそうなお菓子が見つかると良いね」


「うん!!」


 私たちの話は終わったからと、パパたちを残して部屋を出た私たち。私たちがいなくなってから、もっと重要な話をしていたなんて、この時の私はまったく思いもしなかったよ。


 ただ、例のマックスウェルさんが帰ったら、すぐに粉を調べて、なるべく早く試作品を作りたいな。それで美味しいパンをグルルとモルー、そしてみんなの食べさせてあげたいな、ってことを考えていたんだ。




      ******************************




【ヒトミたちが部屋を出たあと】


「どうやら本当に『神の愛し子』みたいだね」


「まさかお前がくるとは思ってなかったぞ」


「また仕事を押し付けてきたんじゃないでしょうね」


「……何のことかな?」


「はぁ、あなた、自分の立場が分かっているの?」


「まぁ、良いじゃないか。どうせ関係者の誰かは、確認しに来ないといけないんだから」


「あなたねぇ、もっと自分の立場を考えなさいよ。しかも数日滞在するなんて。あなただけの問題じゃないのよ。というか周りが迷惑するんだから」


「大丈夫だよ、その辺はうまくやってるからね。それに今回は、理由が理由なんだから、私がきた方が、いろいろと手続きがしやすいだろう?」


「確かにそれはそうだが、だからってお前がって話しだ」


「まぁまぁ。もう私はここにいるんだから。……それよりも、彼女のことを頼むよ」


「分かっている。まさか俺たちが『神の愛し子』と関わることになるとはな」


「私たちの家族として認められたのだから、しっかりと守るわ」


「本当は私たちのところへ連れていき、ちゃんと護衛をつけて安全を確保したいところなんだけれどね。神の愛子の希望を、できる限り優先することになっれいるから。それに話を聞く限り、彼女は王宮での生活は合わないだろうし」


「そうだろうな」


「ヒトミが2人のところへ来てくれて本当に良かったよ。2人になら彼女を任せられるから。今の護衛の人数は?」


「ヒトミに気づかれないように、必ず15人はつけるようにしている。グルルは気づいているだろうが、ヒトミを守っていると気づいていて、何も言ってはこない。それと、来週中には側に護衛騎士をつける予定だ」


「うん。君たちのところの戦力なら、ちょうど良いくらいかな」


「その辺は、私の方からも別でつける予定だから安心して」


「それは心強いな。そうなると、あとはヒトミ自身にも気をつけてもらいたいところだが。まさか、あんな物を持ち歩いているとは。さすがに、あれには私も驚いた」


「俺たちだってそうだ。まさか、貴重な素材を使い、それ普通に使っているとは。しかも何セットも持っているんだからな」


「一応、今は使わないようにと言ってあるけど、そろそろきちんと理由を伝えないとね。魔獣たちからの大切な贈り物だと言っていたから、完全に使わせないというのも無理があるし……。だから、私たちや、このことを知っている人の前だけで使う、という約束をしてもらうつもりよ」


「それで目立って、狙われても困るからな」


「それからグルルたちにも、目立つ行動はするなと言ってある。なにしろ、あっちはあっちでいろいろ問題だから」


「契約魔法は?」


「さすがは神の愛し子、と言ったところか。全属性に契約魔法も、しっかり持っていた」


「そうか。なら、時期を見て、なるべく早く契約させた方が良いだろう」


「そのつもりだ。ヒトミが契約すれば、俺たちよりも、もっと強固な契約になるだろうからな」


「……神の愛し子が現れた時は、何かが起きると言われている。だが、今回の神の愛し子は、あまりにも幼すぎる。我々が、しっかりと彼女を守り、導かなければ」


「ああ」


「ヒトミちゃんの幸せのためにも、絶対にね」

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